前野 弘志[詳細]

略歴

1963年生、愛媛県立宇和高等学校卒業、愛媛大学法文学部文学科史学専攻卒業(1987)、広島大学大学院文学研究科博士課程前期修了(1989)、ドイツ連邦共和国チュービンゲン大学歴史学部留学(1989-1990)、広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位修得退学(1993)、同大学助手(1993)、オックスフォード大学古代文書研究所在外研究(1998-1999)、 同大学院文学研究科 助手(2001)、同大学院文学研究科准教授助教(2008)、同大学院文学研究科准教授(2010)

教育・研究内容

古代ギリシア碑文文化について研究している。従来の碑文学は、碑文をテキストから剥ぎ取り、文字テキストとして読んできた。しかし、当時のギリシア人は、現代の碑文学者のようには碑文を読まなかったはずである。彼らは碑文を見て、碑の大きさ、建立の場所、文字の大きさ、碑の装飾などからも多くの情報を受け取っていたはずである。また、碑文は本来、様々に語られるものであった。従来はあまり注目されなかったこれら非文字情報から明らかとなる世界を探っている。また最近では、呪いの鉛板の研究をしている。呪い鉛板には、民衆の心の闇が赤裸々に綴られている一方、地中海世界やオリエント世界における宗教思想の混淆が窺える。

主な研究業績

  • 『アッティカの碑文文化 ―政治・宗教・国家―』広島大学出版会,2007年
  • 「『ギリシア語魔術パピルス』を読む」『西洋史学報』42,pp.1-29,2015年
  • 「デジタル拓本の試み」『西洋史学報』41,pp.107- 111,2014年
  • 「2010年ティール出土呪詛板」平成20-23年度科学研究費補助金基盤研究(A)研究成果報告書(課題番号20251007)『フェニキア・カルタゴから見た古代の東地中海』,pp.197-228,2013年
  • Inscription Link, KODAI: Journal of Ancient History, 13/14, pp.73-83, 2007.
  • Apoikia and Klerouchia -an Analysis of IG.I(3)237-, KODAI: Journal of Ancient History, 8/9, pp.11-29, 1999.


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