第339回生命科学セミナーのお知らせ(4研究科共同セミナー:8月3日)



下記の通り生命科学セミナーが開催されますので、教員・院生・学生を問わず、多数ご参加下さい。



               記



日時: 平成19年 8 月 3 日(金) 15:00〜16:30 



場所: 広島大学 総合科学部 K306教室



演題: 神経再生研究の進展−脊髄損傷は治療できるか?



演者: 川 野 仁 氏

(東京都神経科学総合研究所・脊髄損傷プロジェクトリーダー)





《 講演要旨 》



現在、日本には約10万人の脊髄損傷患者がおり、毎年5000人にのぼる新たな患者が生じていると言われています。脊髄損傷の多くは交通事故、転落事故、スポーツ事故などにより発生し、損傷部より下位の神経が麻痺し、運動・知覚・自律機能が障害されます。脊髄損傷の悲劇的な点は、若年層の患者が多く、また頚髄損傷による重度の障害者が75%を占めることで、多くの患者が車椅子や寝たきりの生活を余儀なくされています。

現在のところ、脊髄損傷の効果的な治療法は確立されていません。その最大の理由は、成体哺乳類の中枢神経系では損傷後の神経再生が起こらないからです。しかし、ここ20年ほどの動物実験により、中枢のニューロンには再生能があり、損傷後の阻害的な環境さえ改善できれば、損傷を受けた軸索は再生・伸長し、神経回路を再構築して、機能的に回復することが分かってきました。現在、先進国では脊髄損傷治療のためにいくつもの大きなプロジェクトが組まれ、莫大な予算と人員が動員されて、最新技術を使った研究が推進されています。しかしながら、それらの研究は脊髄損傷の治療法の開発に役立つのでしょうか?神経再生研究の経過と現状についてお話し致します。





責任者  斎藤祐見子(内線 6563)

主催者  清水典明 (内線 6528)



(注) 生命科学共同セミナーを受講する生物圏科学研究科の院生は、特に積極的に参加してください。

(注) このセミナーは4研究科共同セミナーの一環として開催されます。

(注) このセミナーは総合科学演習または研究演習の一部として認められています。



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