「IBDセンター」を設置しました



広島大学病院は2015年7月1日付で「IBDセンター」(センター長・田中信治・内視鏡診療科教授)を設置しました。IBD患者さんに対して,最新の治療法を実践し,患者QOLを高めるための集学的診療を行い,同時に臨床研究や治療戦略構築のための研究,学生,医師,コメデイカルを含めた医療者,患者さんとその家族,および市民の方への教育啓発を行います。



【設置の背景】

炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)である潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)は,以前は比較的まれな疾患と考えられていましたが近年患者数が著しく増加し,両者を合わせるとその患者数は全国で20万人近くにのぼります。患者さんの多くは若年発症で下痢,腹痛や血便を有し,再燃寛解を繰り返すため,QOLを損ない,社会生活に支障をきたします。消化管以外の臓器にも炎症をきたしうること,また小児や妊婦にもみられることから,受診者側にはどの科を受診するのがよいかわからないという状況をもたらしています。医師側にも,小児患者を不慣れな内科医が診療しなければならないキャリーオーバー,難治IBD患者への外科治療の導入の遅延,合併する精神症状への対応不足など様々な組織横断的な問題が生じています。さらに,IBDは慢性の疾患であり,時には非常に難治に経過するため,生涯にわたる加療やケアを考慮に入れた加療が必要となります。このため当院では,複数の診療科・部での支援が必要なIBD診療を集約化し,総合的に対応できるIBDセンターを設立することとしました。



【業務内容(診療)】

・IBD患者に対する積極的な薬物療法の導入

・精度の高いサーベイランスを目指した内視鏡診療

・重症または難治性IBDあるいは合併症患者の入院加療

・手術を要するIBD患者の手術治療と術後管理

・IBDの診断と治療に関するセカンドオピニオン対応

・管理栄養士による個々のIBD患者に対応した質の高い栄養指導

・総合医療研究推進センターとの連携による治験候補者の迅速なピックアップと説明同意取得



【診療体制】

IBDセンター長を中心に,各関連科から医師4名,歯科医師1名(いずれも兼務)。

センター代表窓口は,内視鏡診療科医局内(電話:082-257-5939)。



ホームページURL:http://www.hiroshima-u.ac.jp/hosp/cyuoshinryo/ibdcenter/


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