小児歯周疾患プロジェクト研究センター

センター基本データ

  • 整理番号:18-10
  • 設置期間:2006年09月01日~2021年03月31日
  • センター長(所属/職名/氏名):大学院医歯薬学総合研究科 / 教授 / 香西 克之
  • 連絡先(TEL/FAX/E-mail):
  • オリジナルページ:http://home.hiroshima-u.ac.jp/pedo/other/study.html#study4

プロジェクト概要

目的

① 本研究センターを着想するに至った背景:

歯周疾患の発症はinitiatorとなる歯周病原性細菌と宿主との相互作用の結果である。したがって従来のような原因細菌や宿主免疫系といった限定された領域からの研究では不十分であり,細菌学分野,生化学分野に加え優れた臨床家との共同研究が必須である。さらに小児歯科においては歯周疾患を発症していない状態から,発症し,そして重篤化していく過程を同一被験者で観察することが可能であり,歯周疾患発症の研究対象として小児を検討することは非常に意義深いと考えられる。

② 国内外における類似研究機関の存在の有無:

類似研究機関は見あたらない。

③ 本研究の遂行がどのような新しい研究領域の創生や学問上の新展開をもたらすと考えられるのか,またその意義:

歯周疾患の原因である歯周病原性細菌の定着時 期を予測することが出来る。さらに歯周病原性細菌であるA.aが骨芽細胞に直接的な影響を与える未知のビルレンス因子の作用メカニズムを解明することが可能である。さらにハイリスク群小児の全身状態を検討することで,歯周疾患発症に関わる全身的な因子も明らかとなる可能性がある。

④ 本学における関連研究の現状との相違点:

本申請書が着目する3点を個々に研究するグループは存在するが,3点を統合的に解析していくプロジェクトはない。

⑤ 設置期間終了後の計画:

期間内に得られた3つの結果を統合し,小児における歯周疾患発症メカニズムを多方面から明らかにする。また,歯周疾患の最初期病変と考えられている歯肉炎の発症から歯周炎への移行メカニズムについて検討したい。
 

背景

成人が歯を喪失する最大の原因は歯周炎である。したがって,歯周炎は致死的ではないがQOLを著しく低下させるという点で非常に重要な疾患である。小児においては歯槽骨破壊を伴うような歯周疾患(歯周炎)はまれであるが,成人性歯周炎発症に小児期の口腔内状態が強く関与しているとの報告もある。それゆえ小児歯周疾患の発症を検討することは小児の口腔の健康を保つことだけではなく,成人性歯周炎の発症を未然に防止することにつながる。本研究では小児における歯周疾患発症メカニズムを次の3点に着目して検討を行う。

1.小児への歯周病原性細菌定着時期の解明
特異的歯周病原性細菌をターゲットとしたPCR法を用いて,小児口腔への歯周病原性細菌の定着時期を明らかとする。さらに,歯周病原性細菌定着後は定量的PCR法により同菌の口腔内細菌叢中での相対的量的変化を経年的にモニターし,歯周状態との相関を検討する。また,パルスフィールド電気泳動を用いて定着した歯周病原性細菌の親子間の伝播を検討する。

2.歯周病原性細菌による骨破壊メカニズムの解明
小児歯周炎の原因となる細菌A. actinomycetemcomitans(A.a)が産生する未知の病原因子がIn virtoで骨芽細胞の分化を著しく阻害することに注目し,この病原因子の特定と,分化阻害メカニズムの解明を行う。

3.歯周疾患発症に関与する全身的因子の解明
小児糖尿病患児は歯周疾患に対してもハイリスクを有していることが知られている。これら歯周疾患ハイリスク小児群を対象として,小児糖尿病患児の全身状態(血糖値,HbA1c,食生活習慣など)と口腔の健康状態を経年的に追跡することにより,ハイリスク患児における歯周疾患発症に関与する全身的な因子を解明する。
 

研究計画

平成21年度
 1.小児の歯周病原性細菌の分布状態の変化および定着時期の考察
 2.A.aの産生するビルレンス因子による刺激伝達系への影響の解明
 3.小児糖尿病患児の全身状態と歯周疾患の状態との比較検討

 平成22年度
 1.家族内伝播の検討
 2.A.aの産生するビルレンス因子による核内転写系への影響の解明
 3.小児糖尿病患児に対する口腔予防活動と歯周疾患の状態との比較検討

 平成23年度
 1.家族内伝播の検討
 2.A.aの産生するビルレンス因子による核内転写系への影響の解明
 3.小児糖尿病患児に対する口腔予防活動と糖尿病の状態との比較検討


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