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文部科学省は平成12年度に大学院教育研究拠点形成プログラムを発足させました。その趣旨は、「卓越した教育研究業績をあげている大学院や、教育研究上の新しい試みに意欲的に取り組み、優位な人材養成を行うことが期待される大学院に対し、専攻を単位として、研究費、設備費等を一定期間、重点的に措置することにより、卓越した教育研究拠点としての大学院の形成、支援を図る」、ことにあります。平成12年度には大学院34専攻(人文社会系5専攻、理学系3専攻、工学系8専攻、農学系3専攻、保健系医学系8専攻、学際系4専攻、その他2専攻)が採択されています。
本専攻は、このプログラムの平成13 年度の対象専攻として採択されました。広島大学大学院歯学研究科歯学系専攻は、その後、大学院重点化のために組織を再編改組し、現在は、広島大学総合医歯薬研究科に所属しています。この採択は広島大学で初めてのことであるばかりでなく、歯科医学分野では平成12年度に東京医科歯科大学医歯学総合研究科口腔機能再構築学専攻がこれに選ばれており、当該研究分野では全国2番目の快挙となりました。
歯学系専攻は、当時、特定の分野に偏重しがちであった歯科医学の専門教育内容をより幅広いものにするために、複数教官による講義・実習を積極的に実施させることにより多面的教育指導体制を確立、昼夜開講教育コースを設定し、歯科医療人や社会の要求に合わせる、リカレント教育を推進し、地域の高等教育機関としての使命を果たす等の努力を重ねてきました。また、研究面でも、世界をリードする成果を挙げてきました。これらの実績が認められて採択されたものと思います。
大学院教育研究拠点形成プログラムの支援を受けて、多くの成果が生まれております。これまでの研究実績を背景に、新しい概念の歯科医学研究を創生することが本拠点の特色であり、次世代の歯科医学研究拠点として世界をリードしていくことが強く期待されております。以下に、このプログラムの内容、成果、将来展望などにつき、歯学部長の丹根一夫先生に紹介していただきます。
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広島大学医歯薬学総合研究科歯学研究教育組織の研究活動大学院教育研究拠点プログラム
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1.はじめに
広島大学大学院歯学研究科歯学系専攻は、文部科学省高等教育局大学課より平成13 年度の大学院教育研究拠点の対象専攻として採択されました。本制度は、文部科学省の施策として平成12年度から始められたもので、広島大学でははじめてのことです。また、関係する歯科医学分野では平成12年度に東京医科歯科大学医歯学総合研究科口腔機能再構築学系専攻がこれに選ばれており、当該研究分野では 2番目の快挙となりました。
歯学研究科では、ここ数年様々な改組・改革に取り組んできました。教育面では平成12 年度の研究科改組(歯学系一専攻への改組)に合わせて、すべての教官の授業科目とその内容を見直し、これをシラバスの形にして学生に提示しました。また、専門分野の教育に先行して生命倫理、基礎生物学、医療統計学など将来の教育者・研究者に必須となる前専門的知識を修得させるとともに、特定の分野に偏重しがちであった専門教育内容をより幅広いものにするために、複数教官による講義・実習を積極的に実施させることにより多面的教育指導体制を確立してきました。さらに、一般学生に加えて、社会人やおおむね60歳前後の方を積極的に受け入れるための昼夜開講教育コースを設定し、歯科医療人や社会の要求に合わせたリカレント教育を推進し、地域の高等教育機関としての使命を果たす努力を重ねてきました。
研究面では、専攻の下にある5分野ごとに学生の研究課題に応じた研究体制を形成し、歯科医学分野はもとより幅広い生命科学分野の課題、特に「骨・軟骨・軟組織の再生医療」、「顎顔面口腔疾患の遺伝子診断や治療」、「歯周病等の慢性口腔疾患の分子生物学的病因解明と臨床応用」、「新規生体移植材料の開発」、「細胞移植治療等による組織修復後の機能評価」、等に関する研究に取り組んできました。さらに、講座を超えた戦略的研究プロジェクトを随時募集し、中央研究室運営委員会が中心となって研究体制、大型研究機器の整備に努めてきました。また、1995 年度より教官、大学院生の研究実績を業績年報の形で毎年調査・公表するとともに、歯科医学教育研究機関の中では最も早く2001年に全教官を対象とした任期制を制定し、各指導教官ならびに学生の意識改革を促してきました。このような活動の成果として、本研究科教官の科学研究費補助金の取得率や論文生産係数は他の歯科医学研究機関と比べきわめて優れた実績を残せるようになりました。大学院学生に対しては、在学中に優れた研究実績を上げた優秀な者をリサーチアシスタント(RA)に任用する制度を設け、さらなる実績の向上に資するよう取り組んできました。加えて、学部同窓会の支援を仰ぎ、若手研究者、特に大学院生について先進的研究を推進することを目的として、優れた研究業績を上げた者に学術奨励賞を与える制度を設け、すでに過去数年間実施してきました。
これらの一連の改組・改革の取り組みの結果、様々な優れた成果・業績を達成しました(文末参考資料 参照)。また、本研究科の学生数はここ数年定員を大きく超える学生を受け入れました。本研究科の特徴として地元広島出身でない他大学卒業生の応募が増えていることが挙げられます。さらに、論文博士が激減し課程博士が大部分を占めるようになるとともに、ほとんどの学生が所定の年限で学位を授与されていることが特筆されます。
このような多面的な実績が評価されて本拠点として採択されたものと考えています。これらの成果はすべての教官の努力が結実したことによるものであり、今後さらに躍進することを確信しています。
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2.本教育研究拠点形成の特筆すべき点
本拠点は本学大学院歯学研究科教官により構成されている。その一員である加藤は、世界的に高く評価されている軟骨細胞の増殖・分化に関する研究成果をもとに、多様な組織に分化しうる間葉系幹細胞を大量に得るための超増幅法を開発した。また、これを応用して、栗原、高田らは自家間葉系幹細胞やエナメル基質合成ペプチドを用いた歯周病治療や骨欠損修復治療に着手している。さらに、岡崎、濱田、丹根らは骨・軟骨再生のための足場(スカフォールド)の創製に取り組んでいる。これに加えて、菅井、高橋らによる病原因子の生物学的意義と粘膜免疫を用いた感染症制御の解明、岡本、高田らによる遺伝子解析による疾患感受性診断法の開発、土肥、赤川、濱田、丹根らによる細胞移植治療後の機能評価等々、特色ある研究シーズを数多く創出し、当該分野において世界のフロントランナーとして活躍してきた。
本拠点の特色として、以下のことが挙げられる。教育面の特色として、平成12年度より学部レベルから歯科医学分野の研究者・教育者と高度専門医療人を選択的に教育するために、2つの教育コース(最先端歯学研究コース,臨床歯科医学コース)を設置した。この内、最先端歯学研究コースでは学部・大学院10年一貫教育を課し、学士課程において将来の大学院教育に必要な学識や研究手法を修得するための歯学基礎演習・研究実習などを講義し、学部レベルで既に大学院教育へ向けた準備を完了させることを目指している。このような教育システムこそが、新たな概念の生物学的歯科医学確立のための教育カリキュラムおよび人材育成を可能とする。さらに、本拠点で実施した大学院生やポスドクなどの若手研究者の育成は極めて重要な意義を有し、新しい概念の歯科医学研究を修得した有為な人材の永続的な輩出は、次世代における歯科医学の発展に大いに貢献すると考える。
研究面においては、間葉系幹細胞を用いた再生医療研究など、講座単位での研究体制から研究科全体にわたるプロジェクト型研究の推進が始まっており、平成15年4月に設置された自然科学研究支援開発センター内にプロジェクト型研究のスペースを確保するとともに、有能な若手研究者が独立して研究を遂行できる環境作りを既に進めている。これまでの研究実績を背景に、新しい概念の歯科医学研究を創生することが本拠点の特色であり、次世代の歯科医学研究拠点として世界をリードしていくことが強く期待される。
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3.本拠点形成の成果
1)教育面の成果
今回措置された大学院教育研究拠点としての採択と拠点形成費、非常勤研究員経費は、次世代を担う歯科医学分野の教育者・研究者ならびに高度専門医療人を養成するとした本研究科の理念に沿って、大学院学生に生命科学の幅広い学識や先進的研究遂行に必要な研究手法を修得させることを目的とした事業に供した。
教育研究機器に関しては、研究科内で仕様策定を検討し、遺伝子や蛋白の機能構造解析を可能とするシステムとして構築した。設置後は、中央研究室運営委員会が学生・教官への使用説明会を開催し、研究遂行に必要な効率的運用を図ってきた。一方、教育面でも、これらの機器を用いた演習、実習を繰り返し実施し、学生の先進的学識や研究手法の修得に努めてきた。
その結果、大学院生の教育・研究面に多大な貢献をもたらした。すなわち、今回設置された遺伝子・蛋白構造・機能解析システムは、ポストゲノム時代を迎えて、生命現象をシステムとして捉えるために、ゲノム・遺伝子から、分子・蛋白・細胞個体、生態系を包括する戦略的研究を具現化するために大いに活用された。また、大学院終了後のポスドクを本拠点計画に参加させ、新たな概念の歯科医学研究を展開できる有為な研究者を養成し、世界に発信するようにした。
その成果として、
1.教官・大学院生の更なる意識改革
2.大学院生の教育システムの向上
3.大学院学生の教育研究設備を含むアメニィティの改善
4.独創的研究マインドを備えた歯科医療人の養成
など教育面の飛躍的改善が達成された。また、具体的には、定員を大きく超える大学院生の受け入れ、学生の研究発表数や学会賞受賞の増加、学生・教官の研究論文数の増加、45%を超える科学研究費の採択率などに現れている。さらに、すでに適用されている研究科全教員の任期制と呼応して、大学院生への教育・研究を推進するという教員の意識を大きく高めることにも寄与した。
2)研究面の成果
今回の教育研究拠点形成プログラムの遂行により以下の研究成果が達成されてきた。
1.歯周病などを対象とした細胞移植治療の確立
2.間葉系幹細胞の増殖分化機構の解明と生物の概日リズム制御因子DEC1/2の機能分析
3.中胚葉性分化因子の機能解析と歯や顎骨の再生機構の解明
4.間葉系幹細胞を用いた筋・血管組織の再生
5.歯周組織再生のための新規代謝性スカフォールドや活性ペプチドの機能評価
6.歯周病患者の遺伝子解析による疾患感受性因子の同定とその機能解析
7.歯周病原菌の慢性感染メカニズムの解明
8.齲蝕および歯周病ワクチンの開発研究
9.口腔癌の関連遺伝子や分化誘導機構の解析と遺伝子診断や遺伝子治療法の開発
10.細胞移植治療などによる口腔機能評価法の確立
これらの成果を新しい生物学的基盤に立脚した歯科医学研究の具現化例として世界に発信する。さらに、その研究教育成果は、長期にわたって継承発展されるもので、その範囲は歯科口腔領域から全身に普遍化されるものと期待される。
3)社会面の成果
本拠点形成によって期待される社会面の成果は、これまでの歯科医学に代わって、生物学的基盤に立脚した歯科医学の新しい概念を確立し、次世代の歯科医学の方向性を世界に発信し、歯科医学のフロントランナーとなりうる人材を輩出することである。また、このような概念に基づく歯科医療を実践することにより、患者のQOL向上が達成されることとなり、その社会的貢献・意義は膨大なものになると確信する。
さらに、本拠点から創出される間葉系幹細胞を用いた歯周組織、顎骨の再生療法の開発、中胚葉性分化因子の機能解析とそれに基づく歯や顎骨の再生、齲蝕および歯周病ワクチンの開発などの研究成果により、新規産業の効率的かつ迅速な創出はもとより、歯科医学の現場、および官民の歯科口腔保健対策事業にすみやかにその成果を反映させることができ、人類の福祉に大きく貢献できるものと強く期待される。
4)今後の展望
高度な大学院教育と先進的研究を遂行するという意識を多くの大学院教員が備えてきたことを踏まえ、これをさらに推進して我が国における歯科医学分野の教育研究拠点としての陣容を確固たるものにしていきたい。また、このことは先に述べた大学院生の教育・研究をより高度なものに位置づけることにもつながり、ひいては本研究科の理念である「次世代を担う歯科医学分野の教育者・研究者ならびに高度専門医療人の養成」をより確実に達成することにつながると確信する。さらに、大学院生の教育・研究基盤や環境を整備することにより、新たな優秀な学生を幅広く集めることも可能となり、我が国はもとより、世界における歯科医学分野の教育研究拠点を創出できると確信する。
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4.特色ある研究プロジェクト
本拠点に関連した研究は現在数多く行われているが、何らかの成果が得られ、報告されているものを、再生医療、悪性腫瘍や先天異常疾患の遺伝子診断・治療、口腔機能とこれに関連する中枢神経機能の評価、の順に紹介しました。
1)間葉系幹細胞の分別マーカーの同定および品質チェックに関する研究
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(間葉系幹細胞の分化、超増幅、マーカー遺伝子:基礎から臨床への応用)
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研究代表者 加藤幸夫(医歯薬総合研究科 探索医科学講座 口腔生化学研究室/自然科学研究支援開発センター)
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細胞を体の外で育てた後に体内に戻し、いろいろな組織を再生させることができるようになる!!
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骨髄間葉系幹細胞は、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、神経など多くの組織へと分化する広範囲の多分化能力を有している。また骨髄液は患者から繰り返し、比較的容易にかつ最小の痛みをともなって分離することができるので、本幹細胞は、再生医療における移植用細胞として最も有望である。しかし骨髄間葉系幹細胞は骨髄液中で全細胞の25万個にひとつしか存在せず、またその細胞寿命は、線維芽細胞などと比較して著しく低い。したがって、自家間葉系幹細胞による再生医療を普及するには、これらを試験管内で大量に培養して増幅する必要がある。
骨髄間葉系幹細胞(MSC)は、造血系細胞の増殖/分化を支持し、かつ骨芽細胞、脂肪細胞の補充に関わっている。骨折すると、MSCの骨芽細胞や軟骨細胞への分化が亢進することが知られている。MSCはin vitro でも骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、筋肉細胞、神経細胞へと分化することができ、しかもMSCの移植はこれらの組織の再生を促すことは興味深い。しかし MSCの多系列への分化メカニズムは不明である。我々は新規のbHLH転写因子DEC1がMSCの軟骨、骨分化を促進して、脂肪、筋肉分化を抑制することを見いだした。多くの組織でDEC1の発現は概日リズムを示し、この転写因子は生物時計系からの情報を基にしてMSCの分化の制御する役割を果たしている。つまり時間情報と分化を連結させる。またMSCの増殖能力は線維芽細胞より弱く、かつ培養系での寿命も短い。そこで我々は、MSCの増殖を促進する2つの方法(bFGF法および細胞外基質コート培養皿法)を開発した。これらの方法で、MSCを1万500億倍に増殖させることができ、しかも増殖した細胞は多分化能力を維持していた。ウシ胎児血清を用いず、自家ヒト血清でMSCを増殖させることができるのは我々の方法だけである。また歯槽骨欠損モデル動物あるいは関節軟骨欠損モデル動物に自家MSCを投与すると、これらの組織の再生を促進した。MSCは線維芽細胞とは異なる遺伝子発現パターンを示した。これはMSCのマーカーとして役立つ。本学の歯周病科で歯周病患者へMSCを移植する臨床研究を開始した。
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2)未分化カエル胚細胞からあごを作ることに成功
研究代表者 岡本哲治(医歯薬総合研究科 先進医療開発科学講座 口腔外科学第一研究室)
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カエルの胚(はい)から取り出した未分化な細胞を使い、試験管の中であごの骨を作ることに成功!!
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アフリカツメガエルの胚から未分化な細胞を取り出し、分化誘導因子であるアクチビンを加え培養した。アクチビンの濃度や培養方法を検討して、出来た組織を分析した結果、カエルのあごに特有の遺伝子とカエルを含む脊椎(せきつい)動物の頭や顔に特有の遺伝子が働いていることがわかった。さらに培養すると、歯に特有の遺伝子が働いていることも確かめられた。
あごや歯の組織が出来るときに働く遺伝子群は、脊椎動物ではほとんど共通と考えられるので、あごや歯の発生のメカニズムを解明できるだけでなく、あごや歯の再生医療につながる成果と考えている。
以上の研究成果は、米科学アカデミー紀要:Proc. Natl. Acad. Sci. USA., Vol. 99:15474-15479, 2002.に掲載された。また、毎日新聞2002年11月9日全国版、中国新聞2002年12月10日社会面で、それぞれ紹介された。また、下記のごとく本研究により福井助手が受賞をした。
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高円宮妃殿下ご臨席のもと、福井康人氏「第十七回独創性を拓く 先端技術大賞・審査委員長特別賞」を授賞
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平成15 年7月10日、福井康人氏(医歯薬学総合研究科・助手(歯・口腔外科学第一)は、先端技術大賞・学生部門(審査委員長特別賞)を授賞した。同賞は、日本工業新聞社主催で科学技術創造立国の実現に向け、優れた研究成果を挙げた理工系学生と企業の若手研究者・技術者を表彰する制度で、1987年に創設され、今年で17回目を迎えた。
福井氏の授賞論文タイトルは、「アクチビンAによるアフリカツメガエル胚末分化細胞からのin vitroでの顎顔面軟骨の誘導」で、同氏が本年三月に修了した歯学研究科在学時に行った研究成果である。授賞理由は、「再生医療への展開が期待できるうえ、社会的意義が大きい」と評価されたものである。
授賞式は東京プリンスホテルを会場に、高円宮妃殿下のご臨席のもと、ノーベル化学賞受賞者の白川英樹名誉審査委員長、遠山文部科学大臣、細田科学技術政策担当大臣、西川経済産業副大臣、尾身科学技術創造立国推進調査会会長ら産学官の関係者約三百人が出席し、挙行された。
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3)エナメル基質合成ペプチドを用いた歯周組織および骨再生療法剤の開発
研究代表者 高田 隆(医歯薬総合研究科 先進医療開発科学講座 口腔病理学研究室)
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エナメル基質タンパク(EMPs) が根部歯周組織発生において重要な役割を果たすことが明らかとなり、新しい歯周組織再生療法材として臨床にも応用されている。しかし、EMPsの歯周組織再生促進メカニズムについては未だ十分に明らかにされていない。そこで我々は歯周組織再生に関わる細胞の増殖分化に対するEMPsの影響について検討した。その結果、EMPsは歯根膜細胞や骨芽細胞の増殖を濃度依存的に促進し、アルカリホスファターゼ(ALP)活性や石灰化能も促進した。そこで次いでEMPsに含まれるどの成分のどの部分に、そのような生物活性があるのかを明らかにし、合成ペプチドを用いた歯周組織および骨再生療法剤として利用する可能性について検討した。その結果、歯牙形成期において上皮-間葉相互誘導に関わることが示唆されているアメロブラスチンの、遺伝的によく保存されているアメロブラスチンN端部合成ペプチド(16アミノ酸)が歯根膜細胞の増殖とALP活性を上昇させ、骨芽細胞や骨髄由来間葉系幹細胞に対してもALP活性および石灰化能を高度に上昇させた。ラットの歯周組織欠損モデルや骨欠損モデルを用いた組織形態学的な評価においても、ペプチド適用群では露出象牙質面におけるコラーゲン線維の挿入を伴うセメント質様硬組織の沈着や骨欠損部の再生が観察された。以上の結果から、アメロブラスチン合成ペプチドが新しい歯周組織再生療法剤や骨治癒促進薬として応用できる可能性が示された。
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4)ハイブリッド型バイオスカフォールドの創製
研究代表者 岡崎正之(医歯薬総合研究科 探索医科学講座 生体材料学・歯科理工学研究室)
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高齢化社会を迎え、歯槽骨吸収の進行を抑制・治療し、健全な咬合機能を回復することへの要望が高まっている。いかにして骨再生能の衰えている高齢者に対し、義歯や人工歯根を保持できる安定した歯槽骨を再建し完全な機能回復を達成するかが緊急の課題である。そのためには、骨芽細胞の誘導を促進し活性を高める必要がある。
本研究プロジェクトでは、アパタイト複合体に対し、生体触媒として知られるMg等の二価金属イオンをその表層に配し、これを介在させることにより骨芽細胞の誘導を促進し、さらには複合体の超多孔化を図ることによりBMPのような生理活性物質の拡散や骨芽細胞の侵入を容易にし、迅速な骨再生を可能とする新規機能性骨代替材料の創製を目指した。このことにより骨代替材料を自然骨に置き換えることができ、修復部の生体内での機能回復を飛躍的に向上させることができる。
従来のリン酸カルシウム系骨補填財は内部に細胞が遊走するための連続した気孔は少なかったが、本研究により複合体の内部には細胞の遊走に不可欠な連続孔を備えたスカフォールドの作製が可能となった。従来使用されてきた骨代謝材料の多くが緻密燒結体ないしは小孔径を有するポーラス体であったのに対し、本研究の超多孔性スポンジは、内部への細胞の侵入が容易な大孔径を有し、かつ空隙率が非常に高い(70%)という新規性がある。また、本新規生体材料は、バイオミメティックな炭酸アパタイトとマトリックスコラーゲンにより海綿体を形成することを特徴とする。ただ、複合体のみでは培養液中で収縮し連続孔が崩れるため、形態保持が可能な大孔径貫通孔を備えたフレーム創製の研究が進行中である。今後は、超多孔性スポンジと形態保持用フレームをハイブリッド化しサイトカインや間葉系幹細胞を配した内部は海綿骨、外部は緻密骨に相当する生体骨類似の新規バイオスカフォールド生体材料の創製を目指す。
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5)基底細胞母斑症候群および口腔癌におけるsonic hedgehog-patched系の機能解析
研究代表者 岡本哲治(医歯薬総合研究科 先進医療開発科学講座 口腔外科学第一研究室)
Sonic hedgehog (Shh)およびその受容体であるpatched(PTCH)は発生期の左右軸決定やneural crestの発生に重要な働きをしている。また、Shhの変異は正中裂や単眼症を伴う全前脳症を引き起こすこと、PTCHの変異は基底細胞母斑(Gorlin)症候群 (NBCCS)を引き起こすことが報告された。我々は顎嚢胞を有するNBCCS患者ではexon8の1162番目の塩基アデニンのチミンへの変異を認め、同変異は338番目のコドン、アスパラギン酸のチロシンへの置換を示唆した。5種類の口腔扁平上皮癌(SCC)細胞のうち4種類にexon12の1682番目の塩基チミンのグアニンへの変異を認め、同変異はコドン561のアミノ酸メチオニンのアルギニンへの置換を示唆した。遺伝子組替型SHH-Nを作成し、同タンパクの各細胞の増殖に及ぼす影響について検討した結果、PTCHに変異を有するOSCC細胞の増殖はSHH-Nに影響を受けなかった。しかし、 PTCHの変異を示さないOSCC、SAC、正常上皮細胞の増殖はSHH-Nにより濃度依存的に促進された。したがって、PTCHの変異は、Shh非依存的にPTCH下流のシグナルを活性化することにより、口腔扁平上皮の癌化に深く関与していると考えられた。そこで野生型ptch遺伝子を変異を持つ口腔 SCC細胞に導入したところ増殖を強く抑制した。したがって、野生型ptchを用いた口腔扁平上皮癌の遺伝子治療の有用性が示唆された。
以上の研究成果は、Oncogene, 21:2670-2678, 2002; In Vitro Cell. & Developmental Biology-Animal, Vol 37, No. 7, 459 - 464, 2001; Br. J . Dermatol., 45:508-511, 2001. に掲載された。
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6)沖縄近海軟サンゴから強力な抗癌作用を持つ新物質を発見
研究代表者 岡本哲治(医歯薬総合研究科 先進医療開発科学講座 口腔外科学第一研究室)
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沖縄近海のサンゴから強力な抗癌作用を持つ新物質を発見した。既存の抗癌剤に比べ、抗癌作用は同濃度で最大170倍も強い!!
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軟サンゴ類のシヌラリアから抗癌物質5種類を抽出。このうち3種類は未発見の物質で、いずれも脂肪の分解でできる物質に似ており「アシルスペルミジン」と名付けた。がん細胞の細胞自滅(アポトーシス)を引き起こす効果がある。新物質の抗癌効果を人間の口中の粘膜にできる扁平上皮癌細胞と、唾液腺癌細胞で調べたところ、1ミリ・リットル当たり17ナノ・グラム(1ナノは10億分の1)という低濃度で癌細胞の増殖を半分に抑え、濃度を同40ナノ・グラムに上げると、癌細胞はすべて死滅した。
これは既存の抗癌剤に比べ最大170倍の効果。現在、マウスを使った動物実験で効果を確認中である。南方の海域ではよくみられる軟サンゴは、テーブルサンゴなど固い外骨格を持つ造礁サンゴと違い、軟らかい肉質の群体を作るのが特徴。新物質は軟サンゴ1キロ・グラム当たり約0・6グラムしか取れないが、今後は人工合成にも挑戦する。
以上の研究成果は:Biosci. Biotechnol. Biochem., 67 (6), 1410-1412, 2002.に掲載された。また、琉球日報2001年10月26日、沖縄タイムス2001年10月26日、中国新聞2001年10月27日社会面、読売新聞2002年5月15日全国版で、それぞれ紹介された。
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7)Keratinocyte growth factor 受容体による細胞分化と細胞自殺(死)の誘導を介した唾液腺癌細胞の増殖抑制
研究代表者 岡本哲治(医歯薬総合研究科 先進医療開発科学講座 口腔外科学第一研究室)
私たちは正常の唾液腺上皮細胞はKeratinocytegrowth factor 受容体(KGFR)のみを発現していることを前に報告しました。そして、ヒト唾液腺腫瘍の癌化過程でKGFR遺伝子の発現が消失し、同時にFGFR1やFGFR4遺伝子が発現することを報告しました。
本研究で私たちは、野生型KGFR遺伝子および、KGFR の細胞外領域をコードする遺伝子とFGFR1の細胞内領域をコードするキメラ型遺伝子を唾液腺癌細胞に導入しました。その結果、野生型KGFR遺伝子導入により、唾液腺癌細胞の増殖は試験管内およびマウス移植腫瘍の系において、細胞分化および細胞死の誘導を介して抑制されることを明らかにしました。
私たちの今回の研究結果は、KGFRによる腫瘍制御の機構に関して有用な知見を提供するとともに、KGFR遺伝子を用いた遺伝子治療はヒトの唾液腺癌の増殖を抑制する有用な方法であることを示唆しています。
今後の展望として、口腔に発生する腫瘍は他臓器の腫瘍と異なり、直接視認、触診できることが多いので遺伝子の直接導入も簡単で、また治療効果の判定も非常に容易です。またさらに、有効な治療法が今までなかった唾液腺癌の治療法として、KGFR遺伝子を用いた遺伝子治療は非常に有望と考えますのでぜひ臨床応用を目指したい。
以上の研究成果は米国科学アカデミー紀要に掲載された(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, vol. 98, 20:11336-11340, 2001)。また、その内容が朝日新聞2001年9月18日全国版、中国新聞2001年9月19日社会面で、それぞれ紹介された。
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8)口腔癌におけるp27タンパクの発現異常メカニズム解明とp27を標的とした遺伝子診断・治療法の開発
研究代表者 高田 隆(医歯薬総合研究科 先進医療開発科学講座 口腔病理学研究室)
細胞周期調節因子であるp27 は、G0/G1期における細胞の増殖停止に関与しているが、細胞がS期に進行すると、p27タンパクはユビキチン化され、プロテアソームにより分解される。p27タンパクの発現低下は、多くの悪性腫瘍で高頻度にみられ、悪性度によく相関しており、その発現低下には、ユビキチンを介したプロテアソームによるタンパクの分解異常が関与していると考えられている。p27タンパクのユビキチン化には、187番目のスレオニン残基のリン酸化が引き金となり、 Skp1、Cul1およびSkp2からなるSCF複合体によりユビキチン化され、Skp2は、p27タンパクのユビキチン化に特異的である。
我々は、口腔癌および唾液腺癌においてp27タンパクの発現低下が80%以上にみられ、その発現低下にユビキチンを介したプロテアソームによる異常な分解が関与することを明らかにした。さらに、口腔癌におけるp27タンパクの発現低下にSkp2の過剰発現が関与していることや、 p27とSkp2の結合を安定化させるアダプタータンパクであるCks1が多くの症例で過剰発現していることを見出した。
口腔癌においてこのようにp27 タンパクの異常が高頻度にみられ、その異常は分解の亢進によることから、我々は次にp27タンパクの分解抑制を目的にした遺伝子診断や治療の開発に関する研究を行った。その結果、プロテアソーム阻害剤投与や187番目のスレオニンをアラニンに変換したmutant p27の遺伝子導入やCks1およびSkp2 siRNA導入によるp27タンパク分解の抑制を試み、癌細胞の増殖抑制やアポトーシスが誘導できることを明らかにした。p27タンパクの分解異常の詳細について、さらに明らかにするため、癌細胞におけるユビキチン化ならびにプロテアソーム分解系異常のメカニズムの詳細についての引き続き検討を行っている。
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9)神経伝達物質トランスポーターの機能調節および疾患、薬物作用に関する研究
研究代表者 土肥敏博(医歯薬総合研究科 病態探求医科学講座 歯科薬理学研究室)
神経伝達物質トランスポーターは、遊離された神経伝達物質をシナプス間隙より再取り込みすることにより神経伝達を終結する重要な役割を担っている。したがって、その構造活性相関および発現調節は中枢神経機能、神経疾患、薬物作用と密接な関連性を有する。
我々は、ノルエピネフリントランスポーター(NET) にはいくつかのスプライスバリアントがあること、これらバリアントはNETの発現および薬物感受性を調節している可能性を示した。さらに、神経伝達物質トランスポーターの神経毒取り込みと細胞毒性における役割、脊髄における炎症性疼痛、神経因性疼痛の制御における役割に関する研究および抗うつ薬によるモノアミントランスポーターの慢性的遮断による局所麻酔薬痙攣の感作など、神経伝達物資トランスポーターの機能調節、生理・病態生理、薬物作用に関する研究を行っている。
参考資料:Dominant negative isoform of rat norepinephrine transporter produced by alternative RNA splicing. Shigeo Kitayama, Tetsurou Ikeda, Chieko Mitsuhata, Tomoyuki Sato, Katsuya Morita and Toshihiro Dohi
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10)インプラントオーダーメイド医療
研究代表者 赤川安正(医歯薬総合研究科 顎口腔頚部医科学講座 歯科補綴学第一研究室)
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個々の患者にマッチした、生体親和性の高いインプラント治療の実現!!
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生体固有の骨構造をベースとするバイオメカニックスシミュレーションを用いて、生体個々にあったインプラントの埋入と上部構造を設計するオーダーメイドのインプラント個体医療の開発を目指す。
1.μCT像から生体固有の顎骨バイオメカニックスモデルを作製
2.シミュレーションによりインプラントの最適な埋入本数と部位を決定
3.CAD/CAMで作製したステントを用いたインプラントの埋入
4.生体固有の咬合シミュレーションデータを適用した上部構造の装着
現在まで、当研究室では、個体固有の顎骨のバイオメカニックモデルの作製に成功している。この研究成果を基に研究プロジェクトを推進していくことで、今まで不可能であった、世界初のオーダーメイド医療が確立できる。これが完成すると多くの患者にそれぞれの固有の条件に沿った、きわめて安全で確実性のあるインプラント医療が確立でき、多くの患者のQOL向上に大きく貢献できる。
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11)咀嚼性求心性刺激が中枢神経系の構造・機能に及ぼす影響:アルツハイマー病の原因となるアメロイドベータ蛋白の沈着との関係
研究代表者 丹根一夫(医歯薬総合研究科 顎口腔頚部医科学講座 歯科矯正学研究室)
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日頃から歯を大切にし、よく噛むことがボケの予防につながる!!
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中枢神経系におけるアミロイドベータ蛋白の沈着による老人斑の形成ならびに神経細胞の喪失は、アルツハイマー病の神経病理学的特徴である。一方、ミクログリアは、貪食機能あるいはある種の蛋白分解酵素放出機能によりアメロイドベータ蛋白を取り除くことができることが過去の研究により実証され、中枢神経系への同蛋白沈着を阻害する役割を果たす可能性が示唆された。また、今回実験に供した大理石骨病マウスでは、このミクログリアの数が減少していることが報告されている。
本研究では、正常マウスと先天的に歯の生えない大理石病マウスを対象として、中枢神経系の大脳皮質、海馬、視床などの部位におけるアメロイドベータ蛋白の沈着と海馬周辺における神経ニューロン数について世界で初めて検討した。その結果、大理石骨病マウスにおいては、上記の部位にアミロイドベータ蛋白の沈着による老人斑の形成が多数検出されたのに対して、正常マウスではまったく認められなかった。また、海馬周辺における錐体細胞数を比較すると、大理石骨病マウスではその数が有意に少ないことが明らかとなった。
以上の結果は、常に食物をよく噛んできたマウスと比べて、先天的に歯の生えない大理石骨病マウスでは、咀嚼に伴う中枢への刺激が恒常的に減少しているため、中枢神経系の各部位におけるアメロイドベータ蛋白の沈着や記憶や学習に大きな関わりを有する海馬周辺の神経ニューロン数の減少が惹起されることを実証するものである。実際のアルツハイマー病患者さんの口腔内を観察すると、歯の喪失が顕著で、長期間にわたり咀嚼機能が大きく低下していることが容易に推察されるが、このことがアルツハイマー病の発症に関与している可能性が強く示唆される。さらに、咀嚼機能を賦活させる的確な治療により、同蛋白の沈着や錐体細胞の減少を抑制し、ひいては痴呆の発現を予防することができると考えられる。また、このことから組織欠損などを細胞移植治療などの先進的医療により達成することは、顎口腔領域の機能修復にとどまらず、中枢機能を含む全身機能の賦活、亢進につながるという意味からして、きわめて大きな意義を有することが強く示唆された。
本研究成果に基づいて、広島大学大学院医歯薬学総合研究科顎口腔頚部医科学講座歯科矯正学研究室の丹根一夫教授、加来真人助手、筒井啓介院生らの研究グループは、アルツハイマー病に特徴的な特異蛋白の発現と噛むことによる中枢への求心性刺激との関連性を明らかにし、公表した(Brain Research, Elsevier Science, Amsterdam, Netherlands, 12巻104-108頁, 2003)。また、このことが中国新聞朝刊(2003年9月3日)で紹介されるとともに、中国放送でテレビ報道された。
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平成13年(2001年)の教育研究拠点採択後、より卓越した業績が達成されてきた。
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〇研究成果の発表状況及びその水準(すべての教員を対象)
・教官の研究業績の評価 (旧歯学研究科教授19名について)
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旧歯学研究科における教官一人あたりの研究論文業績は、過去5年間の英文論文数インパクトファクター年平均がそれぞれ2.06、3.36であり、全国歯科医学研究機関の中でも極めて優れた成績を収めている。
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・外国における評価を示す事実(旧歯学研究科教授19名について)
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国際学会での招待講演の数は、ほぼ20回前後の値を示している。これは各教授が年一回程度、国際学会で招聘講演をしていることを示している。
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・科学研究費補助金の採択状況
科研の採択率が過去数年間45%を超える高い値を保ち,平成14年には約70%に達した。
・国際的評価の高い学術雑誌への発表
1998-2002年の間に論文掲載がなされた特筆すべき学術雑誌には以下のものがある。
Nature (Impact Factor:28), J. Exp. Med. (15.2), Proc. Natl. Acad. Sci. USA (10.8),
New Eng. J. Med.(29.5),J. Clinical Investigation (12.0), Circulation (10.9),
Gastroenterology (12.2), EMBO J (14).
また、研究論文の被引用数が平成13年度の調査で14,876の高い値を示した。
・特許申請・取得・実施状況
特許の取得・申請は平成13年以降年平均13件の申請がなされており、産業界との連携が大きく進展してきた。
・研究実績と水準
歯学研究科では、幅広い生命科学分野の研究課題に取り組んでいる。特筆すべきものとして「骨・軟骨の再生医療に関する研究」、「顎顔面疾患についての遺伝子診断・治療に関する研究」、「歯周病などの慢性口腔疾患の分子生物学的解明に関する研究」、「新規生体移植材料の開発研究」、などが挙げられる。特に、骨・軟骨の再生医療に関する研究については、科学技術振興財団の支援によりベンチャービジネスラボラトリー(VBL)への発展が進められ、平成14年に”ツゥーセル”という学部・研究科発の会社組織を創設した。
〇教員等の流動性
歯学研究科では完全公募制を設定し、これに基づく教員選考を行ってきた。また、平成13年4月に、全国歯科医学研究機関の中でも最も早く全教員の任期制を制定し、教員の意識覚醒をはかるとともに研究組織の流動性を高めてきた。
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〇大学院学生に対する教育の状況
・大学院学生の学会での発表の状況
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院生一人当たり年一回以上の学会発表をしており、研究指導が順調に行われていることを示している。
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定員充足率は100% を超えている。平成13年度には初めてフェニックスコース(概ね60歳前後の者を対象)の大学院生を受け入れた。また、1998年〜2001年入学者133名のうち72名(54.1%)が他大学出身の学生で、うち地元出身者でない学生が29名(40.3%、全体の21.8%)いることは、本研究科の実績、教官の業績などが全国的に高く評価された結果である。
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〇産業界や地方公共団体等との連携、国際的な連携協力の状況
・奨学寄付金、受託研究、共同研究受入状況
受託研究、共同研究は最近増加し、特に産学官連携事業の一貫としての研究が増加してきた。一方、奨学寄付金は年平均35件余りを獲得している。
・教育及び研究に係る国際的な連携協力活動や取り組み等の状況
国際交流・協力に関しては、日本学術振興会の拠点校交流で4名の教授がタイ国チュラロンコン大学に出掛け、大きな成果を上げてきた。また、大学間あるいは学部間学術交流協定を締結している多くの大学へ出掛け、大きな国際貢献を果たしている。とりわけ、岡本らが継続して実施してきたカザフスタン共和国のセミパラチイスク地区の医療・研究機関との医療・学術面の交流は特筆されるものである。さらに、日本学術振興会の日英あるいは日韓科学共同事業においても、本学部の教員が有益な学術交流を行ってきた。
〇大学院における教育研究活発化の状況
・教育研究支援環境(図書館、IT、施設整備等)の整備
少人数学生用セミナー室の整備を積極的に推進し、実用に供した。また、平成13 年度大学院教育研究拠点形成支援経費により大学院生の教育研究施設の整備を行った。具体的には、IT利用の講義室の整備、先進的遺伝子・細胞解析システムの設置などである。さらに、研究設備に関しては、大学院重点特別経費(平成10,12,13年度採択)を計画的に執行し、大学院生の研究遂行のための機器の整備を行った。このように、個々の講座単位でなく、研究科全体の理念と目標に基づいて継年的に大学院生の教育研究設備を整備してきた結果、教育・研究のための共用機器の整備が着実に図られてきた。
〇その他
・学士課程教育の成果
歯科医師国家試験合格率は、過去5年間(平成8年-12年)の総合成績で全国29大学歯学部・歯科大学の中で第2位のきわめて高い位置を占めていた。さらに、平成13年度は現役学生の合格率が全国第1位、平成14年度は全国第2位で、継続的にトップランクを保持している。
・大学院学生の国際交流の推進
歯学研究科の大学院生(2 年生)が文部科学省の「平成14年度最先端分野学生交流制度」に文部科学省による英語面接、研究内容の審査などを経て採択され、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校での研究研修を体験してきた。これは、広島大学のすべての研究科の中で唯一人の採択であった。また、平成15年度にも1名の大学院生(広島大学全体で4名)が同制度によりアムステルダム大学での研究研修を終了した。
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