それぞれの道を歩む先輩たち

笹谷 めぐみさん

『大好きな研究に励んでいます』
広島大学原爆放射線医科学研究所ゲノム障害医学研究センター 准教授

学生時代:つねに更新される情報に魅せられて

 大学生の時,「我々の遺伝情報を司るDNAは,たえず損傷を受けている。細胞はこのようなDNA 損傷に対し,多様な修復機構を備えて,突然変異の誘発を回避している。」と講義で聴きました。

笹谷 めぐみ

 自分の細胞の中で,つねにDNA 損傷と修復がくり返されているということ,また,教科書の情報は,おびただしい数の研究成果から成り立っており,今もなお, 更新され続けているということに,ひどく感動したのを覚えています。それから現在に至るまで,DNA 損傷に対する修復機構の解明,突然変異,発がんの誘発機構解明研究に魅了され続けています。

研究:真理を探究する過程が自分を作っている

 研究は真理の探求であり知的好奇心の追求である――これは,私の尊敬する先輩がよくおっしゃっていた言葉です。自分がある研究データを出したとして,データそのものは真実かもしれないけれど,自分が解き明かしたい真理を証明していないかもしれない。研究とは,自分が出した実験データについて,他の実験データとの整合性を考えつつ,パズルのピースのように正しい位置に置いていくという作業のくり返しです。時として,実験結果が,自分が思ってもいない真理と結びつくことがあります。この点と点がつながった瞬間の感動は,研究をやっている者でなければ味わえないものであり,研究の醍醐味だと思います。

学生のみなさんへ:やりたいことに向きあって

 学生の皆さんも、やりたいと思うこと、それを楽しいと思う瞬間があれば、躊躇せず、第一歩を踏み出してほしい。そして、自分のやりたいことに真摯に向き合う中で、周りの人への感謝の気持ちを忘れず、みずから下した決断を責任もって受け入れる、そんな生き方をしてほしいと切に願います。

(『あなたがあなたの道を歩むために』2019~2022年度版掲載)
(2020年度版一部更新)
*所属・職名等は『あなたがあなたの道を歩むために』2020年度版掲載時点のものです。


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