第173回物質科学セミナーのお知らせ(7月26日)



題名:殺虫剤のトマト表面上における分解および組織中での代謝に関する化学的研究

講師:福島 雅雄氏(住友化学株式会社 生物環境科学研究所)

日時:2006 年7 月26 日(水)17:00–18:00

場所:総合科学部 K203 号室



講演要旨:

本研究では農薬の安全性評価の一環として、植物に散布された農薬の挙動を調べた。農薬として有機リン系殺虫剤と昆虫成長制御剤を使用し、いずれの化合物も放射性同位元素で標識化して実験を行った。植物には主要作物であるトマトを用いて、植物表面上での分解、および植物内部における代謝を詳細に調べた。

植物表面で有機リン系殺虫剤は分解や二量化を受けた。分解の要因を調べるために単離ワックス等を使用した簡易モデルを構築するとともに、吸収スペクトル法および分子軌道法による考察を行った。その結果、植物表面では生物的、非生物的要因の両者によって分解することが明らかになった。

植物内部での代謝における研究では主要代謝経路は酸化反応であったので、効率的な代謝研究のためにin vitro の酸化モデルを構築した。その結果、in vivo と共通する代謝分解物を多く得ることができ、モデルの有用性を確認した。別途、分子軌道計算から求めた反応性指数を指標とする手法でも酸化位置を推定することができた。さらに、有機リン系殺虫剤の代謝においては新規抱合体の構造を明らかにした。





*生物圏科学研究科の共同セミナーの受講者は必ず出席すること。

*今回のセミナーは学位申請論文公開発表会を兼ねます。

このため、工学、理学、先端物質科学研究科セミナーの単位には認定されません。

世話人:田中晋平(内6551)


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