量子生命科学プロジェクト研究センター

センター基本データ

  • 整理番号:14-20
  • 設置期間:2003年04月01日~2020年03月31日
  • センター長(所属/職名/氏名):理学研究科 化学専攻 / 教授 / 相田 美砂子
  • 連絡先(TEL/FAX/E-mail):082-424-7412 / 082-424-0725 / maida[AT]hiroshima-u.ac.jp
       (※[AT]は半角@に置き換えてください)

プロジェクト概要

目的

1)生理活性物質の探索・設計・合成

●集約された遺伝子情報やタンパク質情報から得られた実験的基礎データに基づき,分子モデリングシステムと量子化学計算を組み合わせることによって,ドラッグデリバリーやテーラーメイド医療の可能な生理活性物質の探索・設計・合成を行う。
●新規に設計・合成した生理活性物質の活性の強さを実際の生体系において検証する。
●より活性の強い物質の設計ができるように,設計システムの高精度化を図る。

2)蛋白質の機能予測・設計

●量子化学的手法と分子モデリングシステムとを組み合わせることによって,タンパク質の高次構造予測,タンパク質の機能予測,核酸とタンパク質との相互作用予測を行う。
●設計・予測したタンパク質分子の実際の機能や高次構造を実験で検証する。
●設計・予測したタンパク質分子の情報を実際の生体系における実験結果と密接に連携させフィードバックを繰り返すことによって,予測システムの高精度化を図る。

3)蛋白質モデリングシステムの開発・支援
●計算化学・バイオインフォマティクスに基づいた蛋白質モデリングプログラムMOLDA QuLiS の機能を拡張し,またそれを創薬へ応用する。

4)「ナノテク・バイオ・IT融合教育プログラム」の実施

●膨大化しつつあるライフサイエンス分野の情報に対しIT技術を駆使して集約し,より有益な概念を抽出しうることのできる優秀な人材を育成し,またその環境をいち早く整備する。

背景

現在は『ポストゲノム』の時代である。すなわち遺伝子解析の主要情報はすでに既知であり,時代は生命の多様性を司るタンパク質の研究にシフトしている。ま た,ゲノムの中でも役割不明な部分がかなり存在し,タンパク質の研究はその不明な部分を解明するためにも期待されている。ヒトゲノムプロジェクトにおい て,日本の寄与は7%しかなかったとされている。もしタンパク質の研究でもこの程度の寄与でしかないのであれば,日本から新薬を創生・発信することは,す でに欧米で取得されている特許により妨害され,現実的に不可能である。この状況を打破するためには,生体における情報伝達の機構を分子の振る舞いとして理 解し,あるいはタンパク質の機能発現のメカニズムを分子のレベル(量子化学的レベル)で明らかにし,いち早く特許につながる有益な情報を抽出,実験評価す るというプロジェクトを構築することが必要である。そのために,本研究センターは,広島大学の総合大学としての利点を生かし,量子化学,情報科学,タンパク質科学,遺伝子科学,構造生物学,有機合成化学の分野で活発な研究を繰り広げている教官から構成して設置された。

研究計画

前期(概ね平成15年度~16年度):
量子化学的手法とコンピュータ・モデリングとを組み合わせることによって,タンパク質の高次構造予測,タンパク質の機能予測,核酸とタンパク質との相互作用予測を行い,そして,設計・予測したタンパク質の実際の機能や高次構造を実験で検証する。

後期(概ね平成17年度~19年度):
前期の研究で得たタンパク質分子の情報を実際の生体系における実験結果と密接に連携させフィードバックを繰り返すことによって,予測システムの高精度化をはかる。
そして最終的に,こうして集約された遺伝子情報やタンパク質情報に基づき,ドラッグデリバリーやテーラーメイド医療の可能な生理活性物質の探索・設計・合成をめざす。

主な事業活動

ナノテク・バイオ・IT融合教育プログラム(NaBiTプログラム)
Nano-Bio-IT Education Program
文部科学省 平成15年度科学技術振興調整費 新興分野人材養成(ナノテクノロジーとライフサイエンスの融合領域)

本人材養成プログラムの最大の特徴は,養成する人材の到達レベルとして, コンピュータ・プログラミングの設計技術を持ち, コンピュータケミストリーとバイオインフォマティクスをつなぐ知識と技術を持つ 研究者あるいは技術者を掲げていることにある。 生体系をシステムとして捉えるポストゲノムの時代に必要とされているのは, 個々のケースに応じたソフトウェア, すなわち「カスタムメイド・ソフトウェア」を作ることのできる人材であり, そのような人材は,ナノテク(物質科学)・バイオ(生命科学)・IT(情報科学)の 融合領域においてこそ,養成することができる。 物質科学・生命科学・情報科学の知識をもち,コンピュータ・プログラミングの能力をもった バイオインフォマティクス分野の人材を養成することで, バイオインフォマティクス分野における日本の弱点であるタンパク質の構造を予測・評価する 独自のプログラム開発体制を強化することができる。 さらに,これらの分野の単なる融合ではなく, ソフトウェア開発という実践力をもった人材養成を行うことによって, ナノテクノロジーとバイオテクノロジーとが融合した新たな産業の創出をもたらし, 日本経済の再建と日本発の新産業を世界に発信することができる。

主な研究成果

● MOLDA QuLiS (MOLDA for Quantum Life Sciences)の公開

MOLDA QuLiSは,情報処理振興事業協会(IPA)平成14年度未踏ソフトウェア創造事業「第一原理に基づいた分子言語による生命プログラミング」に採択され て開発を行い,現在,「広島大学量子生命科学プロジェクト研究センター(QuLiS)」の活動の一環として,量子化学理論に基づいた創薬を目指して改良を 続けているソフトウェアです。

MOLDA QuLiSは,MOLDA for Windowsに対し3Dグラフィックスが強化され, MOLDA for Protein Modelingの機能を取り込み,VRMLビューワとしての機能ももち(したがってMOLDAで作成されたVRMLファイルをCosmoPlayer等 をインストールすることなく描画可能です),
さらに分子ドッキングも可能とした,分子モデリングプログラムです。Structure-Based Drug Designをベースとした創薬のためのプログラムとしても,もう,実用の域に達しているといってもいいでしょう。

その他PR

◆博士研究員・受託研究員および大学院生募集(博士課程前期・後期).

1.博士研究員・受託研究員
『ナノテク・バイオ・IT融合教育プログラム』では,博士研究員・受託研究員を募集します。
詳しくは、NaBiTプログラムホームページの「博士研究員の募集」・「受託研究員募集」をそれぞれご覧ください。

2.大学院生募集(博士課程前期・後期)
「ナノテク・バイオ・IT融合教育プログラム」では,博士課程前期・後期の学生を募集します。

大学院の入学案内などは、理学研究科・理学部ホームページ http://www.hiroshima-u.ac.jp/sci/をご覧ください。

◆NaBiT基本カリキュラム

NaBiTプログラムは、物質科学・生命科学・情報科学の知識を持つ人材の養成を目的としており、化学専攻および数理分子生命理学専攻の博士課程前期において、
1. 物質科学系・生命科学系・情報科学系のそれぞれ数科目
2. 量子生命科学セミナー
をNaBiTプログラムの基本カリキュラムとして開講している。これらは博士課程後期の学生も受講することができる。
NaBiT基本カリキュラムの詳細につきましては、NaBiTプログラムホームページの「基本カリキュラム」をご覧ください。

◆各種セミナーを実施しています(学部学生・大学院生対象)

『ナノテク・バイオ・IT融合教育プログラム』が平成15年度文部科学省科学技術振興調整費 /新興分野人材育成(ナノテクノロジーとライフサイエンスの融合領域)の一環として,15年度後期より学部学生(3年生,4年生)・大学院生を対象とした 各種セミナーを実施しています。
実施記録ならびに今後の予定につきましては、NaBiTプログラムホームページの「各種セミナー」をご覧ください。

◆MOLDA QuLiS (MOLDA for Quantum Life Sciences)の公開

MOLDA QuLiSは,情報処理振興事業協会(IPA)平成14年度未踏ソフトウェア創造事業「第一原理に基づいた分子言語による生命プログラミング」に採択され て開発を行い,現在,「広島大学量子生命科学プロジェクト研究センター(QuLiS)」の活動の一環として,量子化学理論に基づいた創薬を目指して改良を 続けているソフトウェアです。現在MOLDA QuLiS (ver 1.05)を公開しています。詳しくは、MOLDAのホームページをご覧ください。
 


up