小児がん拠点病院とは

ごあいさつ

 小児がん拠点病院は、小児がん患者とその家族が適切な医療や支援を受けられる環境の整備を目的として、厚生労働省が指定する施設です。質の高い小児がん医療を提供するとともに、地域の医療機関と連携して包括的な医療を提供するための中心施設としての役割を持ちます。
 国内では年間2000~2500人のお子さんが小児がんと診断されています。一方、小児がんを扱う国内施設は約200程度あり、数少ない小児がんのお子さんが各施設で診療を受けています。そのような状況の下、地域の小児がん診療の中核を担う施設として『小児がん拠点病院』が選定されました。広島大学病院は、全国15施設ある小児がん拠点病院の一つで、中国四国ブロックで唯一の指定病院です。
 中国四国地方は交通の便が悪く、すべての患者さんが特定の病院で治療を受けることは困難です。そこで中国四国地区では、16施設の小児がん連携病院が連携し、すべての患者さんに最適な医療を提供できるような体制を整備しています。小児がん連携病院が一同に介したテレビ会議を開催し、個々の患者さんに適切な医療と支援が提供できるように相談をしています。
 小児がん患者により良い医療を提供するため、他の小児がん拠点病院との連携も大切にしています。東は兵庫県立こども病院、西は九州大学病院の拠点病院と連携し、小児がん患者に対する最善の治療を目指します。小児がん患者の約80%で長期生存が期待できるようになり、治療後のお子さんの『生活の質』の向上が必要です。長期にわたり医学的、心理的、社会的、教育的な問題を支援できるような診療・相談体制の構築にも努めます。
 患者さんとご家族ならびに小児がん医療の関係者のみなさんから、多くの意見と提案をいただきながら拠点病院としての役割を果たす所存です。一人でも多くの小児がん患者の『質の高い治癒』に繋がるよう、ご協力ご支援をよろしくお願いいたします。

広島大学大学院医系科学研究科 小児科学 教授
岡田 賢


up