メールマガジン No.28(2009年2月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.28(2009年2月号)
2009/2/5 広島大学大学院文学研究科・文学部

□□目次□□
1.「2009 リテラ ウィンターコンサート」リポート
2.今月のコラム(応用哲学・古典学講座准教授 橋本敬司)
3. 文学研究科(文学部)ニュース
4.広報・社会連携委員会より

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【1.「2009 リテラ ウィンターコンサート」リポート】
リテラ ウィンターコンサートを振り返って    広報・社会連携委員 井内 太郎

 リテラコンサートも早いもので5回目を迎えることになりました。当日は晴天だったのですが、ウィンターコンサートだからというわけでもないのでしょうが、冷たい風がホールの近辺を舞っていたので、お客様が来てくださるか気をもんでいました。けれども、それもいらぬ心配でした。なんと東広島市内外から500人を超える方々が音楽を通じて集ったのです。ありがたいことです。

 今回のコンサートでは、広島大学の音楽活動をしってもらうために広島大学交響楽団の弦楽四重奏と、広島交響楽団の木管五重奏の美しい調べを楽しんでいただきました。弦楽四重奏では、何といってもブラームスのハンガリー舞曲第5番が、学生らしい躍動感があって情熱溢れる演奏でわたしたちの心を打ちました。「木管五重奏は何の楽器で編成されてるの?」、「あのバズーカ砲のようなファゴットってどんな楽器?」と、最初はけげんそうな顔をして楽器紹介を聞いていたおじいちゃんやおばあちゃんも、インマークライナーでクラリネットがだんだんと小さくなっていったころには、木管五重奏の魅力に引き込まれていましたね。弦楽合奏と違って木管五重奏はそれぞれ音色の異なる木管楽器と金管楽器による演奏なだけに、お互いの息がぴったりと合っていなければ、音が1つにとけ合った響きになりません。でも、そこは中四国で唯一のプロのオーケストラのメンバーですね。絶妙のアンサンブルでした。アンコール曲は「篤姫」でしめくくるあたりは、さすがに、聴衆を喜ばせるツボをおさえておられますね。最高の盛り上がりの中でコサートを終えることができました。リテラコンサートを通じて広島大学と東広島市民との文化的交流が深まり、東広島市が文化の香り漂う学園都市になることを願ってやみません。

 最後にこのコンサートの準備を早くからすすめてくださった本学文学研究科のスタッフの方々に篤く御礼申し上げます。
*今回のコンサートは、東広島市から「学園都市づくり まちづくり活動補助金」を受けて行われたことを付記しておきます。

※会場にお越しいただきました皆様からのアンケートの中から、何点か紹介させていただきます。

・クラリネットのせつめいで、クラリネットがだんだん小さくなって、音が変わっていくのが、すごくおもしろかった。(10歳・女子)

・第1部と第2、3部とで団体が違い、弦と管楽器両方あったので楽しみました。子供たちや年配の方々もたくさん来ていて、地域の人たちが楽しむ素敵なコンサートだと思いました。次回が楽しみです。(20歳・女性)

・たいへん楽しい一時を過ごさせていただき、ありがとうございました。広大交響楽団のサマーコンサートにも、是非行きたいと思います。大学が身近に感じられ、とても良いと思いました。(39歳・女性)

・前回のフルート四重奏と違い、親しみやすい曲が多くなりました。自分としてはクラシックの比率がもう少し高くても良いと思います。学生の方のステージがあり、とても良かったです。プロとアマの違いも良く分かりました。(49歳・男性)

・東広島市で生活するようになって3ヶ月を過ぎようとしています。久しぶりに生演奏を聴く事ができ良かったです。広大交響楽団のサマーコンサート楽しみにしています。身近に音楽を楽しむことができそうです。(56歳・女性)

・普段のオーケストラと異なった個々の音色が十分発揮されていて、楽しく聴くことができました。クラシックから流行歌まで、その時代を思い出すと共に、感動をおぼえました。(64歳・男性)

・初めて本日のコンサートに参加しました。久しぶりに広響の演奏に出会い心洗われました。広大交響楽団の演奏は、これからも期待ができると拍手を送ります。2部の楽器紹介は、とても参考になりました。これからもますますこのコンサートが市民に浸透しますように、次回を楽しみにしています。(72歳・女性)

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【2.今月のコラム】  

『胡蝶の夢』   応用哲学・古典学講座 准教授 橋本敬司

 2006年から、毎年11月末に中国人民大学で開催される国際儒学論壇というシンポジウムで発表するようになりました。人民大学の孔子研究院が主催し、儒学の経済思想、仁愛思想といったテーマを設定して、その現代意義などについて発表討論する国際シンポジウムです。06年の開会式では、共産党の代表者が西洋文化に対する中国文化の優越性についてあからさまに語り、それが拍手で受けとめられることに驚かされました。

 07年は、嬉しい出会いがありました。台湾から参加した先生と3日間ほぼ行動を共にし、研究は勿論多くのことを語り、帰国後も交流を続けることを約束しました。これが縁となり、去年台湾大学でのシンポジウムに出かけたときは、彼の大学で一コマ授業をさせてもらい、また台北市を一望できる道教と仏教が習合した寺院に連れて行ってもらいました。自ら積極的に行動すれば出会いがあることを体験しました。

 08年の開会式は少し雰囲気が違っていました。それは、壇上に居並ぶ10名ほどの貴賓の一人として、40才くらいの女性がジーパンにセーターという場違いな服装で座っていたからです。その女性が孔子の子孫であると紹介されたとき、会場には一瞬小さな驚きが走りました。10年越しの「孔子世家譜(孔子家系図)」の修訂調査の結果、孔子の子孫が世界中に200万人以上存在するという報道を思い出していました。

 閉会式では、儒学は中国だけのものではなく世界のものであるという発言がありました。僅か2年の間に西洋文化との対立の図式を越えて、儒学のグローバル化を見出そうとしているのです。これは、2008年9月、孔子の故郷である曲阜で開かれた第一回世界儒学大会を、「孔子是中国的 儒学是世界的」とする共産党の機関紙人民日報海外版の記事にも明かです。

 中国政府は、国内では、儒学学校を設立する一方、国外では、中国語の普及などを目指して、孔子学院を、2004年ソウルに創設して以来、現在まで世界中に200校以上を設立しています。日本では05年に立命館大学に設立され現在は13校あります。勿論ここに、孔子、儒学をツールとする共産党の政治的狙い、国家戦略、世界戦略があるのは事実です。それ故に、このような動きを危惧嫌悪する向きもあります。しかし、中国思想研究に携わる者としては、このような政治的経済的旋風を敬遠することなく、機会があるうちは中国に出かけて発表し続けたいと思います。儒学や老荘思想に現代社会に対する批判力を読み取り、現代社会のさまざまな対立と衝突を乗り越える可能性を見出していくことと併せてはじめて、自らを国際化し、中国思想を国際化できると思うからです。

 政治的、経済的、文化的衝突などから、すぐさま儒学が世界中に普及することはないでしょう。しかし、それでも、将来いつかきっと、南米やアフリカでも国際儒学シンポジウム、国際中国哲学会が開催されようになるはずです。その時、スペイン語やポルトガル語、フランス語が話せなくても、悠々自適、旅行気分で参加できることを楽しみにしています。

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【3. 文学研究科(文学部)ニュース】

○田中久男先生・退職記念講演(講義)
3月31日付けで広島大学を定年退職される田中久男先生(英語・英米文学)の記念講演を行います。

日時:2月18日(水) 11時〜12時
場所:文学部大講義室(リテラ)
講演題目:「エミリーへの薔薇」におけるウィリアム・フォークナーの創作戦略

○平成20年度優秀卒業論文発表会
今年も4年生が熱心に卒業論文に取り組みました。各分野から選ばれた優秀卒業論文発表を是非お聴きください。

日時:2月19日(木)13時〜17時(予定)
場所:広島大学文学部大講義室(リテラ)

○「猪熊文書を読む会」のご案内

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【4.広報・社会連携委員会より 河西 英通】

 広島に来てから二度目の正月を迎え、研究室と宿舎の往復という味気ない毎日を送っています。これは体によくありません。昨年の××回目の誕生日には小雨のなか、ひとりで宮島と原爆ドームを訪ねてみました。宮島は初めてです。まずは、教えてもらったのとは違うお店で名物あなごめしを食し、宮島行きのフェリーに乗船。海から見る広島の街もなかなかですね。降りた瞬間に虹が現われ、思わず〈オオー〉。普段の行いの正しさを確認しました。人ごみのなか、〈どうせ、わたしゃ、ひとりです〉とつぶやきながら、厳島神社の回廊を通り抜け、足早に帰りのフェリーへ。宮島口からは広電に乗車。生まれ故郷の札幌にも路面電車(市電)が走っています。なごみます。原爆ドーム前までの沿線風景もgoodでした。夕方の原爆ドーム。〈誕生と破壊……〉日銀旧広島支店で千羽鶴を見てから、東広島へ。

 12月には九州に行ってきました。沖縄は与那国まで行ったことがあるのですが、九州は初めて。九州出身のみなさん、すみません。〈やっぱり、在ったのか〉というのが率直な感想です。行った先は、福岡県大牟田市。歴史家のはしくれとして、三池炭鉱跡地を自転車でグルッと一周し、1959年から1960年にかけて繰り広げられた「総資本と総労働の闘い」三池闘争の記憶を辿ってみました。まだまだ語りきれない、語れない事実があるのが現代史の現代史たる所以ですが、昨年から今年にかけての社会状況に繋がる時代であったことは明らかでしょう。ともあれ、さまざまな人間ドラマがあったことを学び、歴史の奥深さを垣間見た旅でした。
2009年はどんな年になるのでしょう。どんな年にしましょうか。

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