メールマガジン No.38(2010年7月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.38(2010年7月号)
2010/7/16 広島大学大学院文学研究科・文学部

□□目次□□
1.カープ観戦記
2.フェニックス特別選抜入学生からのメッセージ
3.文学研究科(文学部)ニュース
4.広報・社会連携委員会より

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【1.カープ観戦記 日本・中国文学語学講座准教授 瀬崎圭二】

2010年7月2日金曜日、文学部の互助会でカープ観戦ツアーが催されました。
  偶然にも、この日は私の36回目の誕生日でした。1974年7月2日、広島市に生まれた私は、思えば既に30年以上も広島東洋カープを応援し続けていることになります。言うまでもなく、幼い頃の私の写真はあの赤い帽子をかぶっているものばかりですし、小学生のときにはミスター赤ヘル山本浩二にファンレターを書き、サインをもらいました。私が小学生の頃のカープは赤ヘル黄金時代と呼ばれる時期であり、今と違ってBクラスに低迷することなんて想像すらできませんでした。私は、強いカープを見ながら広島で育ち、当たり前のように自ら野球をするようになり、カープに入団することを夢見ていました。中学で野球部員だった頃には、既に入団記者会見のことばまで考えていました。「カープ以外のチームの野球なんて、野球じゃありません」と…。
(そこまで夢見ていたにもかかわらず、高校では、坊主頭にするのが嫌で野球部には入部せず、美術部で油絵を描くという大転向を遂げたのでした…)。

  カープの最後の優勝は1991年、私が高校2年生のときでした。このときのカープの優勝を支えたのが、野村謙二郎現監督と大野豊現ヘッド兼投手コーチでした。このシーズン、野村と大野はすばらしい活躍を見せました。野村はヒットを量産しては足でかき回し、抑え投手としての大野は、失点はおろかヒットすら許さないという完璧な投球を披露していました。その二人が指導者としてタッグを組んだ今シーズン、私は大きな期待を持って開幕を楽しみに待っていたのです。

 だが、しかし…
 これまでのところ、この二人をもってしても、今のカープの窮状は救えそうにないようです…。もしかすると、これまで以上に弱くなっているのでは?と思わずにいられません…。今年6月7日のセパ交流戦で、オリックス相手に21点奪われるという大敗を喫してしまったときは、二人の即時解任を望んだものでした。今回のカープ観戦ツアーも、対横浜戦という「良い選択」ではあるものの、大敗の悪夢が脳裏をよぎり、多少の不安を抱えながら球場に向かいました。今年も妻子を連れての観戦だったのですが、そのような私の不安をよそに、2歳の長男は「カープ!カープ!」と興奮気味です。

 さて、当日の試合経過です。先発はジオとランドルフの両外国人投手。最近好調のジオに期待です。2回表、横浜にスクイズで1点先制されましたが、3回裏、カープが四球と盗塁を交え、ランドルフの暴投も手伝って、一死三塁からスクイズで同点に追いつきました。カープはノーヒットながら1点をもぎとったわけです。今年のカープはスクイズが多く、この高校野球さながらのプレイにいささか閉口したのですが、スクイズで奪ったこの1点が後で大きな意味を持つことになります。というのも、この1対1の均衡のまま全くゲームが動かず、カープに至っては結局7回裏までヒットが出なかったからです。そのカープ最初のヒットは、四球のランナーを一塁においての石原のタイムリー・ツーベースでした。振り遅れたバットにたまたま当たった感がなきにしもあらずですが、とにかくライト線ギリギリの打球はカープに勝ち越し点をもたらしました。さすが意外性の男、石原です。これで2対1です。

 残るは8回と9回。頼りになるリリーフピッチャーを全てケガで欠いているカープは、ここからが正念場です。8回裏、セットアッパーとしてマウンドに上がったのは…サウスポーの大島でした。私の脳裏に数年前の悪夢が蘇ります。2006年7月1日、当時名古屋に住んでいた私は、ナゴヤドームで中日・広島戦を観戦しました。そのときの先発が大島でした。結果は…初回からめった打ちにされ、4回5失点KO…。この試合は乱打戦となり、結果的にカープが勝ったものの、私の記憶には大島に対する大きな不信感が刻まれました。以後も大島は毎年期待されながら一軍に定着できていません。その大島が、この緊迫した場面で登板なんて…。でも、他にいないのです。祈るしかありません。すると…。意外も意外、簡単に三人で片付けてしまいました。

 さらに9回裏…マウンドに上がったのは…上野…。またもや私の脳裏に悪夢が蘇ります。今年の4月29日の対横浜戦。8回表からマウンドに上がった上野は横浜打線にめった打ちを食らい、祝日で満員になったマツダスタジアムのファンを大きく裏切ったのでした。その結果、上野はすぐに二軍降格です。しかし、6月に再び一軍昇格後、ここ最近はなかなか良いピッチングを披露している上野。これももう祈るしかありません。と思いきや、「カキーン!」という快音。好打者内川のツーベースです…。進塁打と四球、盗塁をはさんで一死二、三塁の大ピンチ。もう同点覚悟です…。へたすりゃ逆転ですよ…。

 しかし…。奇跡です。続くバッターをピッチャーゴロ、センターフライに打ち取り、ゲームセット。一軍では敗戦処理投手に近い上野が、この緊迫した場面を抑えるなんて…。試合後の上野のコメントには笑えました。「1点差でマウンドに立ってみて、永川さんってすごい人だと思いました」。永川が…すごい…?昨年の互助会カープ観戦ツアーを最後の最後で台無しにしたのは永川ですよ…。すごくないよ…あんなやつ…。

  結局、カープのヒットは、あの石原のツーベース一本のみ。よく勝てたものです。カープ球団史上1安打勝利は10年ぶりのことだそうです。もしかしたらこんな試合を観戦できたのは幸運かもしれません。私の誕生日に、野球の神様が恵んでくださった珍試合かもしれません。快勝ではありませんが、とにかく勝利に酔いしれて帰宅することができたのでした。

 私は、カープの石井琢朗選手のブログを毎日チェックしていますが、琢朗はこの試合を次のように振り返っています。「執念ですよ、執念。/今のカープらしくていいじゃないですか。/どんな不細工な勝ち方でも、勝ちは勝ちですから。/もっと、もっと、泥臭く行きましょうよ。/それが、カープの野球ですよ」。

 そうか…もしかしたら、もっともカープらしい試合を私たちは観戦することができたのかもしれない…。私たちに最高の試合をプレゼントしてくれたのかもしれない…。そう考えると、しんみりと幸福感が湧き上がってきました。

 帰宅して、2歳の長男が言いました。「またカープ、行こうね!」。
 …私は、自分が果たせなかったカープ入団の夢を子どもに託そうと思います。既にグローブもバットも買い与えています。カープに入団後、一流選手になったとしても、FAで阪神に入団したり、大リーグに行ったりしないように育てたいと思います。

 私のストーカー的カープファンぶりが存分に発揮された観戦記となってしまいました。でも、カープは私の人生であり、カープの優勝は私の夢なのです。こんな感じで研究論文が書けたらいいのになーと思いつつ、筆を擱きます…。

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【2.フェニックス特別選抜入学生からのメッセージ】  

『遊びつくす!! 』 日本・中国文学語学講座 日本文学専攻 土屋礼子

 広島大学のホームページに「学問は最大の遊びである」とあります。現在3年生になり、苦しみの「遊び」をしています。果たして、楽しみの「遊び」になるのかと心配です。
 さて、定年退職を控えどう生きて行こうかと思案していた折、フェニックス入学の先輩の記事が新聞に掲載され、即、私も、もう一度勉強をしようと決め広大へ入学しました。しかし、約40年振りの本格的な勉強が始まり、特に英語で戸惑いました。幸いフェニックス入学の人達と同じクラスでとても心強く、何とか乗り切り、今に至っています。

 また、入学して今までに経験したことのない科目を選択しようと、まず自然科学実験法・実験を採りました。7名の受講者と少なく、砂鉄から鉄を作ったり、明晩の結晶を作ったり、砂の隙間率を求めたりし、とても面白く驚きの連続でした。しかし、大学の科目なので、実験してから検証をしなければなりません。例えば、理論的に出来る鉄と、実際にできた鉄との比率を求めるのです。これが科学することかと思いました。又体育実習ではスクーバを採りました。始めはスノーケルを使いプールの中を潜って往復するのですが、鼻で呼吸していまい、何度溺れそうになったことか。お風呂でスノーケルの呼吸法を練習しました。指導の先生やスクーバサークルの人達の励ましやご指導のおかげでライセンスを取るまでになり、沖縄の海を潜ることができました。魚のように、竜宮城かと思われる海で、色とりどりの魚と一緒に潜ったのです。夢のような一時でした。次回はマンタと一緒に、と思っています。

 また、サークルの合唱団に入り週三回(火・木・土曜日)歌っています。発声法が難しく、喉で声を出してしまい、上へ声を回すようにと何度注意されても、なかなか身につきません。でも、歌を歌うことは楽しいです。歌うことだけでなく、12月11日に行われる定期演奏会のステージの進行を担当しています。若者と共にステージを作っていくことは大変ですが、柔軟な発想や考え方を吸収でき、また遣り甲斐のある仕事です。

 大学生活は私の第二の青春です。先生・先輩のご指導や、仲間や家族の支えを受けて、これからもいろいろなことに挑戦し、遊び尽くしていきたいと思っています。

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【3. 文学研究科(文学部)ニュース】

○平成22年度(2010)広島大学オープンキャンパス
平成22年8月8日(日)〜8月10日(火)に 開催します。

○文学研究科・文学部主催公開講座
リテラ「21世紀の人文学」講座2010
テーマ  「龍馬の生きた時代の歴史と文学」
【日時】平成22年10月23日(土)13:30〜16:30
【場所】広島市まちづくり市民交流プラザ 研修室C
【内容】本研究科は2004年から「21世紀の人文学講座」を毎年開催し、広く市民参加型の公開講座として実績をあげてきた。今年度は、大河ドラマで話題の坂本龍馬が生きた時代を歴史的視点と文学的視点から読み解いていく。
【講師】広島大学文学研究科 教授 勝部 眞人「幕末政治と坂本龍馬」
    広島大学文学研究科 教授 久保田 啓一「志士と文学ー和歌・漢詩ー」
【対象】一般市民(高校生以上)
【受講料】無料

申込受付開始は、8月下旬の予定です。申込等の詳細が決まり次第お知らせいたします。

○「2011 リテラ スプリングコンサート」広島大学大学院文学研究科主催
リテラ スプリングコンサート 2011 SPRING CONCERT−広島交響楽団木管五重奏−

【日時】平成23年3月20日(日)14:00開演(13:30開場)
【会場】広島大学サタケメモリアルホール(広島大学東広島キャンパス内)
【入場無料】

○サテライト展示1階ロビー【コレクション企画展示】のご案内
6月から「歴史・文学を彩る花物語」と題して展示いたします。

[展示内容]
・バラ戦争とテューダー・ローズ
・夏目漱石と「虞美人草」
・中世の大ハイデルベルク歌謡写本と野バラ(イヌイ薔薇) 
是非、近くにお越しの際は、ご覧下さい。

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【4.広報・社会連携委員会より 竹広 文明】

 本年4月から広報・社会連携委員会の一員になりました竹広文明(たけひろ・ふみあき)と申します。考古学の教育研究をおこなっております。よろしくお願い申し上げます。名前の「文明」について、親が歴史に興味があったのですかと時々聞かれますが、父が土屋文明のファンだったからです。

 間もなく8月になりますが、毎年この時期は広島県の山間にある帝釈峡で先史遺跡の発掘調査をおこなっています。自分たちの手で研究資料を発掘により探究していく、貴重な時間となります。これまでの帝釈峡の調査でいろいろな研究成果が発信されてきていますが、例えば私の専門の一つの縄文時代の石器研究の面では、帝釈峡の狩猟具は、香川で産出するサヌカイトで大半の石鏃が作られており、そして島根の隠岐で産出する黒曜石でも一部の石鏃が作られていますが、一方で地元の石はほとんど使っていないことに注目しています。縄文時代ともなると、遠隔の石材でも交換などにより安定して入手できる社会になっていたことが明らかになってきているのです。

 帝釈峡の調査も50年近くになりますが、調査の初期の様子を、松崎寿和先生(考古学研究室初代教授)や潮見浩先生の著述などで見ますと、旧石器人の探究への熱い想いが語られています。毎年帝釈峡に出かけ、骨の遺存に適した遺跡の発掘を続けていると、私の中でもそうした想いが年々強くなっているところです。

 夏に発掘調査に出かけていると地元の皆さんにお世話になることが多くあります。私たちも、発掘調査の成果などを調査速報「いわかげ」や遺跡の現地説明会などを通して地元の皆さんにも還元できるように努めています。また、神石高原町の資料館には帝釈峡遺跡群などの出土品が展示されていますが、昨年、展示のリニューアルを学生さんたちと一緒におこないました。この時、地元の皆さんに心から喜んでいただけことは、大変有り難いかぎりでした。

 それでは今後、委員会の一員として、文学研究科の広報・社会連携の推進のために微力ではありますが努めて参りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学大学院文学研究科長  山内廣隆
編集長:広報・社会連携委員長  井内太郎
発行:広報・社会連携委員会

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下記にお願いいたします。
広島大学大学院文学研究科 情報企画室
電話 (082)424−4395
FAX(082)424−0315
電子メール bunkoho@hiroshima-u.ac.jp

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