2017年度物性セミナー


第518回 物性セミナー

題目 アンモニアの発電利用に関する事業性評価
講師 谷川 博昭 (中国電力㈱エネルギア総合研究所 総合エネルギー技術グループ マネージャー)
日時 2018年2月22日(木)16:10-
場所 先端物質科学研究科 302S
要旨 内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(以下,SIP)において,社会的に不可欠で、日本の経済・産業競争力にとって重要な課題の一つとして「エネルギーキャリア」が取り上げられた。SIPは,府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、基礎研究から実用化・事業化までを見据えて一気通貫で研究開発を推進している。  本研究は,SIP「エネルギーキャリア」に関する委託研究課題「アンモニア直接燃焼」により実施したものである。 アンモニア直接燃焼技術は,CO2削減技術として将来的に有望であり,当社は,水素輸送に優れるアンモニアの直接燃焼について研究を進めている。本研究では,火力発電所におけるアンモニアの発電利用に関する事業性評価に資するデータを取得することを目的として,水島発電所2号機(石炭火力,所在地:岡山県倉敷市,定格出力:15.6万kW)において,アンモニア混焼試験を実施したので,その成果を紹介する。
担当 小島 由継(自然科学研究支援開発センター)

第517回 物性セミナー

題目 Properties of topological Dirac and Weyl semimetals
講師 Friedhelm Bechstedt (University of Jena, Germany)
日時 2018年1月12日(金)16:30-
場所 理学研究科 C212
要旨 Topological insulators have opened a new fascinating field for solid-state physicists. They are based on small-gap semiconductors with large spin-orbit interaction (SOI). At their surfaces and interfaces metallic edge states with linear bands (Dirac cones) and spin polarization are formed. For stronger band overlap such linear bands and Dirac cones may also appear in three-dimensional (3D) bulk solids. If gapless electronic excitations, which are protected by topology and symmetry, appear, such systems represent Dirac or Weyl semimetals. While Dirac semimetals, e.g. Cd3As2, underly both time-reversal and inversion symmetry, one of these symmetries is broken in Weyl semimetals such as TaAs, TaP, NbAs, and NbP (see Fig.1). They are investigated by means of ab initio methods for atomic geometries and electronic structures. We show that they may be interpreted as 3D analogues of graphene. For that reason, the Dirac physics is first illustrated for two-dimensional (2D) graphene-like honeycomb crystals such as germanene, their chemically functionalized derivatives, and their one-dimensional nanoribbons. Because of their linear bands the 2D honeycomb crystals possess a constant IR absorbance ruled by the Sommerfeld finestructure constant [1a, b]. We demonstrate that graphene-like 2D crystals with small gap and strong SOI realize the quantum spin Hall (QSH) phase [2a, b, c]. Their ribbons exhibit topological edge states [2b], which influence the quantization of the spin Hall conductivity [2c]. The bct structure of Cd3As2 with two Dirac nodes really represents a Dirac semimetal. However, the Dirac fermions appear only for small excitation energies, whereas Kane electrons are found for larger energies [3a]. Weyl fermions are discussed for topological Weyl semimetals, especially bct TaAs, with 12 pairs of W1 or W2 Weyl nodes [3b]. In 3D the linear bands lead to an optical conductivity varying linearly with frequency, which is however modified by band occupation in the Weyl case.

[1] L.Matthes, F.B., Phys. Rev. B 78, 035438 (2013), J. Phys.CM 25, 295305 (2013).
[2] L. Matthes, F.B., et al., Phys. Rev. B 93, 121106(R) (2016); 90, 165431 (2014); 94, 085410 (2016).
[3] A. MoscaConte, F.B., et al., Scientific Reports 7, 45500 (2017); submitted to Sci.Rep..
担当 木村昭夫(理学研究科)

第516回 物性セミナー

題目 IR and X-ray combinatorial experiments and imaging. an original approach to characterize materials and dynamical phenomena
講師 Augusto Marcelli (INFN, Italy)
日時 2017年12月4日(月)16:30-
場所 理学研究科 C212
要旨 FTIR synchrotron radiation (SR) micro-spectroscopy is a powerful molecular probe at relatively high temporal (~msec) and spatial resolution (~μm) that probes rotations and vibrations of molecules, low-energy excitations of solids and many other phenomena occurring in condensed matter physics, chemistry, biophysics and materials science. The incredible performances of non-thermal synchrotron radiation (SR) sources are witnessed by the results obtained in different research areas and the continuously increasing number of users in the existing facilities all around the world. Since in the IR region the brilliance of a SR source is between two and three orders of magnitude higher than conventional sources, we observed in the last three decades a continuous increase of IR beamlines and users. Moreover, after the first attempt in 1995 at Daresbury, where a simultaneous IR and x-ray small angle scattering analysis was performed, other concurrent SR radiation experiments have been later performed. They probed systems at different wavelengths using X-ray techniques and optical methods in UV/Vis and IR domains, providing unique complementary information. Years later, a real concurrent approach has been used at Elettra (Trieste) to investigate non-equilibrium processes in mesostructured systems. I will show representative experiments that show the great advantage of the IR SR sources and unique applications such as imaging and time-resolved spectroscopy. Indeed combining IRSR properties with Focal Plane Array (FPA) detectors the possibility to investigate many processes in real time is now feasible. Moreover, taking advantage of a high circulating current and a dedicated detector set up it is now possible to collect IR images of individual cells at high sensitivity and high spatial resolution within a few minutes. Still, many new opportunities are around the corner. The first IR-laser source enabled IR microscope covering the 7-12 μm spectral range was released in early 2014 using a series of quantum cascade laser (QCL) sources and the operation of the first mid-IR supercontinuum spanning from ~1 μm to more then 13 μm has been experimentally demonstrated. After more then a century, the mid-infrared molecular ‘fingerprint region’, which is of key importance for many researches and applications still represent an area of great research opportunities.
担当 圓山裕(理学研究科)

第515回 物性セミナー

題目 Mg系、Ti系水素貯蔵材料を用いた水素インフラへの貢献とデバイス開発
講師 近藤 亮太(関西大学 化学生命工学部)
日時 2017年11月22日(水)16:00-
場所 先端物質科学研究科 304S
要旨 金属系水素貯蔵材料は、体積貯蔵密度が高い、吸蔵ー放出速度や温度が比較的温和など、優れた特性を持ちながら、ニッケル-水素電池など、その実用化の範囲が限られているのが現状である。研究者のグループでは、Mg 系、Ti 系の水素貯蔵材料の実用化への範囲を広げるべく、研究を進めている。Mg 系は高い水素貯蔵密度(7.6mass%)と安定な水素化物を形成するという特徴を活かし、中規模輸送用・長期貯蔵用材料としての応用を目指している。Ti 系に関しては、比較的安価、水素吸蔵・放出温度が室温付近を含めた範囲という特徴を活かし、ステーション用水素貯蔵材料への応用を目指している。
また、不均化反応やガルバニック腐食による表面機能の発現、その応用も含めて研究を進 めている。 講演では、バルクMg 中に生成するMgH2 の生成機構と成長、実容量の向上を目指したMg/Fe 複合体、Ti 合金の表面機能を利用したデバイス、水素化試薬の開発について紹介する。。
担当 市川貴之(工学研究科,自然科学研究支援開発センター)

第514回 物性セミナー

題目 希土類金属間化合物のX線非弾性散乱
講師 筒井智嗣(高輝度光科学研究センター)
日時 2017年11月13日(月) 16:30-
場所 先端物質科学研究科 302S
要旨  第3世代放射光源の出現と時を同じくして計測技術が確立されたX線非弾性散乱は、フォノンにおける動的構造因子の測定という観点において中性子非弾性散乱と相補的である。X線と中性子の非弾性散乱実験においてはその歴史に半世紀ほどの違いがある。これは、X線が電磁波であり、中性子がド・ブロイ波であることに起因している。このほかにも、X線が電子と相互作用し、中性子が原子核や電子スピンと相互作用して散乱されるという違いから互いの実験手法にも得手・不得手がある。X線と中性子の差異が実験上顕著に現れる一例が、希土類化合物のフォノンに関する研究であると思われる。
 希土類金属間化合物のフォノン研究において、X線非弾性散乱は強力な実験手段である。その理由として
1)実験実施に際して、同位体置換した試料の準備の必要がないこと
2)低エネルギーの磁気励起を観測しないこと
3)大型の単結晶試料を必要としないこと
などが挙げられる。1)や2)は希土類化合物におけるX線と中性子の本質的な散乱能の違いを顕著に表したものであり、1)や3)は試料を準備する上でのX線非弾性散乱実験を行う大きなメリットである。一方で、中性子非弾性散乱は多くの中性子散乱が可能な原子炉や加速器施設で実施可能であるのに対して、X線非弾性散乱は限られた施設でしか行うことのできない実験である。その理由の一つは、X線非弾性散乱が20 keV付近の比較的高エネルギーで大強度のX線を必要とするためである。
 講演では、フォノン計測におけるX線非弾性散乱と中性子非弾性散乱の違いを含めた原理的な部分を簡単に述べた後、X線非弾性散乱を用いた価数揺動や重い電子的振る舞いなどを示す希土類金属間化合物のフォノン物性の最近の研究について述べる。
担当 鬼丸孝博(先端物質科学研究科)

第513回 物性セミナー

題目 X線発光における誘導放出現象を用いたX線STED顕微鏡
講師 江島丈雄(東北大学多元物質科学研究所)
日時 2017年10月12日(木) 16:30-
場所 放射光科学センター2階セミナー室
要旨

誘導放出抑制(STED)現象は、発光過程において、特定の発光波長の光を外部から導入することで強制的に発光させる現象を指す。この現象を利用したSTED顕微鏡は、可視領域の回折限界を超えた空間分解能を示すことが知られ、現在では広く用いられている。STED顕微鏡の空間分解能は、STEDレーザーの光強度と蛍光体の飽和光強度の比で決まるため、蛍光体のレーザー耐性により空間分解能が決まる。その値は、通常の生物細胞の観察に用いる有機蛍光体の場合で数十nm、ダイヤモンド中の窒素不純物などのようなレーザー耐性が高い蛍光体の場合は約6nmが得られている(E. Rittweger et al., Nature Photo. 22, (2009) p.144)。
ここではレーザー耐性の高い蛍光体としてLSOおよびLYSOを母材とするシンチレーターのⅩ線発光とその誘導放出現象を考えることで、高い空間分解能を持つ波長可変のⅩ線顕微鏡の可能性について議論したい。またレーザー励起プラズマ光源を用いることで実験室におけるⅩ線STED顕微鏡の可能性についても議論する。

担当 中島 伸夫(理学研究科)

第512回 物性セミナー

題目 微視的多極子の一般化と風変わりな電気磁気光学応答
講師 楠瀬博明(明治大学理工学部)
日時 2017年10月13日(金) 16:30-
場所 先端物質科学研究科 302S
要旨  固体における多様な物性は,その主役である電子の電荷・スピン・軌道の自由度から産み出される.過去にはこれらの3つの自由度が個別に扱われていたが,近年の物性物理学では,スピン軌道相互作用により絡み合った複合自由度に注目が集まっている.これらの自由度を統一的に記述する概念は電磁気学でおなじみの多極子である.
本講演では,一般化された微視的な多極子自由度について紹介した後,「多極子」と電子状態およびマクロ物性との関係を議論する.さらに「多極子」の自発的な秩序によって生じる新しい物性を具体例を交えて紹介する.とくに,蜂の巣格子のような原子サイトで反転対称性のない系に着目して,従来の反強磁性などの秩序が空間反転対称性の自発的破れを誘発すること,その結果,隠れていた反対称スピン軌道相互作用もしくは反対称スカラー場が活性化し,電気磁気効果やスピン伝導といった非対角な応答,特異な選択則をもつ光学応答などを産み出すことを議論したい.
担当 鬼丸孝博(先端物質科学研究科)

第511回 物性セミナー

題目 電気二重層トランジスタを用いた電界誘起二次元超伝導体の新奇物性探索
講師 野島 勉(東北大学金属材料研究所)
日時 2017年9月6日(水) 16:20-
場所 先端物質科学研究科 401N
要旨  近年の薄膜・デバイス作製技術の進歩により、電気二重層界面、酸化物へテロ界面、MBE法や機械剥離法による単原子層膜等において、極限的薄さ(1ユニットセル厚さ)と高い結晶性を合わせ持つ新しいタイプの超伝導体が創出されている。これらは「高結晶性二次元超伝導体」と呼ばれ、バルクや従来型の金属薄膜にはない新奇物性を示す系として期待されている[1]。このような究極的な二次元超伝導の本質に迫る手法の一つとして、我々は電気二重層トランジスタを取り上げ、そこで発現する電界誘起二次元超伝導を研究してきた。本セミナーでは、これまで見い出してきた、(i)原子層化と高キャリア密度制御によるFeSeの電界誘起高温超伝導[2]、(ii)電子閉じ込めとともに生じるスピン軌道相互作用によって保護されたSrTiO3やMoS2の強磁場超伝導[3]といった現象について、ともに発展してきた物性制御技術を交えながら紹介する。
[1] Y. Saito, T. Nojima and Y. Iwasa, “Highly crystalline 2D superconductors”, Nature Rev. Mater. 2 (2017) 16094.
[2] J. Shiogai, T. Nojima, et al., “Electric-field-induced superconductivity in electrochemically-etched ultrathin FeSe films on SrTiO3 and MgO”, Nature Phys. 12 (2016) 42.
[3] Y. Saito, T. Nojima, et al., “Superconductivity protected by spin–valley locking in ion-gated MoS2”Nature Phys. 12 (2016) 144.
担当 鈴木 孝至(先端物質科学研究科)

第510回 物性セミナー

題目 化学物質の健康リスク評価
講師 吉田 喜久雄(産業技術総合研究所)
日時 2017年8月9日(水) 16:00-
場所 先端物質科学研究科 302S会議室
要旨  化学物質の健康影響のリスクは,ある特定の条件下で起こりうる化学物質への曝露によりヒトや環境生物に生じる有害な事象(死亡や,疾病等の健康影響)の発生確率とその結果の重大性と定義されます。リスクの判定結果に基づいて,化学物質を適正に管理するために意思決定が可能となります。  化学物質へのヒトの曝露により生じうる健康影響には,事故等により大量漏洩した高濃度の化学物質への短時間曝露による急性影響と定常的に排出される低濃度の化学物質への長期間曝露による慢性影響があります。
 これらの急性および慢性の健康影響のリスクはいずれも;
1)有害性の確認(ヒトに生じうる健康影響とその影響の重大さを確認します)
2)量-反応評価(リスク判定に用いる発がん影響の発がんポテンシー,非発がん影響のヒト無毒性量を推定します)
3)曝露評価(曝露されているヒト集団での化学物質の実際の曝露濃度や摂取量を推定します)
4)リスク判定(量-反応評価と曝露評価の結果から対象のヒト集団での発がん影響や非発がん影響のリスクの発生の確率/可能性を推定します)
の4段階から成るリスク評価の枠組みで評価されます。
 講演では,化学物質の健康影響リスク評価の枠組みを説明するとともに,アンモニアを例に急性および慢性の影響の有害性の確認と量-反応評価に関する既存情報の紹介,数理モデルによる曝露評価について説明します。
担当 小島 由継(自然科学研究支援開発センター)

第509回 物性セミナー

題目 高スピン分極率材料の開発
講師 手束 展規 (東北大学大学院工学研究科)
日時 2017年7月27日(木)16:20-
場所 理学研究科C212
要旨  半導体と磁性体は、情報化社会を支える重要な材料である。たとえば、主に、情報を処理するプロセッサは半導体が用いられており、情報を蓄えるハードディスクでは磁性体が用いられている。半導体では、電子の電荷を利用し、磁性体では電子のスピンを利用しており、同じ電子の別々の性質を利用していることになる。この電子のもつ電荷とスピンを同時に利用することで実現されるデバイスはスピントロニクスデバイスと呼ばれ、これからの高度情報化社会に大きく役立つことが期待されている。
 スピントロニクスデバイスのキーマテリアルとして、ハーフメタルが挙げられる。ハーフメタルとは、フェルミ準位において、一方のスピンバンドは金属的であるが、他方のスピンバンドは絶縁体的(エネルギーギャップを持つ)であるために、100%スピン分極している。しかしながら、これまで完璧なハーフメタル材料の開発には成功していない。本講演では、高スピン分極率を有するCo基ホイスラー合金の開発と高スピン分極率材料(高スピン偏極電流)を用いたデバイスについて、我々の研究内容を紹介する。特に、材料やデバイスの構造とその電気伝導特性(スピン分極率)の関係について紹介する。
担当 木村昭夫(理学研究科)

第508回 物性セミナー

題目 Novel two-dimensional electron systems at the surface of transition-metal oxides
講師 Andrés F. Santander-Syro (CSNSM, Université Paris-Sud/HiSOR, Hiroshima University)
日時 2017年7月25日(火) 16:20-
場所 理学研究科C212
要旨

Transition-metal oxides (TMOs) show remarkable properties, not found in standard semiconductors, such as high-temperature superconductivity or metal-to-insulator transitions. The realization of two-dimensional electron gases (2DEGs) in TMOs is crucial for harnessing the functionalities of these materials for future applications. Additionally, such 2DEGs offer the possibility to explore new physics emerging from the combined effects of electron correlations and low-dimensional confinement.
In this talk, I will first introduce our discovery that 2DEGs can be simply realized at the surface of various insulating TMOs, such as the quantum paraelectric SrTiO3 [1], the strong spin-orbit coupled KTaO3 [2], or the photo-catalyst TiO2 [3]. Then, I will show how the choice of the surface termination allows tailoring the electronic structure and symmetries of these 2DEGs [4-5], paving the way for the quest of topological states in correlated oxides. Furthermore, I will discuss our studies of magnetism in the 2DEG at the surface of oxygen-deficient SrTiO3 [6]. Finally, I will describe our recent development of a simple universal method to fabricate these 2DEGs in several other oxides, such as the ferroelectric BaTiO3, which allows measuring its transport characteristics –and is thus promising for the realization of oxide devices [7].

[1]A. F. Santander-Syro et al., Nature 469, 189 (2011).
[2]A. F. Santander-Syro et al., Phys. Rev. B 86, 121107(R) (2012).
[3]T. C. Rödel et al., Phys. Rev. B 92, 041106(R) (2015).
[4]C. Bareille et al., Sci. Rep. 4, 3586 (2014).
[5]T. C. Rödel et al., Phys. Rev. Applied 1, 051002 (2014).
[6]T. Taniuchi et al, Nat. Commun. doi: 10.1038/NCOMMS11781 (2016).
[7]T. C. Rödel et al., Adv. Mater. doi:10.1002/adma.201505021 (2016).

担当 奥田太一(放射光科学研究センター)

第507回 物性セミナー

題目 スピンおよび軌道分解走査トンネル顕微鏡による物性研究
講師 吉田 靖雄(東京大学物性研究所)
日時 2017年7月14日(金) 16:20-
場所 理学研究科C212
要旨
  1. スピン偏極走査トンネル顕微鏡による表面磁性の研究
     発展目覚ましいSTM関連技術の中で、ここ十年で特に大きな発展を見せている測定法が、スピン偏極(SP-)STMである。SP-STMは、表面の凹凸の情報や電子状態に加え、表面の磁気的性質をSTMの高い分解能を保ったまま観察可能にした技術で、表面磁性の新たなプローブとして注目されている。東大物性研の長谷川研では、最近SP-STMの測定を確立し、表面磁性の研究を行っている[2、3]。講演では、我々の最近の結果を紹介しながら、測定技術を解説し、SP-STMと原子マニピュレーションを組み合わせた、らせん磁性表面上の磁性単原子の研究についても紹介する[4, 5]。
  2. 重い電子系物質CeCoIn5で観察された表面誘起軌道秩序
     重い電子系物質CeCoIn5は、高い超伝導転移温度と高純度な試料のために、最も良く調べられた重い電子系超伝導体として知られている。我々はこのCeCoIn5の劈開表面に対し、近年議論され始めたSTMの軌道選択性[6](探針-試料間距離を精密に制御することでトンネルする原子軌道を選択する)を利用して実験を行った。その結果、Co最表面においては、探針を近づけることで、原子の形状が、円形からダンベル状に変化することが明らかになった。第一原理計算から、この現象は、表面において増大したオンサイトクーロン相互作用により、d軌道の縮退が解け、反強的なdxz-dyz軌道秩序が誘起された結果であることが示された[7]。この軌道秩序は、超伝導とも共存しており、その関わりに興味が持たれる。講演ではこの詳細について説明する。

[1]R. Wiesendanger, Rev. Mod. Phys. 447, 190-193 (2010).
[2]K. Doi et al., Phys. Rev. B. 92, 064421 (2015).
[3]M. Haze et al., Phys. Rev. B. 95, 060415(R) (2017).
[4]D. Serrate, P. Ferriani, Y. Yoshida et al., Nat. Nanotech. 5, 350-353 (2010).
[5]D. Serrate, Y. Yoshida et al., 93, 125424 (2016).
[6]Y. Takahashi et al., Phys. Rev. Lett. 116, 056802 (2016) and reference therein.
[7]H. Kim, Y. Yoshida et al., arXiv:1706.09753
 

担当 木村昭夫(理学研究科)

第506回 物性セミナー

題目 Theoretical/Computational Studies of X-Ray Absorption Spectroscopy
講師 Prof. Tamio Oguchi (Osaka Univ.)
日時 2017年5月30日(火) 16:20-
場所 理学研究科C212
要旨 X-ray absorption is described in terms of electronic excitations from core levels to empty bands in electron theory. The most important advantage of x-ray absorption spectroscopy (XAS) in materials physics is that, by tuning the energy and polarization of photon, electronic transitions specific to particular element, orbitals, symmetry, and order states can be selectively measured. Recently, highly intense and tunable synchrotron radiation light sources have been available, and XAS related experiments have been extensively reported. In this talk, I shall outline the fundamentals of XAS and introduce some of our recent theoretical/computational studies of XAS, including optical activity in broken-inversion systems and core-hole effects on the near-edge structure.
担当 木村昭夫(理学研究科)

第505回 物性セミナー

題目 The unconventional nature of the high-Tc superconducting ground state :
Evidence from tunneling and ARPES
講師 Prof. William Sacks (ソルボンヌ大学)
日時 2017年5月12日(金) 14:30-
場所 理学研究科C212
要旨 A key feature of high-Tc superconductivity (SC) is that the excitation gap cannot be the order parameteras would be expected from BCS basic principles.
Indeed, the spectral gap magnitude Δp remains remarkably constant as a function of temperature up to Tc, the pseudogap (PG) state, but also within the vortex core, where SC coherence is lost.
In this work we consider this fundamental paradox in light of the pair-pair interaction (PPI) model. We discuss the origin of the pre-formed Cooper pairs, leading to a ‘Cooper-pair glass’, and the mechanism of their condensation to the SC state, which follows Bose-Einstein statistics.
The order parameter that vanishes at Tc is not the pair binding-energy but rather the mutual pair-pair interaction (PPI), resolving the paradox of the excitation gap.  Moreover, the model provides a simple explanation for the phase diagram as a function of carrier concentration (p), in particular the Tc(p) dome.
Throughout the presentation, we discuss a wide variety of tunneling and ARPES experiments, as a function of temperature, magnetic field and doping, having important theoretical implications.
担当 圓山 裕(理学研究科)

 


 


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