3月1日 ゲストティーチャーによる特別講義(キャリア教育)

 2月末の公立高校入試も終え,卒業式を目前にひかえた9年生。
 3月1日の光輝(かがやき)では,キャリア形成について深く学ぶ機会ということで,県立広島大学の特任教授の魚谷滋己先生をお招きし,ご講義いただきました。
 テーマは「今何を「学ぶ」べきか?」として9年生に語りかけ,講義はリンダ・グラットン著の『ワーク・シフト』という本をもとに話されました。

 さて,魚谷先生は,技術者としてマツダに勤務され,その後,マツダ財団の常務理事・事務局長を務められました。その中で,海外営業と商品の企画が主なキャリアで、その間海外に延べ10年余りいらっしゃいました。

 まず,マツダの車のつくり方など,普段知ることのできない話もあり,特に車に興味のある生徒は聞き入っている様子でした。

 海外(アメリカ,ヨーロッパ,中国など)での生活・暮らしの様子や体験も紹介され,日本との違いとともに諸外国の違いなど話されました。

 これからの世界における変化のようすについて「テクノロジーの進化」「グローバル化の進展」「少子高齢化と長寿化」「社会の変化」「エネルギー・環境問題」の視点で話されました。

 「テクノロジーの進化」では,ICTやAI(人工知能)の発達によって人間の労働が代替されていくようになること,「グローバル化の進展」では,こちらから海外に行くグローバル化ではなく,海外からやってくるグローバル化(気がついたら席のとなりは海外の人)となっていくこと,「少子高齢化と長寿化」では,日本は最長寿国であることを受けて高齢化社会の最先端モデルとして世界から注目を浴びていること,「社会の変化」では,日本は女性の社会進出が遅れている分,逆にいえば伸びしろが大いにあること,「エネルギー・環境問題」では,今般のSDGsの話題とともに,日本の文化はもともとサステナブルで循環型社会であったことからそこから学ぶところが多いことなど話されました。

 また,これからは時間で仕事をするのではなく内容で仕事をすることや,生涯の労働時間が50年以上と長くなっていくことによって,1つのスキルだけではもたずマルチに取り組む必要が出てきて,そのため大学での学び直しや副業が増えていくこと,あと,生徒の皆さんはデジタルネイティブに該当し,デジタル社会の未来を切り拓く先駆者となっていくことなど話されました。

 最後に,目指してほしいこととして「本当の意味での科学者」になってほしいとし,ここでいう科学者は単に理科系の人というわけではなく,科学的思考をもつ(それはなぜ?それをするとどうなるの?という「論理的思考」,それは本当なの?と冷静に判断する「批判的思考」,仮説をつくって検証していく「仮説と検証」)とともに,IT活用の基礎技術や英語(会話というよりも,海外の情報取得のために必要)を学んでほしいと話されました。さらに,自分の好きなことを見いだして伸ばしていくこと,日本の歴史を学び,日本の文化は世界に誇れることをしっかり認識してほしいこととして,まとめられました。

 講義では,生徒にとって親しみやすいローカルでフランクな話から,グローバルなアカデミックな話まで,今後の世界の動向を見据えつつ,たいへん有効で興味深い話を聴くことができました。魚谷先生ありがとうございました。

 来月には新しい舞台に立つ9年生の皆さん――ぜひ,今回の学びを将来に生かし,次代へ羽ばたいてください。


up