量子情報生命科学国際プロジェクト研究センター(物質科学セミナーとの共同開催)



物質科学セミナーとの共同開催



日時:2006年4月26日 17:00-18:00



場所:総合科学部 K203



講師:内海 裕洋氏 (理化学研究所古崎物性理論研究室)



講演題目:メゾスコピック系のノイズと計数統計



講演概要:

ナノメートルサイズの金属または半導体デバイスでは電子の量子力学的性質,すなわち粒子と波の二面性が顕著になる.それと同時にこれらいわゆるメゾスコピック系では電子を自由に制御できる.そのため量子現象の実験舞台として1980年代から注目されてきた.

電子の量子力学的性質を反映する現象のひとつはデバイスを流れる電流の揺らぎである.この種の揺らぎは1920年代にマクロな電気回路でみいだされ,以来「ノイズ」として信号を隠す邪魔ものとされてきた.しかし実は,電流揺らぎには電子一つ一つの個性を理解する手がかりがあり,基礎物理の観点からは重要な研究対象となる[1].



最近になって「ノイズ」を超えた高次の電流揺らぎの測定や,電子を一つ一つ数えて電子の統計分布を得ることができるようになってきており[2],



"電子計数統計"が確立している.ここではこの分野の発展を概観する.また現在,理論の興味を引いている強相関メゾスコピック系の計数統計の問題を単電子トランジスタを例にあげて紹介したい[3].



[1] Blanter and Buttiker, Phys. Rep. 336, 1 (2000).

[2] B. Reulet, et al., PRL. 91, 196601 (2003);

Yu. Bomze et al., PRL. 95, 176601 (2005); S. Gustavsson et al., PRL. 96, 076605 (2006). [3] Y. Utsumi, D. Golubev, G. Schoen, PRL 96, 086803 (2006).



世話人 総科 畠中(6547)


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