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概要

下の写真の望遠鏡が、宇宙科学センター附属東広島天文台の基盤をなす1.5m光学赤外線望遠鏡「かなた」です。この望遠鏡は、もともと大学共同利用機関である国立天文台がその三鷹キャンパス内(東京都)に「赤外シミュレータ」という名前で建設・所有し、主にすばる望遠鏡(1999年竣工)の観測装置の試験に活躍してきました。望遠鏡の集光力を決める主鏡の有効径は1.5mです。これは、すばる望遠鏡の有効径8.2mの5分の1以下ですが、国内に存在する望遠鏡としては依然最大級ですし、大学が国内に所有する望遠鏡では、北海道大の1.6mピリカ望遠鏡に次ぐ大きさになります。広島大学は、この望遠鏡を、観測環境および利便性に優れた東広島市東南部の山頂部へ2006年に移設し、望遠鏡制御系の改良、新しい観測装置の開発を進め、研究基盤を充実させました。そして、X線やガンマ線で天体を観測する人工衛星と密着した、大学望遠鏡ならではの、特徴あるユニークな観測研究を推進しています。

 

かなた望遠鏡(広島大学1.5m光学赤外線望遠鏡; 2009年6月撮影)

上の写真を見ながら、望遠鏡の構造の解説をしたいと思います。(下の図も適宜参考にして下さい。)望遠鏡は、鏡筒が青色、架台が緑色に塗装されており、天頂を向いた状態において、ドーム観測室床面(=ターンテーブル上面)から最上部までの高さは約5.3mあります。望遠鏡の架台は、ドームの回転や人の動きによる振動が望遠鏡に伝わらないように、ドーム施設とは独立した基礎を持つピアに据え付けられています。この望遠鏡の架台は経緯台と呼ばれ、鉛直軸まわりの水平回転と、高度軸回りの垂直回転(望遠鏡がおじぎをするような運動に対応)の2軸の回転により、鏡筒が望みの天体へ指向されます。鏡筒とは、望遠鏡の光学系を実装している部分で、トップリング、トラス、センターセクションなどで構成されます。有効径1.5mの主鏡は、中央がへこんだ凹面になっており(中央部の厚み200mm)、センターセクションの中で、下から12点(うち3点は固定点)、横から10点で支えられています。副鏡は直径302.8mm(新セラミック副鏡では323.2mm)の凸面鏡で、トップリングに据え付けられています。望遠鏡で集められた光は、第3鏡(平面鏡)の着脱により、ナスミス焦点かカセグレン焦点のいずれか一方に像を結びます。それぞれの焦点に観測装置が搭載可能です。

なお、「かなた」の愛称は公募により選ばれました。1333通に及ぶ御応募、有難うございました。また、架台の緑色と鏡筒の青色は広大のカラーです。
 

かなた望遠鏡外観図((株)西村製作所 提供)

鏡筒(特にセンターセクションより下部)は簡易的に描かれています。詳細は下の赤外シミュレータの外観図を参考にしてください。なお、カセグレン・ローテータのフランジ面とターンテーブルの床との距離は、赤外シミュレータよりも20cmだけ長くなっています。

 

外観図

(参考)赤外シミュレータ外観図(国立天文台 提供)

鏡筒(=トップリング~トラス~センタセクション~カセグレンローテータ)はかなた望遠鏡のものと同一です。
 

かなた望遠鏡の光学系の解説のページ
主な諸元
 
光学系 Ritchey-Chretien 光学系
主鏡の有効径 1500mm
主鏡材 ULE(Ultra Low Expansion; 超低膨張)ガラス
合成F値と焦点距離f F/12.2  f=18,300mm (F/12.3 f=18,501.7mm)
視野 直径15分角(=0.25度)
焦点面スケール 11.271秒角/mm (11.148秒角/mm)
架台 経緯台 最大角速度 方位軸まわり5度/秒 高度軸まわり2度/秒
総重量 約17トン
搭載可能重量 カセグレン焦点500kg ナスミス焦点1000kg

※表中の括弧内の値は、新セラミック副鏡を用いた場合のもの
 

参考資料
 

ウェブ
 東大・理・天セ・赤外線天体物理学グループのページ

文献等
 「赤外シミュレータのハルトマン・テスト」 田中済ほか、国立天文台報、Vol. 2, pp. 537-544 (1995)
 「赤外シミュレータの据付調整」 沖田喜一ほか、国立天文台報、Vol. 2, pp. 645-660 (1995)
 「赤外シミュレータ制御系」 中村京子ほか、国立天文台報、Vol. 2, pp. 735-763 (1996)
 「赤外シミュレータの光学性能評価及び指向性能評価」 表泰秀ほか、国立天文台報、Vol. 3, pp. 99-115 (1998)
 「赤外シミュレータ制御系の改良」 川端拡信ほか、国立天文台報、Vol. 4, pp. 163-170 (2000)