企業訪問マイクロンメモリジャパン

 2017年5月12日、6月2日、当研究科半導体集積科学専攻の横山新教授、黒木伸一郎准教授と当研究科の学生・研究員等38名が、東広島市吉川工業団地にあるマイクロンメモリ ジャパン株式会社広島工場を訪問しました。

 訪問の様子を参加した学生がレポートしました。

 

 

 今回、企業見学会としてマイクロンメモリジャパン株式会社広島工場へ訪問させて頂いた。今回はクリーンルームの中も見学させてもらえるということでとても貴重な見学会となった。

 社員の方のお話を伺うと、マイクロンメモリジャパン株式会社(以下マイクロン社)はアジア、ヨーロッパなどにも工場を持っているが広島工場が最もDRAMの生産性が高く、コストパフォーマンスが良いとのことだった。私は、アジア各国の工場よりも人件費などでコストがかかる日本の工場の生産性が高いことに疑問を感じた。しかし、社員の方のお話では、確かに日本の工場はアジアの工場に比べて人件費は高いが、日本の工場には質の高いエンジニアが多くおり、歩留まりが高く質が良いので、結果的にアジアの工場よりも生産性が高いとのことだった。日本の半導体産業衰退の話はよく耳にするが、この話を聞いて私は日本の技術力の高さと技術者の質の高さは健在であると感じた。また、私はマイクロン広島工場の生産性が高い理由はほかにもあるのではないかと思い、注意深く工場内を見学させて頂いた。

 マイクロン社は半導体メモリの研究開発・設計・製造・販売を事業とする半導体メーカーであるので、大きな工場を想像していたが、私の想像以上の規模にとても驚いた。敷地内には、発電設備、排水処理設備、地下貯水槽、蒸留設備から生産工場まであり、これ以上設備を増やせないほど敷地内を一杯に使っているとのことだった。また、この工場の電気の使用量は30万人分の一般家庭の使用量と同じで、ガスは年間100億円も使用しているとのことだった。この使用量の多さからも施設の大きさ、装置の多さが窺える。マイクロン広島工場では敷地内の発電設備で発電を行い、その際にでる排熱を利用し冷却水や純水を作るエネルギーにしていたり、水は純水処理設備で再利用を行っており、その再利用率は90%以上であったりと、可能な限り無駄をなくしコストを削減していることが社員の方の話からわかった。一方、排ガス処理もしっかり行っており、有害ガスが排出されないよう環境への配慮も怠っていなかった。マイクロン広島工場の生産性の高さは、このような再利用率の高さや、無駄なコストの削減、敷地内設備のベストな状態の維持などの努力も理由の一つではないかと感じた。

 今回は特別にクリーンルーム内の見学をさせて頂いた。半導体製造工場のクリーンルームを見たのは初めてでしたが、マイクロン広島工場のクリーンルームはとても広く、天井には数えきれないほどのウェハ運搬ロボットが自動で動いており大変驚いた。運搬ロボットの自動化で生産ラインの効率化が進んでいることがよくわかった。クリーンルーム内はとても広く、装置もたくさんあったが、勤務する技術者たちにより装置は常に稼働し生産ラインを保っているとのことだった。工場ではロボットによる自動化が進んでいたが、装置の設備や効率的な装置の配置、緊急時の対応などは結局人の手によるものなので、やはりそこで働く人の技術力が高くなければ生産性は上がらないのだと感じた。マイクロンは半導体業界ではトップを争う企業なので、工場の設備や、働いている方の質はすごく高く感じた。今回は、そのようなとても質の高い会社を見学できとても貴重な経験になった。私も将来は世界でも通用する技術力を持てるよう努力したい。

 


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