ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP) 基本情報

学内サポート情報

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ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)

HFSPは、生物が持つ複雑な機能を解明する野心的なフロンティア基礎研究を支援しており、その研究成果を全ての人類の利益のために最大限に活用されることを目的とする。

プログラムの基本方針

  • HFSPは生体の精妙かつ複雑なメカニズムに焦点を当てた革新的、学際的、かつ新奇性を備えた基礎研究を支援
  • 研究対象としては、細胞構造における詳細な分子状態から、神経システム科学における複雑な相互作用にまで及ぶ
  • 特に、ライフサイエンス以外の分野(物理学、数学、化学、情報科学、工学等)の科学者達の専門知識を活用した、独創的な最先端の、異なる大陸をまたいだ国際共同研究に大きな重点
     

ライフサイエンス分野の研究者とそれ以外の分野の異国研究者との「夢のコラボレーション」、そして斬新で大胆なアイデアや革新的なアプローチが求められていると言えます。 “次の一歩”では落ちます。 既存研究から明確に離れた高リスク・高インパクトの問いと、過去未協働の国際的・学際的チームで臨みましょう。

HFSP研究グラントがなぜ特別なのか?(受賞者からのコメントより)

  • 純粋に基礎科学研究を追求できます。
     →応募申請書に「この研究の成果は人の〇〇に役立ちます」という記載は要りません。
  • 申請時には予備的データの提示は要求されません。
     →仮説のみで大丈夫です。アイデア(革新性)が重視されていますので、実績の少ない若手研究者にとっても提案しやすいといえます。
  • 支給される研究支援費の使い勝手が良いと感じました。
     →自由度が高く、年度をまたぐ繰越しも容易でしたので、研究活動に専念できました。
  • 事務処理が簡潔で比較的容易でした。会計報告書の提出は求められますが、実地検査はありませんでした。
  • 研究進捗状況により、研究期間を1年延長(繰延べ)できます。
  • 採択された実績については、国際的に高い評価を得られやすいです。
  • HFSPOが主催する受賞者会合(Awardees Meeting)を通して、新たな研究ネットワークを構築できました。
     

HFSPは、“一人でも、一分野でもたどり着けない基礎的な問い”に挑むための制度です。 研究テーマは壮大で構いません。重要なのは、異なる専門を持つ国際チームでなければ成立しない必然性を、申請書で明確に示すことです。提案できる数少ないグラントです。

HFSPの研究グラント:「Research Grants - Program」「Research Grants - Early Career」

いずれも、異なる専門知識を組み合わせた革新的アプローチによって、単一の研究室では解明することのできなかった基礎生物学上の問題に取り組むことを目指す科学者の国際共同研究に対して助成されます。特に、生物科学の問題に焦点を当て、異なる研究分野(例えば化学、物理学、コンピューターサイエンス、工学など)の研究者を組み合わせた新たな共同研究に重点がおかれます。
 

対象 Research Grants - Program Research Grants - Early Career
支援対象 2カ国以上の独立した研究者、合計2~4名からなる国際的共同研究チームで、あらゆる経歴、異なる国々の研究者からなる専門分野横断的なチーム。研究者のキャリア段階は不問。若手の独立した研究者の参加を奨励 Research Grants - Program
と同様のチーム構成でかつメンバー全員が5年以内に独立した研究者(准教授、講師、助教またはそれに同等の研究者を含む)、かつ博士号取得後10年以内の研究者から成るチーム
助成期間 3年間(最大)
支援金額 90万ドル(2名チームの場合の3年間総額)~
150万ドル(同4名チームの場合)

「Research Grants - Program」「Research Grants - Early Career」両方に共通するのは、 “一人でも、一分野でもたどり着けない基礎的な問い”に挑むための制度です。 研究テーマは壮大で。重要なのは、異なる専門を持つ国際チームでなければ成立しない必然性を、申請書で明確に示すことです。 「Research Grants - Early Career」のほうが、比較的競争率が低いとされています。

助成支援の対象とされる研究対象、研究チーム

  • 純粋に助成支援対象は幅広いライフサイエンス分野に関連するフロンティア基礎研究活動となっています。応用研究又は開発研究は対象外
  • 既存・継続中の研究活動の延長を行う研究活動も対象外
  • 異なる国で活動する異なる研究分野の研究者同士の分野融合型研究(一国の研究機関だけでは成し得ないもの)が奨励されています
  • 既存の研究概念を覆すような新奇な研究構想が奨励されています。申請時に初期実験データ等の提出は不要であり、アイデア勝負となっています
  • 国際的(大陸横断が望ましい)な研究チームを構築し、メンバーの1名が申請代表者となる必要がありますが、共同申請者は国籍及び研究本拠地が問われません。
  • 研究チームの構成メンバーはお互いに専門分野が有意に異なり、共同研究を行ったことのない者同士(基本的に共著論文なし)である必要があります
  • メンバーそれぞれが学位(PhD等)を持ち、独立したポストに就いている研究者である必要があります。ポスドク研究員は申請適格性がありません。
     

助成支援の対象とされない研究プロジェクト

  • 過去に共同研究の実績がある研究チームのプロジェクト
    ⇒全く新奇の共同研究が求められており、研究チームのメンバー同士はこれまで共同研究を行ったことがなく、基本的に研究論文を共同で著したことがない関係であること、及び、各メンバーの既存の研究活動とは有意に異なる提案を行うことが求められています
  • 研究チームのメンバーが異なる国において研究阻止しを有していないプロジェクト
    ⇒研究チームの構成は2~4名(まれに5名)で、メンバーはそれぞれ異なる国において研究組織を保有している必要があります。さらに言えば、大陸横断型の構成が重視されます。
  • 応用研究の性格を純粋に持つもの
    ⇒例えば、臨床医学及び創薬的な性格の強いプロジェクト(ただし、疾病の基礎的な生物学的メカニズムを解明する目的のプロジェクトはOK)。また、診断及び治療の方法を開発する目的のプロジェクト、工学、バイオテクノロジー又はナノテクノロジー分野の応用研究、農学又は林学に直接的に関係するプロジェクト(農作物の増産又は育種に関するもの及び汚染対策等の環境問題に関するもの、等)
  • 開発中の新奇な研究方法に関する研究又は生物学的活動のモデル化を目的とした研究
    ⇒ただし、これらの研究手法が新たな生物学的課題に関する解答を得るためのものである場合はOK
  • 観察的な研究プロジェクト又は系統的スクリーニング手法によるプロジェクト
  • 大規模なデータ収集を主目的とする研究プロジェクト
    ⇒この「大規模なデータ収集」には、一般的に基礎的な生物学上の課題とは見なされない個体群や生態系についての系統的な複数種のオミックス解析が含まれます。しかしながら、種間の相互作用又はそれらの共通進化メカニズムに関する研究についてはOK
  • 営利目的の環境下で行われる研究
    ⇒ただし、営利目的機関との共同研究活動については、実施の必要性が認められればOK
  • 一般標準的又は漸進的な手法に基づく提案、一人若しくは複数の申請者の研究分野若しくは研究機関での次のステップとしての研究であることが明らかな提案(既存のプロジェクトの延長)及び申請者のこれまでの活動から研究の方向性を大きく変えることのない提案

HFSPで最も重視されるのは“新奇な問い × まったく新しいチーム”です。 既存研究の延長、既知の協働関係、万能的なデータ収集は評価されません。“これまで一緒にやっていない、専門の異なる研究者でなければ成立しない基礎的な問いか”を、申請前に何度も自問してみてください。

申請スケジュールと行うべき準備

LoI提出
前年7~9月

HFSP向きかどうかの見きわめ

  • HFSP的価値の確認
    :新規性は?学際性は?高リスクだが高インパクト?
  • 過去のHFSP採択課題を読む
  • 自分のアイデアがHFSP向きかを判断
    :フロンティア基礎研究か?(応用・開発は不可)
    既存研究の延長ではないか?
  • 異分野・異国の候補者探索
    :これまで共著がないか?
    異国間研究者の構成か?(大陸横断が理想)
LoI提出
前年9~12月

チーム結成

  • チームメンバー候補者へのコンタクト
  • 2〜4名(稀に5名)の国際チーム構築
  • HFSP的価値の再確認
  • Principal Applicant(代表)を決定
    :なぜ代表がその人でなければならないか?
    なぜこのメンバーでなければならないか?
  • 各メンバーの貢献を明確化
  • メンバーのCV整理(直近5年・論文10報以内
  • ORCID確認
  • 過去の共著論文の洗い出し(要申告)
    :共著論文は無いか?
    他のLoIに名前が載っていないか?
LoI提出
当年1~3月

第1次申請物の実質準備

  • Letter of Intent(後述「Letter of Intentの構成要素」スライド参照)
  • CV・論文リスト
  • AI使用の申告(使用した場合)
     
(2026年公募は)
3月17日
申請者登録番号(compulsory initiation: 7桁のLoI ID番号)の取得
3月26日
第1次申請
Letter of Intent(研究概要申請書)の提出
第1次申請後

第2次申請物の実質準備

  • Full Proposal用の詳細設計(各Work Packageの具体化・詳述化)
  • 研究費配分の大枠設計
  • Full Proposal(科学的要約:2400字、公開用要約:2400字、詳細研究計画:8000字、
    進行中研究との違い:1500字、学際性説明:1500字、チーム全員+所属機関の署名)
  • 分担を再調整(各人の貢献が独立しすぎていないか等を確認)
  • 所属機関事務との調整開始(署名が必要。間接経費(10%上限)確認)
9月末頃
第2次申請

Full Proposal(詳細申請書)の提出

  • 採択時の契約準備、研究費受入体制の整備・確認
  • 不採択時の再申請戦略の整理
翌年3月下旬

採択通知・採択課題の公表

採択後すぐに必要な準備

  • 予算配分案の最終化
  • 研究開始スケジュールの確認
  • 倫理審査・輸出管理など学内手続き
     
翌年4月以降

研究グラント活動の開始

  • 年次報告あり
  • 研究進捗に応じて1年延長(繰延べ)可
  • 2年目以降、条件を満たせばアクセラレーターグラント申請可
     

HFSPは“締切直前に書くグラント”ではありません。 勝負は申請前年から、問いのフロンティア性の見極めと“過去未協働の国際・学際チーム”をいかに固められるかが勝負となります。LOIの準備も、できるだけ早期に着手していくと良いでしょう。

Letter of Intentの構成要素
 

  1. 表題(スペースを含めて最大100字)
  2. キーワード(最大10件)※キーワードには、1.生体機能、2.生物学的資材、3.方法と手段を含みます。
  3. チームメンバー各人の専門分野(最大10分野):リストから選択
  4. 研究プロジェクト全体の概要(スペースと句読点を含めて1200字以内):研究チームの全体的な目標を明確に記述してください。特に異なる専門分野の役割(貢献)についても簡潔に記載してください。
  5. 研究チーム全体の目標を達成するための各メンバーのサブ・プロジェクトの役割と明確な見通しの説明(スペース及び句読点を含めて1200字以内)
  6. 次(a)~(c)の説明(スペース及び句読点を含めて1600字以内): (a) 提案された研究はライフサイエンス分野のフロンティアをどのように推進・拡大するのでしょうか? (b) 提案されたプロジェクトのどの部分が特に独特で革新的なのでしょうか? (c) いかなる研究課題、開発されるべき新たな手法及び/又は新たな専門分野の組合せが、ライフサイエンス分野における根本的な課題への解答のブレイクスルーを導くのでしょうか?
  7. 次(a)及び(b)の説明(それぞれスペース及び句読点を含めて600字以内): (a) 研究チームの学際性(専門知識の新しい組合せを含む)としては、どのようなものなのでしょうか? (b) どのような専門知識の組合せによって研究プロジェクトを成功させようとするのでしょうか?
  8. 研究プロジェクトに関連する参考事項(最大5件。スペース及び句読点を含めて1200字以内)

LoIは短文ですが、“考え抜いた構想”が一目で伝わるかが勝負です。 文字数調整の前に、①この問いは何が未踏なのか、②なぜこの国際学際チームでなければならないのかをチーム全員で早めに言語化し、申請の少なくとも数か月前から何度も磨き上げることが最大のポイントになります。

研究グラントの選考審査における重要ポイント

HFSP研究グラントの選考審査に際しては、「Letter of Intent」及び「Full Proposal」の2つの段階を通じて、次の3つの事項が重点的なポイントになっています。
 

  1. 新奇性/革新性に関する要素を備えているか:「リスクは高いが、見返りも大きいこと」及び最先端のプロジェクトであるかが最も重要な概念です。
  2. 専門分野横断型のプロジェクトであるか:研究分野における新奇の専門的知見の組合せとなっているかを含みます。
    研究チームメンバー同士の新奇の専門的知見の組合せ及び真の新奇の分野横断型の共同研究であることは、HFSPOが研究支援するプロジェクトとしての重要な特徴であり、明確な優先度が付与されています。専門分野横断性につきましては、申請に当たっての専門的知見の新奇な組合せを含んでおり、例えば、化学者、物理学者、数学者又はライフサイエンス以外の専門家を含むことが推奨されてはいます。
  3. 研究チームの構成/共同研究についての要素(いかなる国際共同体制となっているか
    なぜ国際共同研究が必要とされているのか、又は、単独の研究グループでもなしうるのではないか(あるいは、研究チームに依らずとも研究者がそれぞれ個別的に研究活動を行うことが可能なのではないか)についての審査が行われます。国際共同研究については、大陸間横断型の組合せが望ましいとされています。研究チーム内の2名が同一の研究機関に所属しているという場合は、応募申請の適格性を有していません。
     

HFSPは“アイデア勝負”ですが、最終的に採択されるのは“実行設計まで考え抜かれたアイデア”です。LOI前からFull Proposalを見据えて準備しましょう。 第1次審査で見られているのは一貫して“Why×Who×How”。 準備は締切直前ではなく申請前年から始め、未踏性(Why)・このチームである必然性(Who)・成功に至る論理(How)を、LoIでは簡潔に、Full Proposalでは丁寧かつ説得的に、同じ物語として磨き上げましょう。

申請者向けの参考情報


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