広島大学大学院工学研究院・電気電子システム数理部門の中本昌由助教が、社団法人電子情報通信学会
から学術奨励賞を受賞しました。
第23回回路とシステム軽井沢ワークショップにおいて講演を行い、学術奨励賞にふさわしいとして授与されました。
【講演題目】ロバスト電子透かしを目的とした反復埋込法の提案
【受賞理由】
電子透かし法のロバスト性を向上させるための新規性および有効性の高い方式が提案されている。
従来までは透かし検出に適切な閾値処理が必要であったが、本手法では擬似乱数を反復的に埋め込むことによって、
相関の正負だけで透かし検出がロバストに行うことができることを示した。
発表も明瞭であり、質問に対する回答も適切であった。
【要約】
近年、インターネットの普及によって世界中のユーザが手軽に画像・動画等のさまざまなディジタルコンテンツにアクセスすることが可能になりつつある。その利便性の一方で、ディジタルコンテンツの不正なコピーや配布が問題となっている。電子透かしは、ディジタルコンテンツに透かし信号を埋め込むことによって著作権を保護する手法として注目を集めている。本論文では、電子透かし法のロバスト性向上を目的として新しい埋込み方法と検出方法を提案する。本論文では、1つの秘密鍵(疑似乱数の初期値)から生成される疑似乱数列から K セットの透かし信号を作成し、それを繰返し埋込んだ場合(これを反復埋込みと呼ぶ。)の相関値と画質劣化について解析を行う。また、反復埋込み法のこの性質を利用した新しい検出法を提案する。これは、K 回の反復で埋込んだ透かしについてそれぞれ相関値を計算し、それらが正となる相関値の個数によって透かしの有無を判定するものである。計算機シミュレーションでは、 標準画像Lennaに対して埋込み実験を行い、各種画像処理への耐性を示す。
【この記事に関する問い合わせ先】
大学院工学研究院 電気電子システム数理部門
助教 中本 昌由
TEL:082-424-7673