本校では,資質・能力の育成を目指した教科実践を数多く行っています。
その際,重要となるのが「横断的な知識」です。
ある領域・教科での学びが多方面でも生かされる,過去の学びが新しい学びの糧となる・・・というプロセスが非常に大事です。
これにより,子どもたちが「何のために授業に臨むのか」を明確化することが可能となります。
本日は,バリアフリー・暮らし・住まいをテーマとした家庭科の実践(8年生)の様子をご紹介します。
その名も「高齢者模擬体験」!
子どもたちが高齢者の暮らしを実際に体験することにより,住みやすい世界について考えるという内容です。
美術科で扱う「ユニバーサル・デザイン」やSDGsにも大いに関連します。
今回は6名の介護福祉士さんにお越し頂きました。
子どもたちは主に二つの体験をおこないました。
一つは「視界」に関するものです。
ご高齢の方の趣味の一つとして塗り絵があげられますが,いざ同等の条件で色鉛筆を握ってみるとこれがすごく大変!
「色が分からない!」「どこを塗ればいいの?」という声をあげながら,楽しく参加していました。
もう一つは,「手指」に関するものです。
軍手を2つ重ねて着用し,巾着袋に入ったがま口から小銭をとりだしてもらいました。
細かい作業がつらくなる条件も非常に負荷となりますが,せかし役の「はやくしろよ~」という声も追い打ちをかけます。
床に落ちた小銭を拾うのも一苦労です。
一見簡単に見えますが,いざ体験してみるとまったく拾うことが出来ません。
拾うことに成功した子どもが「やった~!!」と思わず乱舞するほど・・・!!
我々はこのような場面に遭遇したとき,どのような行動をとるべきかが身にしみて分かります。
決して自己中心的に動いてはいけないという教訓も得ることが出来ますね。
高齢者模擬体験での学びは,どのように活用できるでしょうか。
日常生活にも適用可能ですし,ユニバーサルな暮らしの重要性・他者理解などについてより深く考え,住居やコミュニケーションを生業とする教科にいかすこともできますね。
子どもたちが実体験を通して「自分なりの考え・哲学」を持つ,そんな授業がこれから求められているのでしょう。