准教授 加藤 紫帆(KATO Shiho)

研究分野、研究テーマ

国際私法(抵触法)、国際民事手続法

経歴

2013年3月、名古屋大学法学部卒業。2018年3月、名古屋大学大学院法学研究科(総合法政専攻)博士課程後期課程修了、同年4月より現職。博士(法学)。

学部の教育内容

 我々が営む様々な社会生活がひとたび国境をまたいで形成されると、そこから生じる法的関係も複数の国家法秩序に関連を有することとなります。国際私法(または、抵触法)は、このような複数の法秩序に関連を有する私法的法律関係から生じる法的問題の処理について規律する法分野であります。言い換えれば、抵触法は、異なる複数の法秩序間の調整という困難な任務を果たさねばならないということです。その際には、我が国法秩序の(私)法だけでなく、他の法秩序の法の存在をも考慮に入れる必要が生じます。
 学部の講義や演習では、抵触法に関する日本の実定法規則の解釈や日本の裁判例について検討するだけなく、上述したような調整役たる抵触法上の理論・方法に関する考察を通じて、例えば、各国私法の背後にある文化や価値観の相違を越えた相互理解のあり方や、国境を越えて展開する私法社会のあるべき姿等、抵触法の背景にあるより大きなテーマについても、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
 抵触法は、中心的な対象である私法(民事法)分野だけでなく、公法・社会法分野(国際法・租税法・経済法等)や基礎法分野(比較法・法哲学・法社会学)等とも関係を有しており、実に様々な観点・関心から学ぶことができる法分野だと思います。皆さんが少しでも興味を持って下さることを期待しています。

大学院の教育内容

 大学院の演習では、受講者の興味や関心、抵触法に関する知識の程度、語学能力に応じて、具体的なテーマを決定したいと思いますが、形式としては、抵触法一般に関する内外国の古典的文献又は近時の文献の講読や、抵触法上の重要論点に関する受講者による報告及び全体での討論、抵触法に関する我が国ないし諸外国の最新判例研究、等を行う予定です。

最近の研究について

 抵触法は、国境を越えた個人や企業の活動が容易になりまた活発化する中で、実務的にますます重要性を増しています。他方で、そのような国際社会(より正確には、国境を越えて展開する私法社会)の変容により、元々19世紀ヨーロッパ市民社会を念頭に構築された伝統的・古典的な抵触法上の規律が(部分的にではあるものの)立ちゆかなくなっている側面があることも否定できません。現代国際社会の現状を踏まえつつ、抵触法の理論や方法を再考することが求められているといえます。このような問題関心から、現在は、国境を越えた個人・企業の社会的・経済的活動の規整(レギュレーション)ないしガバナンスという問題に興味を持ち、国境を越えて形成される私法的法律関係から生じる様々な法的問題(国境を越えた文化財の不正取引など)につき、それに対する伝統的な抵触法的対応を批判的に分析しつつ、現代国際社会においてあるべき牴触法的対応を探るという研究を行っています。


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