ひろしまバイオデザインの特色
広島県では,平成23(2011)年に,おおむね10年先を見据え,県産業の進むべき方向性や道筋を示す基本指針として,「ひろしま産業新成長ビジョン」が策定されました。この中で,次代の県経済を担う新たな産業の一つとして,ものづくりで培った高い技術の集積を活かして,「ひろしま医療関連産業クラスター」の形成を目指し産学官が連携して取り組んでいます。
この取組の一環として,平成26(2014)年7月にカリフォルニア州で開催された「米日カウンシル知事会議」において,広島県とシリコンバレーの企業やスタンフォード大学との交流が始まり,バイオデザインプログラムの導入に向け,ワークショップの開催や,日米医療機器イノベーションフォーラムの開催など,これまでに県内の機運情勢が図られており,本学としても,教育・研究機関の立場から,積極的に参画しているところです。
本学を中心とした「ひろしまバイオデザイン」は,我が国では4番目の取組であり,次のような特色を持っています。
- 県行政による立上り支援をベースにした共同研究講座の形態
- 県内唯一の医学部・研究科という環境を踏まえた県内医療機関との連携
- 教員は,インド・バイオデザイン(SIB: School of International Biodesign)の修了生であり,プログラムの内容はSIBの課程をベースに検討
- 全インド医科大学とインド政府を通じたインドとの連携
- 大学院における関連科目の履修により,正規の単位付与,及び研修に必要な知識・スキルを習得
ひろしまバイオデザインのメニュー
フェローシップコース
- 平成31(2019)年4月から開講し,現在2期目
- 霞キャンパスにてラボを開設し,県内を中心とした複数の医療機関において現場観察を実施
- 期間は12か月間のフルタイムで,グループワーク,座学,現場実習,ディスカッション,ワークショップなどの形式を組み合せて,医療現場観察,ニーズの特定,コンセプトの創出,プロトタイプ製作まで習得
- コース修了後,修了証明書を発行(学位はなし)
- フェロー4名を募集(医療,エンジニア,デザイナー,経営など多職種による混成チーム編成を想定)
- フェローには大学院のバイオデザイン関連科目の履修を義務付け
- 原則として受講料を徴収
- コースにおけるチーム活動の成果は,原則として本学に帰属
☆フェローシップコース受講生募集のおしらせはこちら
大学院科目
◇平成30(2018)年度に開講しました。(社会人の方は科目等履修生として受講可能)
◇令和2(2020)年度は大学院医系科学研究科において次の3科目を開講しています。
- 「バイオデザイン概論Ⅰ・Ⅱ」
開講期間 |
Ⅰ:第1回(5月15日)~第8回(7月31日) Ⅱ:第1回(10月2日)~第8回(2月5日) |
受講生 |
大学院生、科目等履修生(社会人) |
内容 |
実臨床の現場観察から,気付かれていないニーズを掘り起こし,新しい機会を見つけるための問題解決プロセスを,①問題の洗い出し,②既存の解決法についての徹底的な調査,③革新的な解決法を導く手法,④社会的意義のある新たな価値の創出に至る思考方法を系統的に学ぶ。 |
教員 |
木阪智彦 松浦康之 牧野恵美 日印再生医療センター理事長 Samuel Abraham氏 東京大学大学院総合文化研究科准教授 吉本敬太郎氏 薬事コンサルタント 河原敦氏 |
- 「バイオデザイン演習Ⅰ」
開講期間 |
5月19日~22日(集中形式15コマ) ⇒コロナ禍のため、11月16日~19日に延期 |
受講生 |
科目等履修生(社会人) |
内容 |
多職種のチーム単位で客観的評価指標を共有し,医療現場のニーズを出発点として質の高いアイデアを残すプロセスを実践する。アイデアの認識をチームで共通化し,初期段階から事業化の視点も検証しながら解決策を開発する。 |
教員 |
木阪智彦 松浦康之 川瀨真紀 スタンフォード大学 池野文昭氏 |
コーディネーター |
立命館大学総合科学技術研究機構准教授 藤井太平氏 |
- 「バイオデザイン実習」
開講期間 |
通年(並行実施するフェローシップコースのカリキュラム準拠) |
受講生 |
科目等履修生(フェロー、社会人) |
内容 |
医療現場で得られたバイオデザインプログラムの成果を応用するまでのプロセスを、チーム討論ならびに研究室でのプロトタイプ製作・検索エンジンを用いての市場調査を通じて、実践的なスキルとして習得する。 |
教員 |
木阪智彦 松浦康之 |
個別アドバイス(学術指導)
◇企業側のご要望に合わせて,社内の商品開発プロセスに対して,バイオデザイン的な手法を組み入れ,個別の学術指導・助言を行います。
◇平成30(2018)年度以降,県内のものづくり企業のべ5社を対象として,医療現場観察やニーズの探索などの具体的な支援させていただいています。