2013年度開催


第469回 物性セミナー

題目 日本物理学会 若手奨励賞受賞記念講演
日時 2014年3月19日(水) 15:00 -
場所 放射光科学研究センター 2Fセミナー
要旨
  1. 「強相関電子系の高分解能ARPES:多体相互作用の定量化に向けて」

    岩澤 英明 (放射光科学研究センター)

    強相関電子系は「電荷・スピン・格子・軌道」といった様々な自由度が絡み合い、高温超伝導や超巨大磁気抵抗効果などの興味深い物性を示す。そのため、電子相関や電子・ボゾン相互作用(ボゾン:格子振動や磁気揺らぎなど)といった多体相互作用の働きや強さを解明することが、強相関電子系の物性を理解する上で重要である。「角度分解光電子分光(ARPES)」は、固体の電子状態を直接的に決定することができるため、固体物性研究において非常に強力なツールとなっている。さらに近年では、高分解能化が著しく進んだことで、電子状態の決定に留まらず、多体相互作用の定量的な評価も可能となってきた。
    本講演では、多バンド強相関電子系の代表例であるルテニウム酸化物超伝導体(Sr2RuO4)における多体相互作用(電子相関および電子・ボゾン相互作用)の定量化に向けた、高分解能ARPESを用いた一連の研究[1-3]を紹介する。
    [1] H. Iwasawa et al., Phys. Rev. Lett. 105, 226406 (2010).
    [2] H. Iwasawa et al., Phys. Rev. Lett. 109, 066404 (2012).
    [3] H. Iwasawa et al., Sci. Rep. 3, 1930 (2013). 
  2. 「スピン分解光電子分光を用いたディラック表面電子系の研究」

    宮本 幸治(放射光科学研究センター)

    近年、スピンを揃えて高速に物質表面上を動くディラック電子が、新奇物理現象を引き起こすと理論的に予想され、応用的にもスピントロニクス材料の有力な候補であるため注目を集めている。特に、このディラック電子のスピン偏極度やスピンの方向について詳細に調べる事はスピン偏極伝導現象を理解する上で重要である。このような表面上に存在するスピン偏極電子を直接観測する有力な手法として「スピン角度分解光電子分光法」がある。しかしながら、従来のスピン角度分解高電子分光装置では、そのスピン効率の悪さから、エネルギーおよび波数分解能を犠牲にし、光電子強度を稼ぐ必要があった。そのため、ディラック電子のような高速に物質表面上を動くスピン構造を捉える事が極めて困難であった。本研究では、このような状況を打破するため、高効率でスピンを検出できるスピン検出器を独自に開発・作成し、ディラック電子のスピン構造を詳細に観測した研究を紹介する[1-3]。
    [1] K. Miyamoto et al., Phys. Rev. 108, 066808 (2012).
    [2] K. Miyamoto et al., Phys. Rev. 109, 168802 (2012).
    [3] K. Miyamoto et al., Phys. Rev. B 86, 161411(R) (2012). 
  3. 「熱電クラスレート化合物におけるガラス的フォノン物性」

    末國 晃一郎(先端物質科学研究科)

    カゴ状構造をもつ金属間化合物や遷移金属酸化物は,特異な超伝導やガラス的熱伝導などの興味深い物性を示すために注目されている。カゴに内包されたゲストの大振幅非調和振動モードと伝導電子または音響フォノンとの間の相互作用を調べることは,フォノンが関与する強相関物性の理解に不可欠である。
    I型クラスレートSr8Ga16Si30-xGex [1]とBa8Ga16Sn30 [2, 3]におけるゲストの振動状態と格子熱伝導率の関係について比熱とラマン散乱および熱伝導率の測定によって調べた。前者では,Geを置換してカゴサイズを増大させると,Srゲストの振動のエネルギーが低下して非調和性が増大すると同時に,結晶的な格子熱伝導率がガラス的なものへと遷り変ることが判った。また,後者のガラス的フォノン物性はBaゲストの低エネルギー非中心回転運動に起因することが判った。
    [1] K. Suekuni et al., Phys. Rev. B 75, 195210 (2007).
    [2] K. Suekuni et al., Phys. Rev. B 77, 235119 (2008).
    [3] K. Suekuni et al., Phys. Rev. B 81, 205207 (2010).
担当 市川 貴之 (先進機能物質研究センター)

第468回 物性セミナー

題目 ペロブスカイトの応用と水素製造
講師 原田 亮 (国際石油開発帝石(株))
日時 2014年2月6日(木) 15:30-
場所 学士会館 レセプションホール
要旨 天然ガスから合成ガスを経て硫黄分やベンゼンを含まないクリーンな燃料を製造するGTL技術は、現行技術では商業的規模とならない中小ガス田開発技術として、またクリーンエネルギー供給技術として注目を集めている。しかしながら、従来型のGTL技術では、天然ガスから合成ガスを製造するための深冷蒸留法による酸素製造とメタン部分酸化反応器だけでプラント建設コストの約半分を占めるため、大規模なフィールドにしか適用できないという欠点を持っている。これに対し、酸素透過型膜式反応器は、空気からの酸素分離とメタンの部分酸化反応を同一反応器で行うものであり、従来型と比較して高効率かつ安価に合成ガスを製造できるとともに、コンパクトなプラントが開発される可能性が高く、これまで開発の対象とならなかった中小ガス田にも適用できる可能性を有している。ペロブスカイト型結晶酸化物で構成した酸素透過膜を利用した膜式反応器は、混合伝導性セラミックス膜を隔壁として一方にメタン、他方に空気を導入し、膜の両側の酸素分圧差を駆動力として、酸素透過膜中を酸素イオンが選択的に透過し、メタンが部分酸化反応を行う仕組みを持つ反応器である。一般に、酸素イオンの透過は873K以上で進行することが知られている。このため、酸素透過膜材料には高温環境下での耐還元性および高酸素透過性、そして高耐熱性が要求される。また、安定した酸素透過を得るためには、873K以上の高温環境下でも反応しない酸素透過膜と触媒担体の組み合わせと、高温でも部分酸化反応活性を維持することのできる触媒の選択が必要となる。
講演では、酸素透過膜Ba1.0Co0.7Fe0.2Nb0.1O3-δ ペロブスカイト結晶による酸素透過膜に関する研究を概説する。
担当 市川 貴之 (先進機能物質研究センター)

第467回 物性セミナー

題目 Characterizing bulk properties of disordered three-dimensional topological insulators
講師 Prof. Tomi Ohtsuki (Dept. Phys., Sophia University)
日時 2013年11月1日(金) 14:30-
場所 先端物質科学研究科 405N
要旨 The history of topological insulators (TI) dates back to early 1980’s when the quantum Hall effect was discovered. Recent discoveries of two dimensional quantum spin Hall states and three dimensional TIs have inspired extensive research for these novel materials.
 In the impurity free systems where the translational invariance exists, the topological insulator is characterized by the non-zero topological numbers, which are defined via integral over Brillouin zone. This definition becomes meaningless once the translational invariance is broken due to disorder. In this case, we usually use edge/surface states to characterize TIs.
 Here, we study the bulk properties of the disordered three-dimensional topological insulators numerically, and show how to distinguish TI from ordinary insulators by investigating bulk states [1,2].

[1] K. Kobayashi, T. Ohtsuki, K.-I. Imura: PRL 110, 236803 (2013).
[2] K. Kobayashi, T. Ohtsuki, K.-I. Imura, I. Herbut: arXiv:1308.3953.

担当 井村 健一郎 (先端物質科学研究科)

第466回 物性セミナー

題目 機能性酸化物材料における階層的不均質構造と機能性
講師 森 茂生 (大阪府立大学 大学院工学研究科 教授)
日時 2013年10月11日(金) 17:00-
場所 理学部 C212
要旨 物質が示す様々な機能特性を理解する上で、原子レベルで結晶構造を解き明かすことは重要なことである。現在、高輝度・高干渉性のプローブを用いた精密な 回折実験や収差補正技術を搭載した電子顕微鏡技術により、原子レベルで特定の元素を同定することにより、物質の持つ機能性を解き明かす研究が、現在盛んに 行われている。
しかしながら、磁性や誘電性をはじめとする物質がもつ様々な機能性は、個々の原子の特性に依存することに加えて、アボガドロ数個の 原子が集まることにより、互いに相互作用を及ぼすことにより発現する。つまり、物質が示す様々な機能性の理解には、原子レベルからナノレベル、マイクロレ ベルという階層的なレベルでの相互作用を理解することが重要となる。
特に、磁性や誘電性といった機能性は、マクロな階層に位置づけられるドメイン構造、つまり10~103 nmサイズの微細組織に強く依存している。
例 えば、磁性材料においては、その内部には、一般に互いに磁化の向きが異なる小区画から成る内部構造、磁気ドメインが形成されており、磁気ドメインの構造や 振舞いは磁石の特性や機能を決める大きな要因となる。同様に強誘電体材料においても、互いに分極の方向を異にする強誘電ドメインが存在し、強誘電ドメイン の構造や振舞いが誘電体の特性や機能を決める大きな要因である。
また、近年では、デバイスの微細化により、ナノスケールでの磁気ドメインや強誘電ドメインの構造を明らかにすることが必要不可欠となっている。
本 講演では、高分解能電子顕微鏡法、電子回折法、ローレンツ顕微鏡法および電子線小角散乱法等の電子顕微鏡技術を用いて行ったマンガン酸化物およびリラク サー誘電体等の機能性材料における磁性や誘電性や磁性等の機能性発現とナノからマクロスケールにわたる階層的不均質構造に関する研究成果について報告す る。[1-5]
参考文献
[1] T. Koyama, K. Takayanagi, Y. Togawa, S. Mori and K. Harada, AIP advances 2, 012195 (2012).
[2] Y. Murakami, H. Kasai, J. J. Kim, S. Mamishin, D. Shindo, S. Mori and A. Tonomura, Nature Nanotechnology 5, 37-41 (2010).
[3] Y. Horibe, S. Mori, T. Asaka, Y. Matsui, P. A. Sharma, T. Y. Koo, S. Guha, C. H. Chen and
S. W. Cheong, Euro. Phys. Lett. 100, 67007/1-5 (2012).
[4] D. Fu, H.Taniguchi, M. Itoh, S. Koshihara, N. Yamamoto, and S. Mori, Phys. Rev. Lett. 103, 207601/1-4 (2009).
[5] K. Kurushima, K. Kobayashi, and S. Mori, Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control 59, 1900-1902 (2012).
担当 黒岩芳弘 (理学研究科)

第465回 物性セミナー

題目 第一原理計算と原子レベル構造解析の連携によるLiイオン電池材料研究
講師 森分 博紀 (ファインセラミックスセンター ナノ構造研究所 ナノシミュレーションG グループ長)
日時 2013年10月11日(金) 16:00-
場所 理学部 C212
要旨 第一原理計算とは実験値を用いずに量子力学の原理のみに基づいて,シュレディンガー方程式を解くことにより物質の物理量を計算する方法である.近年,計算技術,計算機性能の向上により,現実的な材料の諸問題にこの第一原理計算が活用されるようになってきている.
本講演では,この第一原理計算に原子レベルでの構造解析が可能な収差補正走査型透過電子顕微鏡とを協働することによるLiイオン電池材料研究の一端を紹介する.

参考文献として
[1] First-Principles Calculations of Lithium-Ion Migration at a Coherent Grain Boundary in a Cathode Material, LiCoO2,
H. Moriwake, A. Kuwabara, C. A. J. Fisher, R. Huang, T. Hitosugi, Y. H. Ikuhara, H. Oki, and Y. Ikuhara,
Adv. Mater. (2013) 25, 618–622.
[2] Lithium Atom and A Site Vacancy Distributions in Lanthanum Lithium Titanate,
X. Gao, C. A. J. Fisher, T. Kimura, Y. H. Ikuhara, H. Moriwake, A. Kuwabara, H. Oki, T. Tojigamori, R. Huang, and Y. Ikuhara,
Chem. Mater. (2013) 25, 1607−1614.
[3] Accelerated Materials Design of Lithium Superionic Conductors Based on First-Principles Calculations and Machine Learning Algorithms,
K. Fujimura, A. Seko, Y. Koyama, A. Kuwabara, I. Kishida, K. Shitara, C. A. J. Fisher, H. Moriwake and I. Tanaka,
Adv. Energy Mater. 2013 DOI: 10.1002/aenm.201300060
[4] リチウム電池材料研究に貢献するナノ構造解析と理論計算,森分博紀,平山 司,幾原雄一,燃料電池,l11 (2011) 89-94.

担当 黒岩芳弘 (理学研究科)

第464回 物性セミナー

題目 ナノ磁性の新たな知見 ―スピン偏極走査型トンネル顕微鏡による研究―
講師 岡 博文(Max-Planck-Institute of Microstructure Physics)
日時 2013年10月1日(火) 14:00-
場所 理学部 C212
要旨

スピン偏極走査型トンネル顕微鏡(SP-STM)は、磁性体ナノ構造の形状・電子状態・磁気的性質を、ナノメータスケールで調べることができる[1]。この手法を用いることにより、磁性体ナノ構造個々の磁化反転磁場を測定したり、磁性体ナノ構造のスピン偏極度を原子スケールでマッピングしたりすることが可能になる。本発表では、SP-STMを用いて明らかにした以下2つのトピックについて議論する。

1.Cu(111)上に形成されたCoナノアイランドの磁化反転機構
サイズの異なる約50個のCoナノアイランドの磁化反転磁場を測定し[2]、磁化反転機構を議論するために、磁化反転に必要なエネルギーバリアの大きさを求めた。その結果、Coアイランドのサイズが7500原子数付近で、磁化反転機構がコヒーレント磁化反転から磁壁形成・移動による磁化反転にクロスオーバーすることがわかった[3]。

2.スピン依存量子干渉
Cu(111)上に形成されたCoアイランドのスピン偏極度をマッピングしたところ、アイランド内のスピン偏極度は均一ではなく、複雑に変化していることがわかった[4]。この結果をCoアイランドの特徴的な電子状態を考慮して、次のように解釈した。Coアイランドは、マジョリティスピンに対してのみspバンドに起因する自由電子的な表面準位を示す[5]。Coアイランド内に閉じ込められたこの表面準位は、量子干渉により電子定在波を引き起こし、空間的にマジョリティスピン状態密度を変調する。マイノリティスピン状態密度はアイランド内で変化せず一定であるため、マジョリティスピン状態密度の空間的な変化に対応して、アイランド内のスピン偏極度が変化する。

[1] M. Bode, Rep. Prog. Phys. 66, 523 (2003).
[2] G. Rodary, S. Wedekind, D. Sander, and J. Kirschner, JJAP 47,
9013 (2008).
[3] S. Ouazi, S. Wedekind, G. Rodary, H. Oka, D. Sander, and J.
Kirschner, PRL 108, 107206 (2012).
[4] H. Oka, P.A. Ignatiev, S. Wedekind, G. Rodary, L. Niebergall,
V.S. Stepanyuk, D. Sander, and J. Kirschner, Science 327, 843 (2010).
[5] L. Diekhöner, M. A. Schneider, A. N. Baranov, V. S. Stepanyuk,
P. Bruno, and K. Kern, PRL 90, 236801 (2003).

担当 木村昭夫 (理学研究科)

第463回 物性セミナー

題目 銅酸化物高温超伝導体 Bi2212 の超伝導ギャップと臨界温度
講師 井野明洋 (理学研究科)
日時 2013年10月4日(金) 16:30-
場所 理学部 C212
要旨  エネルギー・ギャップは、本来、超伝導を左右する最も有力なパラメーターのはずである。しかし、銅酸化物系の高温超伝導体では、この考えを裏切る現象が報告されてきた。ホール濃度の低下とともに、d波的な超伝導ギャップの振幅が単調に増加するのに対して、臨界温度Tcは上昇から下降に転じてしまう。銅酸化物系の超伝導ギャップは、Tcに基づく定式化が難しいことから、その正体について激しい論争が生じている。
我々は、低エネルギー放射光による角度分解光電子分光を用いて、Bi2Sr2CaCu2O8+δの超伝導ギャップを調べた。その結果、ホール濃度の低下とともに、ノードの傾きから評価したギャップ2ΔNが、8.5kBTcに収束すること、そして、アンチノードのギャップΔ∗と超流動密度の平方根√ρsの積に比例することを明らかにした。得られた関係式は、アンチノードとノードのギャップの違いが電子対の形成と電子対の凝縮の分離を反映しており、さらに、強結合超伝導状態に特有の位相の不揃いがTcの抑制をもたらしていることを示唆している。ギャップとTcをつなぐ簡潔な関係式は、高温超伝導現象を担う電子対の秩序状態を描き出す有力な手がかりになる。
 
担当 松村武 (先端物質科学研究科)

第462回 物性セミナー

題目 Spin-wave excitations in the multiferroic compound Ba2CoGe2O7
講師  Prof. Karlo Penc (Institute for Solic State Physics and Optics,  Wigner Reserch Center for Physics, Hungary , :Institute for Solid State Physics, University of Tokyo)
日時 2013年7月22日(月) 14:00-
場所 先端物質科学研究科 302S
要旨 We studied spin excitations in the magnetically ordered phase of the noncentrosymmetric Ba2CoGe2O7 in high magnetic fields up to 33 T. In the electron spin resonance and far infrared absorption spectra we found several spin excitations beyond the two conventional magnon modes expected for such a two-sublattice antiferromagnet. We show that a multiboson spin-wave theory describes these unconventional modes, including spin-stretching modes, characterized by an oscillating magnetic dipole and quadrupole moment. In particular, the lack of inversion symmetry allows each mode to become electric dipole active and interact with light. Finally, we discuss the signatures of higher energy excitations in inelastic neutron spectrum.
担当 井村健一郎 (先端物質科学研究科)

第461回 物性セミナー

題目 Boron and/or nitrogen-based materials for chemical hydrogen storage
講師 Umit B. Demirci(Université Montpellier 2)
日時 2013年7月11日(木) 16:30-
場所 先端物質科学研究科 302S
要旨 In chemical hydrogen storage, boron and/or nitrogen-based materials have shown to be promising, especially owing to their high gravimetric hydrogen density. Sodium borohydride NaBH4 and ammonia borane NH3BH3 are typical examples with 10.8 and 19.5 wt% H. In our group, we work on the synthesis of this kind of materials and on their hydro-/thermo-lytic dehydrogenation.  
Hydrolytic dehydrogenation of sodium borohydride NaBH4 has been widely investigated since the early 2000s. This material is able to totally dehydrogenate in room conditions in the presence of a metal-based catalyst, particularly when cobalt is used. The catalysts we have investigated so far have all shown to be (highly) active in hydrolysis but they suffer from fast deactivation due to surface poisoning by the borate by-products. This will be presented and discussed during my visit of the Hiroshima University.
Hydrolytic dehydrogenation of ammonia borane NH3BH3 has been also widely investigated since the mid-2000s. This material is able to dehydrogenate in room conditions in the presence of a metalbased catalyst. The catalysts found to be active in hydrolytic dehydrogenation of sodium borohydride NaBH4 are also active in this reaction. However, the dehydrogenation of the NH3 moiety is thermodynamically impossible in the operating conditions. Moreover, significant amount of gaseous ammonia pollutes the hydrogen stream. Therefore, we have developed a derivative, hydrazine borane N2H4BH3 (15.4 wt% H) which N2H4 moiety can be dehydrogenated in the presence of an active and selective bimetallic catalyst. This will be presented and discussed during my visit of the Hiroshima University.
An overview of our other activities on boron and/or nitrogen-based materials will be also and shortly presented.
担当 市川 貴之(先進機能物質研究センター)

第460回 物性セミナー

題目 Boron and/or nitrogen-based materials for chemical hydrogen storage
講師 Umit B. Demirci(Université Montpellier 2)
日時 2013年7月11日(木) 16:30-
場所 先端物質科学研究科 302S
要旨 In chemical hydrogen storage, boron and/or nitrogen-based materials have shown to be promising, especially owing to their high gravimetric hydrogen density. Sodium borohydride NaBH4 and ammonia borane NH3BH3 are typical examples with 10.8 and 19.5 wt% H. In our group, we work on the synthesis of this kind of materials and on their hydro-/thermo-lytic dehydrogenation.  
Hydrolytic dehydrogenation of sodium borohydride NaBH4 has been widely investigated since the early 2000s. This material is able to totally dehydrogenate in room conditions in the presence of a metal-based catalyst, particularly when cobalt is used. The catalysts we have investigated so far have all shown to be (highly) active in hydrolysis but they suffer from fast deactivation due to surface poisoning by the borate by-products. This will be presented and discussed during my visit of the Hiroshima University.
Hydrolytic dehydrogenation of ammonia borane NH3BH3 has been also widely investigated since the mid-2000s. This material is able to dehydrogenate in room conditions in the presence of a metalbased catalyst. The catalysts found to be active in hydrolytic dehydrogenation of sodium borohydride NaBH4 are also active in this reaction. However, the dehydrogenation of the NH3 moiety is thermodynamically impossible in the operating conditions. Moreover, significant amount of gaseous ammonia pollutes the hydrogen stream. Therefore, we have developed a derivative, hydrazine borane N2H4BH3 (15.4 wt% H) which N2H4 moiety can be dehydrogenated in the presence of an active and selective bimetallic catalyst. This will be presented and discussed during my visit of the Hiroshima University.
An overview of our other activities on boron and/or nitrogen-based materials will be also and shortly presented.
担当 市川 貴之(先進機能物質研究センター)

第459回 物性セミナー

題目 Quantum metrology, from finite to infinite-dimensions
講師 Lorenzo Maccone (Dipartimento di Fisica "A. Volta",Universita' di Pavia)
日時 2013年7月12日(金) 11:00-
場所 先端物質科学研究科 402N
要旨 In systems with a finite number of degrees of freedom, it is known that entanglement can help increase the precision of measurements. However, the reason behind this effect was never analyzed in depth. Here we give a simple, intuitive construction that shows how entanglement transforms parallel estimation strategies into sequential ones of same precision. We can then employ this argument to obtain a series of new results in quantum metrology and also to reobtain, in a simpler manner, some old ones.

What happens in systems (e.g. electromagnetic radiation) with an infinite number of degrees of freedom? It is clear that infinite resources can lead to infinite precision in the measurement, and it
has been suggested that (since infinite energy variance is possible even for systems with finite average energy) infinite phase precision can be achieved using finite energy in interferometric measurements. We prove that this is not true: we give a general bound to the precision of a parameter in terms of the average value of the conjugate observable. Whence, interferometry cannot give infinite precision in phase estimation using finite energy (its conjugate observable). Our inequality is a generalization of the conventional Heisenberg uncertainty relations (and of the Cramer-Rao bounds): there the variance of one parameter is bounded by the variance of a conjugate one. In our bounds, the variance of one is bounded by the average of the other. The same results hold even if one considers the prior information one has on the system.

My talk is based on the results presented in arXiv:1304.7609; Phys. Rev. Lett. 108, 260405 (2012); Phys. Rev. Lett. 108, 210404 (2012).

担当 ホフマン・ホルガ / 飯沼昌隆 (先端物質科学研究科)

第458回 物性セミナー

題目 ヒ素の化学を利用した鉄系超伝導物質の開発
講師 野原実(岡山大学大学院自然科学研究科)
日時 2013年6月4日(火)16:20-
場所 先端物質科学研究科 401N
要旨  1981年のノーベル化学賞は、フロンティア軌道理論の福井謙一と、化学反応におけるウッドワード・ホフマン則を明らかにしたロアルド・ホフマンに授与された。固体物理とは一見無関係だが、ホフマンは “How Chemistry and Physics Meet in Solid State” などの論文で、バンドフィリングによる化学結合の生成と切断や、正構造と逆構造の積層による電荷移動など、超伝導の物質設計に使えそうな様々なアイデアを提唱している。本講演では、ホフマンの化学を利用した超伝導体の物質設計について、以下の化合物に基づいて紹介する。
(1) c軸方向のAs2結合生成による超伝導消失:CaFe2As2
(2) ab面内のAs2結合生成による新超伝導体:Ca10(Pt4As8)(Fe2-xPtxAs2)5
(3) 正構造と逆構造の積層による超伝導:SrPt2As2
(4) 分子鎖の結合切断による超伝導:IrTe2 とAuTe2
担当 鈴木 孝至(先端物質科学研究科)

第457回 物性セミナー

題目 熱電発電を可能にする硫化銅鉱の相転移と基礎物性
講師 末國晃一郎(先端物質科学研究科)
日時 2013年5月15日(水)16:20-
場所 先端物質科学研究科 402N
要旨 熱電発電とは,固体素子に温度差を与えることで電気エネルギーを生み出すことのできる技術である。この特徴を活かして,車や工場などの小規模に分散した未利用廃熱を用いた発電実証試験が近年盛んに行われている。一方で,既存の高性能熱電物質に含まれるテルルは稀少で高価であるため,環境負荷の低い元素を用いた新規材料の開発が求められている。
本セミナーでは,天然の硫化銅鉱に注目した環境にやさしい熱電変換物質開発の概要を述べ,我々が高い熱電性能を示すことを見出した安四面銅鉱(テトラへドライト)Cu12-xNixSb4S13の熱電物性と相転移について紹介する。
担当 松村武(先端物質科学研究科)

第456回 物性セミナー

題目 固体の光誘起トポロジカル相
講師 田中 秋広(物質材料研究機構 主幹研究員)
日時 2013年5月15日(水)16:20-
場所 先端物質科学研究科 404N
要旨 トポロジカル絶縁体、トポロジカル超伝導体をはじめとして、何らかのトポロジカル秩序によって特徴付けられた、固体中の新しいタイプの物質相が精力的に探索されている。

その一つのアプローチとしての光誘起トポロジカル相の創生について紹介する。これはレーザー光の照射により、非トポロジカル相にある系をトポロジカル相へとドライブしていくというアイデアで、冷却原子系の実験技術の進展と相まって世界的に研究が盛んになってきている。本セミナーでは私達の理論研究を中心にお話しする。

担当 井村健一郎(先端物質科学研究科)

 


 


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