梅村 比丘

千葉県出身。高校卒業後に渡米。ニューヨーク州立大学ストニーブルック校で学部を修了した後、2012年テキサス大学オースティン校で学位を取得。その後はチェコ共和国のマサリク大学で4年間ポスドクを経験。2017年から広島大学に着任し、2018年より現職。アタッチメント理論を用いた人間関係の発達について研究中。

ストレス社会といわれる現代はメンタルヘルスの面でもさまざまな問題が生じており、不安やストレスと向き合う心理学の重要性が、年々増していると思われる。心理学を専門とする 梅村先生にご自身の研究内容について尋ねると、「一言で表現するなら不安をなくす研究です。人と人との関係性の大切さを理解し、人生の豊かさ、幸福とは何かを追求しています」と答えてくれた。

ベースとなっているのは、精神科医であり精神分析学者でもあるジョン・ボウルビィによって確立されたアタッチメント理論(日本語では 愛着理論ともいう)で、この理論について先生はこう説明してくれた。 「人は不安な時に誰か重要な他者と一緒にいたいという特性を持っており、ボウルビィはそれを進化の過程の中で得たものだと主張しています。例えば大昔、捕食動物にとって格好 の標的だった赤ちゃんは、厳しい生存環境の中、親という特別な他者といることで不安が解消され、安心感を覚えるという特性を身に付けたのだといいます。実証研究によるエビデンスも多いアタッチメント理論は、発達心理学や臨床心理学の分野で重要な理論として扱われています。私の研究室では、この理論に基づきできるだけたくさんのエビデンスを得ようと、実際に赤ちゃんとそのお母さんや、子ども・児童・青年に協力してもらって、対人関係の発達や適 応状況を観察する実験を行っています」

そもそも先生がこうしたテーマに関心を持ったのは、心に問題を抱える人の中には、不安や恐怖による不幸な体験が引き金となっていることがあり、研究を通じて、そういった人々の力になりたいと考えたからだ。どうすれば不安が取り除けるのか、具体的には感情を伴う認知の仕方をどう変えれば、心が軽くなり、生きやすくなるのか。これらの問い掛けに対する 答えを得るため、先生は子どもとお母さんの関係性や、児童・青年の友人・恋人との関係性など、さまざまなエビデンスを収集している。

HIRAKU-Global Vol. 2 インタビュー記事より抜粋

 

 

Figure 2. taken from Umemura, T., Lacinová, L., Juhová, D., Pivodová, L., & Cheung, H. S., "Transfer of Early to Late Adolescents' Attachment Figures in a Multicohort Six-Wave Study: Person-and Variable-Oriented Approaches", The Journal of Early Adolescence (2020) (https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0272431620978531). This article/figure is licensed under a CC-BY NC 4.0 license (https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/).
 

  • Umemura, T., Lacinová, L., Juhová, D., Pivodová, L., & Cheung, H. S., "Transfer of Early to Late Adolescents' Attachment Figures in a Multicohort Six-Wave Study: Person-and Variable-Oriented Approaches", The Journal of Early Adolescence (2020). DOI
     
  • Umemura, T., Watanabe, M., Tazuke, K., Asada-Hirano, S., & Kudo, S., "Secure base script and psychological dysfunction in Japanese young adults in the 21st century: Using the attachment script assessment", Developmental Psychology, 54, 989-998 (2018). DOI
     
  • Umemura, T., Lacinová, L., Kraus, J., Horská, E., & Pivodová, L., "Adolescents' multiple versus single primary attachment figures, reorganization of attachment hierarchy, and adjustments: The important people interview approach", Attachment & Human Development, 20, 532-552 (2018). DOI
     
  • Umemura, T., & Traphagan, J. W., "Reviewing Japanese concepts of amae and ie to deeper understand the relevance of secure-base behavior in the context of Japanese caregiver-child interactions", Integrative Psychological and Behavioral Science, 49, 714-736 (2015). DOI

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