【研究成果】iPS研究の国家戦略特区認定事業者と共同研究契約を締結

広島大学(学長:越智光夫)は、株式会社iPSポータル(本社・京都市、代表取締約社長:村山昇作)と神経系疾患に関するiPS細胞を血液検体から作成する共同研究契約を締結しました。

本学の研究責任者となる川上秀史教授(広島大学原爆放射線医科学研究所)は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子を突き止めるなど神経疾患の遺伝因子に関する研究に取り組んでいます。
共同研究期間は平成28年2月22日~平成30年3月末までの間で、今後、同意を得られたアルツハイマー病など神経系疾患の患者さん数十人程度から血液検体をご提供いただき、主要な関連遺伝子変異パターンを網羅する「疾患iPSパネル」を共同で構築していく計画です。
アルツハイマー病などの神経系疾患に向けては世界中で新薬の研究開発が進められています。その一方で、個人個人で多様な疾患関連遺伝子の変異があるため薬の有効性に差が生じることが新薬開発における難しさになっています。「疾患iPSパネル」の活用により、製薬企業においては新薬研究の初期段階からターゲットとする遺伝子変異群(すなわち患者群)を明確化したり、治験のデザインにも役立てることができると考えられます。

株式会社iPSポータルは、2月29日付けで、厚生労働大臣による国家戦略特別区域血液由来特定研究用具製造事業特定認定を取得しました。平成27年9月9日付で国家戦略特別区域認定事業者としての内閣総理大臣認定を受けておりましたが、改めて事業実施を厚生労働省に対して申請し、製造設備や品質確保に関わる社内体制などの確認を受けて事業認定を受けたものです。
今回の事業認定を受け、同社はこうした研究ツールの提供を業として実施できるようになります。

【研究に関するお問い合わせ先】

広島大学原爆放射線医科学研究所 教授
川上 秀史(かわかみ ひでし)
Tel: 082−257−5846
E-mail: hkawakam@hiroshima-u.ac.jp


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