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加藤範久教授の絹タンパク質セリシンの新機能発見に関する記事が産経新聞に掲載されました



5月16日(水)の産経新聞朝刊に、加藤範久教授の絹タンパク質セリシンの新機能発見に

関する記事が掲載されました。

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(研究に関する詳細)
繭出すタンパク質 −メタボ対策に効果

−広大などの研究 生糸精製過程の廃棄物から抽出−




 カイコの繭などから抽出されるタンパク質「セリシン」の摂取で中性脂肪などが大幅に減少することが広島大学大学院生物圏科学研究科の加藤範久教授(分子栄養学)らの研究で分かった。肥満や糖尿病などのメタボリック症候群の予防や改善に効果が期待されるという。京都市内で20日に開かれる日本栄養・食糧学会で発表される。加藤教授と「カネボウホームプロダクツ」(東京都)、繊維メーカー「セーレン」(福井市)の共同研究。



 セリシンは生糸の精製過程で廃棄される繭の一部から抽出される無味無臭のタンパク質で、これまではアトピー性皮膚炎の改善や便秘解消効果、がんの抑制効果があるとして注目されていた。加藤教授らは、セリシンの肥満ラットへの効果を研究中に偶然、血糖上昇が抑制されることを発見。脂肪肝や、動脈硬化などのメタボリック症候群にも効果があるのではないかと実験を開始した。



 実験では、セリシンを含んだ高脂肪のエサを与えたラット12匹と、セリシンを含まない同様のエサを与えたラット12匹を35日間飼育。それぞれの体重や脂肪組織の重量、血清中の中性脂肪やコレステロール値などを比較した。その結果、成長度合いや体重に大差はなかったが、セリシンを摂取させていないラットの中性脂肪が血液100ミリリットルあたり平均384ミリグラムだったのに対して、摂取したラットは平均259ミリグラムで約33%少なく、コレステロール値も大幅に小さかった。



 また、セリシンを摂取させたラットの血中では、動脈硬化や脂肪肝などのメタボリック症候群の改善に効果があるタンパク質「アディポネクチン」が、セリシンを与えていないラットと比べて平均濃度で64%高まっていたという。



 加藤教授は「研究が今後、進めば、生活習慣病の予防や改善に大きな効果が期待できる。生糸精製の過程での廃棄物から抽出できるので環境保護にも役立ち、新たなシルク産業の突破口となると考えている」と話している。


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