准教授 且井 佑佳(KATSUI Yuka)

研究分野、研究テーマ

民法:相続における実質的公平に関する研究

経歴

2013年、同志社大学法学研究科単位取得退学、同年より現職。専門は、民法(家族法)。

学部の教育内容

婚姻や離婚、夫婦、親子、相続など、家族に関する事柄は身近であり想像しやす く、法律を学ぶ上で家族法は比較的馴染みやすい領域であるといえます。もっとも、家族法はあくまでも法的に家族関係やそれに伴う財産関係を規律するもので あり、そこにはやはり法的な思考が求められます。場合によっては身近なイメージが法的なルールとは異なっていることもあるでしょう。家族法は理論だけでは 割り切れない悩ましさを抱えており、その点が家族法の面白さでもあり、難しさでもあると思います。

学部の講義では、家族法における基本的な概念を理解してもらい、実際の問題状況を判例や学説を通じて把握し、その上で、多角的な観点から紛争の解決能力を養うことを目標にしています。

ゼミでは、受講生の関心に応じて判例を取り上げ、判例報告を行ってもらいま す。ゼミでの報告を通じて、1つないし複数の問題を深く掘り下げて思考すること、他者に対して説得的な紛争の解決方法を提示する能力を養うことを目標にし ています。また、教科書や論文等の輪読を行い、文献を丁寧に読み込むことを指導しています。

大学院の教育内容

大学院の演習は、前期に親族法、後期に相続法の判例を取り上げ、判例報告を行ってもらいます。報告は、受講者の関心に応じて、有責配偶者からの離婚請求・無権代理と相続などの基本判例や、生殖補助医療と親子関係・監護費用の請求と権利濫用などの比較的近時の判例などを対象にして行ってもらっています。大学院の演習では、基本的概念を前提に、より専門的な知識や思考方法の習得を目指して指導しています。

最近の研究について

介護給付の相続法上の評価問題について、ドイツ法との比較法的研究を行っています。要介護者の増加に伴い、介護に関する問題は一層深刻化しているといえます。なかでも、家庭内で介護が行われる場合、要介護者の生前に、介護者から金銭的な見返りを求めることは稀であって、「見返り」の問題が顕在化するのは、要介護者の死亡後です。したがって、要介護者の相続における介護給付の相続法上の評価がとりわけ問題になります。日本法では、寄与分制度が用意され、遺産分割の枠内で相続人の相続分を修正することにより、介護給付の評価が可能です。しかし、現状の寄与分制度は、必ずしも家庭内における介護給付を正当に評価しているわけではないように思います。また、従前、介護は、寄与分のなかでも単なる家事労働の一つとして、必ずしも十分な金銭的評価がされてきたわけではありませんでした。しかし、介護保険法が導入されたことで、介護も契約として有償のものであることが明確にされ、それに伴い、次第に従前のような位置づけにも変化が生じてきていると指摘されています。今日、介護への対価意識が高まっているとも指摘されており、介護による被相続人への寄与を、正当に、より積極的に評価する必要があると考えています。


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