3月14日 ゲストティーチャーによる特別講義「共に生きる」(高齢者疑似体験)

 現在,8学年の家庭科では,本校の新領域「光輝(かがやき)」の学習の一環として,幼児や高齢者の視点から,住生活の安心・安全・快適について学習しているところです。

 この度,尾道福祉専門学校より重岡秀和先生をはじめとする先生方や学生さんがお越しになり,8年生は「共に生きる」をテーマとして,住まいの安心・安全を高齢者の立場から考え,さらに,本校卒業生の介護福祉士である大川愛舞さんより,働くことの意味について学びました。

 はじめに,生徒からの挨拶と特別講義をしていただく先生方より自己紹介がありました。

 重岡先生からは,「安全に暮らすための生活環境 ~主に高齢者の生活環境~」をテーマに,高齢者の事故とその防止を踏まえ,安全と安心のみにとどまらず,その高齢者にとっての居心地のよさや安堵を求めて支援していくことの大切さを話されました。

 高齢者の気持ちを理解し,共に生きるため,(講義だけではなく)体験を通しての学びもありました。「塗り絵の体験」では,二人ペアになり,一人は視界がほとんど暗くなってしまうサングラスをかけて塗り絵をし,もう一人は介護者として相手がどうすれば塗りやすくなるか考えながら対応します。
 介護者は相手に近づいてアドバイスするものの,近づきすぎると光を遮ってしまうことから,いろいろと苦慮したり工夫しながら対応している様子が伺えました。

 「買い物体験」では,お客役が二重に手袋を着けて(指先の器用さが奪われます)財布から硬貨を出して買い物してみようとするもので,店員役はお客さんにどうすれば安心して買い物をしてもらえるか考えながら対応していきます。
 お客役は手先が上手く使えないもどかしさを感じながら,店員役も硬貨を拾ったりとできる範囲で支援する様子が伺えました。

 体験学習の後は,本校の卒業生であり,現在,介護福祉士として働いている大川愛舞さんより,介護福祉士として働く意味や思いをリモートでお話されました。高齢者に対して,季節を感じる行事を味わってもらったり,好きなアーティストなど趣味を生かした取組を行ったり,誕生日の過ごし方を大切にしたりと,もともと生活の拠点であった家での過ごし方に近づけるように,家でしてきたことが施設でも続けられるように,努めていらっしゃるとのことです。また,高齢者の意欲を引き出すのが福祉の役割であり,いい人生だったと思ってもらえることが介護福祉士の魅力であるとお話されました。

 最後,生徒からの質問があり,変化に富むさまざまな質問に重岡先生や大川さんが中心となって丁寧にお答えいただきました。特に認知症に対する考え方や思いについてのお話は感慨深いものがありました。

 生徒からの御礼の挨拶では,高齢者が生きたい人生を送ることを支援しているという介護福祉士の姿にたいへん印象に残ったとして,その思いを語りました。

 普段の授業では味わえない講師の先生の話や体験が目白押しでしたが,高齢者をはじめとする多様な人の立場に立って考えながら,今の自分を見つめ,将来の職業選択や生き方につながる機会となったでしょうか。

 司会や挨拶を務めたり,積極的に質問をした生徒の皆さん,ありがとうございました。
 そして,この度の講義に際し,重岡秀和先生をはじめ尾道福祉専門学校の先生方や学生の皆さん,そして介護福祉士の大川さん,ありがとうございました。


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