企業訪問マイクロンメモリジャパン

 2018年6月15日、22日、当研究科半導体集積科学専攻の横山新教授、黒木伸一郎准教授と当研究科の学生等31名が東広島市吉川工業団地にあるマイクロンメモリ ジャパン株式会社広島工場を訪問しました。
お忙しい中、ご対応いただきましたマイクロンメモリ ジャパン株式会社の皆様に深く感謝いたします。

訪問の様子を参加した学生がレポートしました。

 

 マイクロンの工場に着いて、まず工場内の様々な設備を見て回った。設備見学を終えて一番印象に残ったのは、安全性に対する意識の高さだった。工場から出た廃水を管理するエリアでは、廃水槽に人が落下してしまった場合に備えて救助用の浮き輪が用意してあり、また、危険な廃水を浴びてしまった際に使用する緊急シャワーなどもあった。薬品搬入エリアでは、薬品タンクが破損し、薬品が漏れ出してしまった場合も工場外には溢れ出さないよう設計されていた。半導体工場には設置の義務化がされていないスプリンクラーも設置してあり、万が一の際の備えが細かく行われており安全管理が徹底していた。また、廃液から得られる物質を肥料として販売するなど、少しでも無駄をなくす心得もすごく大事だと感じた。      

 次に、クリーンルーム内の見学を行った。自分が知っているクリーンルームとは大違いだった。まず入り口を出てすぐに頭上をたくさんのウェハ搬送装置が走っていた。搬送されているウェハは指定された装置の場所へ次々と降ろされていき、とても効率の良さを感じた。
また、クリーンルーム内の装置はほとんどがシステム化され、外部のオフィスからのチェックや遠隔操作で動いているため、クリーンルーム内には人がほとんどおらず、見受けられたのはメンテナンスのために直接装置をチェックしている人だけであった。各過程のデバイスも自動的に欠陥などが検出されるようになっており、そこでも再び効率の良さを感じられた。フロアもとても広々としており、装置もきれいに並んでおり、すごく清潔感があった。工場でよく使われる3Kという言葉とはかけ離れた空間だった。リソグラフィのエリアでは液浸露光装置を見ることができた。装置はものすごく大きく、1台約100億円という値段にも驚いたが、その装置が数台あるということにさらに驚いた。今回見学させていただいたクリーンルームもかなりの広さだったが、これがまだ3エリアあるクリーンルームの内の1つで、さらには現在新たなクリーンルームを建設中ということもあり、他にはどんな装置があり、どんなことをしているのか、まだまだ見どころがたくさんありそうだった。

 マイクロンの工場見学の機会を与えていただいて、実験のためのデバイスの作製と実際に世界で動いている製品としてのデバイスの作製の工程や背景がとても異なるものだということに気づけた。製品をいかに効率よく、高性能に、大量に生産できるかだけを考えるのではなく、働く人々の安全や働きやすさにも重点を置くことの大切さにも気づけた。また、デバイスを手作業で作製しなくてもよいといえども、そのデバイスに対する深い知識が無ければ途中でミスが起こった場合など不測の事態に対応できないことなども起こりうるので、今のうちに手作業での実験などもしっかりと行っていきたいと思った。


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