題 目 | X線吸収分光法によるFeとCo高圧相の結晶構造と磁性の研究 |
講 師 | 石松 直樹 (理学研究科) |
日 時 | 2014年7月24日(木) 16:30 - |
場 所 | 先端物質科学研究科 402N |
要 旨 | 室温常圧下のFe(bcc構造)とCo(hcp構造)は,同じ最外殻d電子数をもつ4dと5d遷移金属(hcp構造のRuとOs,fcc構造のRhとIr)と異なる結晶構造をとる.この相違はFeとCoの強磁性に起因する.このため,高圧下ではFeがhcp構造にCoがfcc構造に構造相転移し,同時に強磁性相は消失すると考えられてきた.このため,我々は高圧下のFeとCoの磁性と結晶構造をX線吸収分光による実験から調べている.その結果,FeとCoの高圧相は予測とは異なる結晶構造と磁性であることが最近分かってきた. Coのhcp→fccの相転移は約81GPaで起こり,約134GPaでfcc相が単相になる.強磁性秩序の存在を表すX線磁気円二色性のスペクトルは加圧で減衰するが,fcc相単相の圧力下でも小さなスペクトルが残る[1].このCo高圧相のスペクトルは帯磁率の大きな常磁性的な振る舞いを見せている.Feに関しては,bcc→hcp構造相転移の過程をEXAFSと呼ばれる吸収スペクトルから決定した[2].Feの構造相転移は約14GPaで起こり,結晶格子の剪断変形とshuffleと呼ばれる格子面の変位を伴うマルテンサイト変態である.EXAFSの結果によると剪断変形が最初に進行し,shuffleの原子変位はhcp相の原子位置に達する前に完了する.このためhcp構造よりも対称性が低い構造がFe高圧相の結晶構造として示唆されている. [1] N. Ishimatsu et al., Phys. Rev. B 83, 180409(R) (2011) [2] N. Ishimatsu et al., Phys. Rev. B in press |
担 当 | 松村武(先端物質科学研究科 内7021) |
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