【研究成果】放射線被ばく後に発病する白血病の原因遺伝子を発見

広島大学原爆放射線医科学研究所の稲葉俊哉教授と本田浩章教授を中心とする研究グループ(慶應義塾大学医学部の須田年生教授、慶應義塾大学医学部の田久保圭誉講師、公益財団法人がん研究会がん研究所発がん研究部中村卓郎部長ら)は、放射線被ばく後に発病する白血病の原因遺伝子を発見し、平成2594日(水)に東京オフィスで記者会見を行いました。

記者説明会の様子

説明を行う稲葉教授

放射線を浴びたことによる白血病や骨髄異形成症候群(MDS)の発病は、広島や長崎などの被爆地で大きな問題となってきました。また、放射線によるがんの治療後にも白血病やMDSが発病することがあり、未解決の問題となっています。

広島大学を中心とした研究グループは、被爆者や放射線治療後の白血病やMDSでは、しばしば7番染色体が失われることに着目し、7番染色体のどの遺伝子が失われることにより白血病が発病するかを調べました。そして、さまざまな根拠からある遺伝子(Samd9L)に注目しました。この遺伝子を人工的に欠損させたマウスを作製したところ、このマウスは加齢とともに白血病やMDSを発病しました。つまり、放射線による白血病やMDSの発病には、Samd9L遺伝子の欠損が重要であることがわかりました。この研究成果により、被ばく後長時間経ってから白血病やMDSが発病する仕組みが分かる可能性が出てきました。

この研究成果は、平成25年9月10日(日本時間)付の米国の学術誌「Cancer Cell」オンライン版に掲載されました。

【お問い合わせ先】

(研究内容に関すること)
広島大学原爆放射線医科学研究所 教授 稲葉俊哉
TEL:082-257-5834
E-mail:tinaba*hiroshima-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)

(記事に関すること)
学術・社会産学連携室広報グループ
TEL:082-424-6762
E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)


up