初代理事長の言葉

不可能なことはない
~フューチャーライゼーションを合い言葉に~

日時:平成9年11月11日(火)午後3時
場所:佐竹製作所本社

 

広島大学の学術研究などを支援するために「財団法人広島大学後援会」が設立された。佐竹製作所の10億円の寄附と学内募金5,000万円を母体として発足したこの後援会の理事長,佐竹覚・佐竹製作所代表にお話を伺った。
インタビューアーは,岡本(友)・江坂両広報委員と岡本広報委員長。

優秀な人材育成を目指して

広報委員=財団法人広島大学後援会の生みの親としての立場から、財団への思いについてお聞きします。
佐竹代表=財団化は、今回が初めてではない。すでにサタケ技術振興財団がある。地域社会への奉仕ということで、百周年記念事業の一環として優秀かつ有能な人材育成を目指してもらいたいため、広島大学にサタケ基金を設立した。一社で拠出するのは珍しいようだが、企業も社会奉仕をしなければならない。
日本は、物質的に乏しいが、人間の頭脳はある。頭脳は一つの資源だ。あるものを有効に使う必要がある。第一次世界大戦後、アメリカは、世界中から研究者を集め、発展した。日本もバブル時代にそういうことをやらなければならなかった。今後、日本はうまく人を活用する頭脳集団を創らなければならない。

広報委員=地元の方からみて、広島大学の移転をどのように受けとめていらっしゃいますか。
佐竹代表=権威ある経験豊富な先生方と交流できる、ということで歓迎している。いろんな面で交流できるといい。

広報委員=広島大学後援会の理事長として広島大学にどのようなことをお望みですか。
佐竹代表=広島大学は、全国でも有数な規模を誇っており、立派な大学だと思う。今後の広島大学には、この研究分野については世界No.1でどこの大学にも負けない、というような特色のある大学を目指してほしい。
私ども佐竹製作所は、精米機に関しては世界No.1の企業である。最近は、革新的な小麦の製粉プロセスに挑戦しており、製粉の分野でも世界No.1を目指している。私どもは、No.1になるために毎朝、開発会議を開いて、新技術、新商品の開発を率先して進めている。最初は不可能に思っていた技術や製品の開発も、発想を転換すればほとんどのものが可能となる。これと同じように、広島大学も特色ある大学としてますます発展することを願ってやまない。

佐竹 覚 佐竹製作所代表

国際性を身につけてほしい

広報委員=広大生の特徴、印象はいかがでしょうか。また、広大生にどのようなことをお望みですか。
佐竹代表=佐竹製作所にも、工学部をはじめいろいろな学部から多くの学生に来て頂いている。優秀な学生が多いが、もっと全体のレベルをあげてほしい。教養を身につけてほしい。また、広大生にはどういう特徴があり、個性があるのかをアピールできるようになってほしい。
日本の大学では、多種多様な才能が育ちにくい。日本の大学制度にも問題がある。一流大学を卒業しても、必ずしも社会で成功するとは限らない。物の見方、考え方が大切。
私どものような製造メーカーは、新商品の開発が不可欠であるが、今までの経験にだけ頼っていては新しい物はできない。新入社員に教えていることは、「不可能なことはない。頭から不可能と思ったらダメ。できるんだという気持ちでやるように」と教育している。日本の学校でも、同じような教育をしてもらいたい。
学生は、ちょっとおかしくなったり、めんどくさくなったりすると対処できない。特に大学生については、もっと勉強してもらいたい。アメリカの場合は、大学に入る前は日本のように猛勉強しないが、入ってからどんどん吸収している。人間は謙虚であるべきで、何でも吸収しようと努力すべきだと思う。
私は、父が商社に勤めていた関係でアメリカで育ち、アメリカの教育を受けてきたため、英語に不自由しない。おかげで、世界中の人々と交流をもつことができ、非常に助かっている。言葉は大変重要だ。その国の言葉ができるということは、その国の人々の考え方が理解できる。
日本人は、海外に行ってもすぐ固まってしまう。もっと国際的にならなければならない。日本人は英語が下手。やはり教育の問題であろう。海外から来た人と自由に折衝できるようになることが大事である。国際性を身につけてほしい。
今、若くて新しい発想が望まれている。最初からあきらめていては、何も新しいものは生まれない。不可能なことはない。これは私の造語だが、将来を先取りするという意味の「フューチャーライゼーション」を合い言葉に、未来に向かって羽ばたいてほしい。

佐竹製作所本社でのインタビューの様子


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