広島大学の名講義(工学部) 2019年度後期

以下の授業が2019年度後期の学部の「名講義」の上位11科目に挙げられました。(ただし、実習等及び受講者10人未満の講義は除いています。説明文は、講義概要や到達目標等から抜粋しています。)

 

材料科学  松木 一弘

近年,技術の進歩に伴って,機械や機械システムの高度化のために新しい材料の開発が迫られる場面も多くなり,「材料のわかる機械技術者」や「機械のわかる材料技術者」の要請が強くなった。この場合の「材料」には微視的な性質や挙動にまで立ち入らなければならない内容が多く含まれるようになってきている。本講義では,後続の材料関連の講義の基礎として,機械材料の構造と変化をもたらす諸現象を理解する。
(1)結晶構造の種類,結晶内の方向と面の表示,結晶欠陥および材料の構造を理解・説明できる能力。
(2)平衡の概念,平衡状態図および原子の拡散,相変態を理解説明できる能力。
(3)弾性変形,擬弾性および熱膨張等の原子の結合に起因する性質を理解・説明できる能力。
(4)結晶のすべり変形と塑性変形,転位の運動および材料の強化機構を理解・説明できる能力。

なお,「知識・理解」,「能力・技能」の評価項目は,下記のとおりである。
「教科書の各章末問題を十分な知識・理解のもとに回答できる能力。」

 

伝熱論  荻 崇

基礎化学工学及び応用数学をベースとして,物質間の温度差に基づいて移動する熱エネルギーの移動の評価について基礎的事項を学び,物質の種類,熱源の有無,非定常性,流体の流動状態などによる熱の移動量の変化および熱の移動が関係する操作の設計の基礎を学ぶことを目的とする。
なお,「知識・理解」,「能力・技能」の評価項目は,下記のとおりである。
(1)伝導伝熱,対流伝熱,放射伝熱の特徴および相違点を確認する。
(2)熱伝導方程式を直交座標系,円筒座標系,球座標系で導出し,意義を確認する。
(3)平板,円筒,球体での定常熱伝導を理解する。
(4)発熱を伴う定常熱伝導を理解する。
(5)フィンからの放熱現象を理解し,放熱の重要性を把握する。
(6)非定常熱伝導を理解し,変数分離法を取得する。
(7)非等温流れにおけるエネルギー保存式の解法を理解する。
(8)自然対流伝熱および沸騰伝熱における熱の移動を理解する。
(9)伝熱係数の意義と求め方、関連する無次元数を理解する。
(10)黒体および非黒体間の熱放射による熱の移動を理解する。

 

データ処理および数値解析  松岡 雷士

(1)プログラム言語Pythonの修得を通してデータ構造の重要性を理解する。
(2)Pythonによるデータ分析を修得し,科学技術のための計算機利用の基盤を作る。
(3)Pythonの多様なライブラリの利用を通して現代型プログラミングの基礎を修得する。

 

流体力学II  尾形 陽一

流体力学を学ぶ際の目標は,基本法則を深く理解し,その基本法則を実際の場面に適用して有用な結果を導き出せるようになることである。本講義では特に後者について,いくつかの例題を考えながら,その基礎(非圧縮性流体)を学ぶ。
(1)物体に働く流体力を計算するための方法を理解する。
(2)渦無し流れの扱い方を理解する。
(3)物体形状が物体に働く流体力に及ぼす影響を理解する。
(4)境界層という考え方およびその扱い方を理解する。

 

基礎化学工学  都留 稔了

本科目では,化学工学のみならず工学の広い分野で重要な基礎的概念である,流体の流動現象,熱の移動現象,物質の拡散現象の概念を修得し,これらの現象の定量的,数学的表現法を学習し,移動現象の速度論的基礎を学ぶ。

なお,「知識・理解」,「能力・技能」の評価項目は,下記のとおりである。
(1)Newtonの粘性の法則と運動量流束の概念,Fourierの法則と熱流束の概念,Fickの法則と拡散(物質)流束の概念のイメージを修得する。
(2)層流・乱流の概念を修得する。Reynolds数の定義と物理的意味を修得する。運動量収支(Shell Balance)から層流の速度分布が導出できる。
(3)流体摩擦係数の定義を修得する。圧力損失が計算できる。
(4)機械的エネルギー収支式(Bernoulliの式)の概念および物理的意味を修得する。
(5)拡張されたBernoulliの式を修得する。ポンプの所要動力が計算できる。
(6)熱伝導による温度分布および熱流束がShell Balanceから導出できる。
(7)温度境膜、伝熱係数の概念を修得する。Nusselt数,Prandtl数の物理的意味を修得する。
(8)熱交換における熱交換量が計算できる。総括伝熱係数の概念を修得する。対数平均温度差の概念を修得する。
(9)二重境膜説の概念,および境膜物質移動係数,総括物質移動係数の概念を修得する。

 

機械力学I  菊植 亮

機械に生じる振動を対象に機械力学Iにおいては,主として一般の線形振動系に共通な特性を全て含む1自由度,および2自由度の振動系について解説し,機械振動に関する基礎知識を教育する.本講義の受講により運動方程式の持つ意味とその解析法,および振動の基礎的特性が理解でき,また,振動絶縁の原理が把握できる.
(1)線形自由振動の定式化のプロセスを理解・説明できる能力を修得する.
(2)線形減衰振動の定式化のプロセスを理解・説明できる能力を修得する.
(3)線形強制振動の定式化のプロセスを理解・説明できる能力を修得する.
(4)振動絶縁の原理を理解・説明できる能力を修得する.

 

輸送機器環境工学プロジェクトⅡ  濱田 邦裕・田中 義和・竹澤 晃弘

実際の物作りおよび授業の節目に実施するプレゼンテーションを通じて,以下の能力を修得させる.
(1)講義等で得た工学的手法を駆使し,制約された条件下で計画的に物作りを実施し,目標を達成する能力を修得する.
(2)設計・製作内容の要旨を論理的にまとめ,発表・討議することによってコミュニケーション能力を修得する.
(3)制約条件を踏まえて,複数の設計案を提案し,それらの優劣を評価して適切な設計案を選定する.

 

ヒューマンコンピュータインタラクション  平嶋 宗

ヒューマンコンピュータインタラクションとは,人とコンピュータの情報の相互交換のことである。本授業科目では,このヒューマンコンピュータインタラクションについての理解を深めるために,人の情報処理,コンピュータの情報処理,およびそれらの間をつなぐインタラクションに関する知識を学ぶとともに,インタラクティブシステムの設計や具体的案事例についても学ぶ,この中で特に,人の知的活動である問題解決や学習の促進を目的としたシステムについても学ぶ。

 

専門有機化学III  池田 篤志

有機化学の基幹となす一群の化合物であるベンゼン誘導体,カルボニル化合物,および,これらから誘導される重要な化合物の性質,合成法および反応について講義し,以下に示す有機化学の学問に必要な基礎知識を習得することを目標とする。
(1)不飽和共役分子の電子構造を理解し,その反応性,物性との相関を理解する。
(2)ベンゼン系化合物の芳香族性に関する基礎的な知識を習得し,その特異な安定性と特徴的な反応性について理解する。
(3)各種芳香族求電子置換反応を学び,その類似点と相違点を理解すると共に,置換基の共鳴・誘起効果が置換反応の反応性と配向性に及ぼす影響を理解する。
(4)カルボニル化合物の構造的特徴に由来する求電子付加反応を習得し,その合成化学への有用性を理解する。
(5)カルボニルα水素の酸性度に起因する各種の反応の様式を習得することで,エノラート種の反応と合成化学への応用を学ぶ。
(6)比較的簡単な基本有機化合物から出発し,上記各種の反応を組み合わせることで,有用な炭化水素化合物への合目的骨格合成法を習得する。

 

機構運動学  菊植 亮

機械を設計するためには,機械に所望の運動を行わせるため,設計技術者は機械の各部品をどのような形状にし,どのように組み合わせるかを考えなければならない。そのため,基本的な機構の構造とその静的運動を理解し,以下の項目について習得することを目標とする。
(1)機構の運動学(変位,速度,加速度)を習得する.。
(2)リンク・カムなどの各種装置の運動メカニズムを理解する。
(3)歯車・歯車列の運動メカニズムを理解する。
(4)ロボットメカニズムの運動学を理解する。

 

都市計画  田中 貴宏

都市計画(本講義の「都市計画」は建築物周辺の空間計画を含む)への関心を喚起し,その基礎的な知識を養う。海外事例や身近で具体的な事例等を通して,都市計画の歴史,制度,技法,課題について理解することを目的とする。授業の中で行うレポート,期末に行う試験で評価を行う。また,授業の中で可能な範囲でのディスカッションも行う。 

 

プロジェクトマネジメント  安川 宏紀

(1)輸送機器環境工学分野におけるプロジェクトの進め方とその概要を説明できる。  
(2)特に,安全性及び環境問題を考慮したプロジェクトの進め方について,他者に説明できる。
(3)現場見学を通じ, ものづくりの実状を理解する。
(4)今後の輸送機器環境工学のありかたについて,自分の意見を述べることができる。


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