令和3年 年頭挨拶

年頭挨拶 (2021.1.4)

 あけましておめでとうございます。2021年、令和3年の年頭に当たり、一言ご挨拶申し上げます。皆さんにとって、今年が良き年となりますよう、心より祈念いたしております。
 
 昨年を振り返ると、文字通りコロナに明け、コロナに暮れた1年でした。2019年12月に最初の症例が報告された新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界中へと広がり、昨年1年間で8000万人以上が感染、亡くなった人も170万人余に達しています。
 国内でも感染者数は24万人を超え、3600人が死亡するなど、今や大都市圏のみならず地方でも感染が急拡大する厳しい状況が続いています。こうした中、本学でも感染者が確認されましたが、幸い大きなクラスターの発生はなく、ひとまず抑え込むことができました。これも学生・教職員の皆さん一人一人の意識と取り組みのおかげであり、心から感謝いたします。
 未曽有の危機に対し、本学は構成員の健康・安全を最優先にしながら、4月8日からオンライン授業をスタートし、学生・教員の教育研究活動を維持するよう全力で取り組んでまいりました。第3タームで対面による授業を拡大したのに続き、現在の第4タームでは、オンライン授業のメリットも生かしつつ、教養教育科目は原則として対面で行っているところです。
 同時に、アルバイト収入の減少などで生活に困窮している日本人学生や留学生を支えるため、「応急学生支援金」を全国に先駆けて4月下旬から取り組み、現在も継続しています。
 一方、研究面においては、日本医療研究機構(AMED)が公募した令和2年度「ウイルス等感染症対策技術開発事業」で、「実証研究支援」、「改良研究支援」、「有効性確認研究支援」、「基礎研究支援」の4分野全てに本学の研究課題が採択されました。新型コロナウイルスに対する研究成果や知見を提示することで社会に貢献してまいります。 
 
 昨年はこうしたコロナへの対応とともに、大学改革の取り組みも着実に進めてまいりました。
 大学院については従来の11研究科から4研究科への統合が昨年で完了し、人間社会科学・先進理工系科学・統合生命科学・医系科学の4研究科体制が整い、専門分野の枠を超えたチャレンジが始まっています。
 また国際化に関しても、米国アリゾナ州立大学のサンダーバードグローバル経営大学院広島大学グローバル校を昨年10月、東広島キャンパス内に設置しました。さらに12月には、中国・首都師範大学構内に本学森戸国際高等教育学院の北京校を設置することが決まりました。いずれも国立大学としては初めての試みであり、今年は学生の募集、受入などが本格的に始まります。留学生や外国人研究者を受け入れる国際交流拠点施設もこの秋オープンする予定です。エジプト・ガララ大学への教員派遣や同国の学生受け入れも本格化する予定です。

 被爆から75年が経過し、「平和の大学」としての広島大学に対する期待も高まっています。一つは、本学平和センターが移転を予定する被爆建物・旧理学部1号館の保存・活用です。今一つは、放射線影響研究所の移転候補地に霞キャンパスが挙げられたことです。移転先のいかんにかかわらず、ゲノム編集研究に力を入れている本学にとって、放影研は共同研究の強力なパートナーになると考えています。

 コロナと向き合わざるを得ない日々がいつまで続くのか、いまだ予断を許す状況ではありません。しかし、私自身にとっては、これまで疑いもしなかった日常を、あらためて考え直す機会になったように思います。皆さんはいかがでしょうか。

 「一日生きることは、一歩進むことでありたい」。広島大学が開学した1949年に日本人初のノーベル物理学賞を受賞され、本学ともゆかりの深い湯川秀樹博士が、座右の銘とされた言葉です。
これまでにまいた種が芽吹き、すくすく成長して実を結ぶよう、新しい年は一日一日を大切にしながら、着実に物事を進めてまいる所存です。トンネルの先に見える光を信じて、皆さんと共に歩んでいきたいと願っております。

 最後に、教職員、学生の皆さんそしてご家族の方々にとって、健やかで平和な年となりますことを心より祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

 

 

令和3(2021)年1月4日
広島大学長 越智光夫


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