ちょっとわかり難い医療用語 パート1

  医療従事者と話をしている言葉の中でどんな意味かよくわからなかった経験はありませんか。医療従事者と患者さんの理解が違っていることも少なくありません。
  ちょっとわかり難い医療用語を、遺伝子診療部の医療従事者が解きほぐすシリーズを数回に分けてご紹介します。

パートI 胎児の健診

  広島大学病院の産婦人科では、妊婦健診と別に胎児の出生前診断を遺伝子診療部の外来で実施しています。妊婦健診に対して「胎児健診」といえるかもしれません。「胎児ドック」という呼び方で実施している施設もあります。
  遺伝子診療部というと、なんだか怖そうなイメージを持たれる方もあるでしょう。どうして出生前診断を遺伝子治療部で行うのでしょうか。それは、赤ちゃんの時から持っている病気、つまり生まれつきの病気の診断には、遺伝学geneticsの知識が必要だからです。遺伝学は単に「遺伝heredity」にとどまらず、精子や卵子の形成から受精、発生、発育の過程まで広くカバーしています。実は「多様性variation」の科学なのです。
  ちょっと難しい話になりましたが、赤ちゃんの状態や病気を少しでも早く正確に診断するためには、遺伝学の専門的知識が欠かせません。遺伝子診療部では診断だけではなく、遺伝や赤ちゃんの病気に関連することなら、どんな質問や相談でも受け付けています。
  出生前診断のメニューには超音波検査をはじめ、母体血清マーカー検査(クアトロテスト)や羊水検査、絨毛検査など病気に応じてさまざまな検査があります。「超音波検査なら妊婦健診でもやってるじゃない?」と思われる方もおられるでしょう。
  それは次回お話します。


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