日本の出生数は?出生前診断の受検者数は?

 5月23日、平成27年の厚生労働省の人口動態統計の結果が発表された。国内で生まれた日本人の赤ちゃんは、統計を始めた1899年以降最低だった前年を上回る100万5656人。最低を更新しなかった!嬉しいお知らせでした。合計特殊出生率は1.46、21年ぶりに1.45を超えました。私たちは出生前検査を通して、不安で妊娠継続が困難な妊婦さんに安心して出産できる勇気を贈り、最善の赤ちゃんの誕生を迎えて欲しいと、心から願いつつ日々がんばっています。もしも何か病気が見つかったときには、妊婦さんやご家族にとっては妊娠中や出産の不安を少しでもやわらげられるサポートを、また赤ちゃんにとって出生後の治療や療育まで最善の医療を提供させていただきます。出生数の増加には、社会全体の様々な背景が影響していると思いますが、私たちの気持ちが少しでも届いた結果なら、これほど嬉しいことはありません。

 さて検査を受ける妊婦の割合を考えてみましょう。日本の年間出生数は約100万件、そのうちNIPTを考慮できる高年妊婦は4分の1で約25万人。実際に本邦でNIPTを受けた方は25万人のうち約1万人、約4%でした。
さて当院では、どうだったかというと、検査を希望してこられた妊婦さんは年間約320人、そのうちNIPTを受検した方は27%、羊水検査を受検した方が約10%、他の63%の方は超音波検査と母体血清マーカー検査を受検されました。各種検査を出来るように診療に取り入れているので、妊婦さんのニーズによって上手に使い分けることが出来るんです。

 医学的検査というのは、どんな病気の検査でも、一つの検査だけで診断・評価するものではありません。一つの検査で分かることは限られており、すべてが分かる検査などありません。検査の特性をよく理解しうまく組み合わせて用いることによって始めて、その後の診療に有用な精度の高い情報が多く得られるのです。出生前検査も同じです。段階を追って検査を行なうことで、不要な検査を受けずに済みます。一番大切なのは、妊娠の経過とともに、赤ちゃんのわずかな変化、小さなサインまでしっかり診て、評価してあげることです。これは、妊娠初期からの超音波検査による「胎児ドック・胎児健診」と、その後必要に応じて「胎児精査」を行なうことで評価できるのです。

 次回コラムは、この最新の超音波検査について分かりやすくお伝えします。


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