メールマガジン No.98(2020年7月号)

メールマガジン No.98(2020年7月号)
リテラ友の会 メールマガジン No.98(2020年7月号) 2020/7/30

□□目次□□
1.文学部的オンライン授業
2.文学部ニュース
3.広報委員会より

1.文学部的オンライン授業

 

  なかなか終息することのない新型コロナウィルス 。学生の姿がない東広島キャンパスにも慣れてしまった感がありますが、大学の授業はかたちを代えて行われています。
  今号では、『文学部的オンライン授業』と題して、教員の悪戦苦闘(?)ぶりや学生の感想などをお伝えいたします。

オンライン授業雑感 【日本・中国文学語学(日本文学分野)准教授 白井 純】

  はじめにお断りしておきたいのだが、この小文はオンライン授業の達人がその極意を伝授するものではない。むしろその逆で、5月以来のオンライン授業への対応で疲労困憊している情けない教員の愚痴の書き付けみたいなものであるから、どうかお許し願いたい。

  さて、オンライン授業といっても講義と演習では大きく違う。どちらが難しいかというと、どちらも難しいのである。

  まず講義だが、100名近い参加者の動向を一々把握できないので、授業内外で課題に取り組ませ、授業の感想を書かせることよって理解度を測ろうということになる。そこで教員が張り切って課題を出し過ぎたという話があったところだが、昨年のノートを参考にはするものの、教材の事前の仕込みから課題の採点まで、オンライン講義一つを新しく開設するためには膨大な時間を割かなければならない。クォーター制のバカヤローと何度口走ったか分からないが、かように愚かな教員にとってオンライン講義は疲労感がとても強く、できれば避けたいものだった。しかし、下手は下手でも慣れるにつれて苦手意識がいくらか解消しつつあり、この頃は「あのー」「えーと」をなるべく減らそうキャンペーンに取り組んでいる。しかし今年度の時間割改変で不本意ながら始めた朝一の授業では、目が覚めていないのか相変わらず言いよどみが多く、録画して聞いて見るとあまりのまずさに情けない気持ちになる。学生たちの感想を聞いてみると、ヨロヨロの情けない教員を気遣ってくれるのか目立った不満は無いようで、そこは少しだけほっとしている。設定項目が多すぎて使う気にならなかったBb9も必要に迫られて使うことになり、「せんせー、課題が見えません」というような失敗を何度か経験して、ようやく最低限は使いこなせるようになった。

  演習は、私の分野では文献を読まないと話にならない。読解対象の資料はもちろん、各種の注釈書や辞書、研究書や論文を縦横に参照しないといけない。教室の演習では毎回、学生たちが当番で資料を運び込んでいたが、オンラインではそういう事は望めない。だいいち図書館や研究室にも入れなかったのだから、調べ物すらろくにできないのである。それで、仕方無くオンライン資料のみを利用することにして、それで出来る範囲で細々と開始した。案の定、レポートの形式的な部分はガタガタになったが、発表者を中心として問題の核心部分を検討していると不思議と不便さは感じず、それなりに充実した話ができている。要は、思い切った絞り込みと参加者全員の予習が大切ということだろう。図書館と研究室が開放された後は参考資料を利用できるようになり、レポートの水準もそれなりに回復してきたと感じている。

  ところで実際に授業をしてみると、通信環境が悪いのかどうにも声が遠い学生がいる。「中東の特派員から中継がつながっています」みたいに時間差があり、ノイズが多くてあまりよく聞こえない。ともすると接続が切れ再接続に時間がかかる。スマホかそのテザリングで接続しているのか、パソコンの性能が悪いのか分からないが、これでは話にならない。オンラインでも、指名すると接続の問題が出やすくお互い消極的になるため、通信環境について経済上の問題が出るのは気の毒だった。そういう苦学生には学内ネットワークが公開されていたが、私の知る学生たちには、図書館も研究室も閉まっているのにわざわざ学校に出てくる様子はなく、それも仕方無いことだったろう。その肝心の学内ネットワークにも遅い日があり、白井研究室では有線LANポートにルーターをつないで無線接続しているが、早朝は数百Mbps出ていたものが日中大幅に落ち込むことがあった。一斉に接続したためかもしれないが、理由はよく分からない。

  さて、このような具合でオンライン授業は慣れによってなんとか形になってきたが、やはり、授業は学生や院生の顔を見ながら対面でやりたいと思っている。今学期は途中でやり方を変えるのも面倒だったのでそのままオンラインで継続しているが、夏休み明けには対面授業に戻っていてもらいたい。研究会も一時はすべて中止されたが、最近はオンライン研究会が復活してきた。発表内容についてそれなりに議論はできるが、発表外での交流ができないのは難点である。それとは別に、オンラインでも全く問題ないと思ったのが会議で、決まった時間に出かける必要がなくなり、移動にかかる前後の時間が有意義に使えるのは参加者としてとてもありがたい。コロナウイルスが終息した後も、学内会議はこのままオンラインで継続してもらいたいものである。

オンライン授業の準備をする白井准教授

日本の入国制限が早く留学生に緩和されるように日々祈っています【総合人間学助教 劉 金鵬】

  2020年度第1ターム中盤から、多くの授業はオンラインへの切り替えを余儀なくされました。大学に出られない学生、さらに、渡日できない留学生にとっては、オンライン授業は広島大学との唯一のつながりで、オンライン授業に期待を寄せています。

  この間、数名の留学生にオンライン授業について感想を聞きました。当然ながら、これもオンラインでの依頼です。冒頭で入国制限の緩和を願っているのは、4月に入学した大学院生のSK.Oさんです。大学で4年間日本語を勉強してきたOさんは、「一度も日本に留学したことがなく、去年から広島での新生活を期待していたのに」と言いました。本来なら広島で留学生活を楽しんでいるはずでしたが、残念ながらその楽しみは少し先になりそうです。留学生の場合は、新学期が始める前に、入学を延期するという選択肢がありました。Oさんの選択は、予定通りの4月入学でした。「中国では、オンライン授業の実施は、幼稚園から大学まで、すでに数か月前から普及しています。しばらく日本に行けなくても、オンラインで授業を受けたい」と、考えたからです。

  実際に授業を受けてみると、「Bb9を使いこなせるように頑張りました。使ってみると、このシステムの便利さをしみじみ感じました。ライブ配信より、オンデマンドの方が好きになりました。自分のスケジュールで受講でき、課題を締め切りまでにBb9で提出すれば問題ないという点はありがたいです」。日本国内でのオンライン参加とほとんど変わらないかもしれませんが、海外の場合は、時差などを考えるとオンデマンド授業はかなり便利なものです。しかし、「新入生としてはやはり指導教員や同級生たちに会いたいので、スクリーン越しで顔と声を多少覚えていますが、『目の前にいてほしい』という気持ちは日々強まっています」とOさんは嘆きました。

  KH.Lさんは昨年10月に大学院へ進学し、いま東広島市に滞在しています。Lさんも最初、オンライン授業の新鮮さを楽しんでいました。また、キャンパスの周辺にアパートを借りていますが、「梅雨の時期に大学へ行かなくても授業が受けられるから、大変便利です」と、なるほどと気づかせてくれました。コロナ対策でなくても、大学に行くには不自由がある学生に便利さを提供することは、本来大学側が考えないといけなかったことでしょうから、現在展開しているオンライン授業は、あらためて授業形式の多様性を考えさせてくれる良い機会になるような気がします。

  しかし、Lさんはオンライン授業の弱点も感じているそうです。「対面授業では勉強に集中できて、先生の言うことにすぐ反応できます。そして、発表の時は、先生の表情や体の動きをこっそり見て、自分の発表に問題があるかどうかがすぐわかります」と教えてくれました。このように、多くの留学生は無意識に非言語的コミュニケーションに頼っていることもあります。

  これについて、3+1プログラムに参加しているXY.Zさんは、「ある先生は話すとき意識的にカメラを自分の方に向けてくれて、先生のしぐさも見られるからとても助かります」と話しました。教員のほうも、カメラ目線に加えて、動きを見せる工夫もしないといけないかもしれません。

  ほかにも、改善できる点がいくつか浮かんできました。マイクミュートの状態で、急に発言したい時は、まずマイクをオンにしなければならないので、タイミングを逃してしまうことが多くあります。また、対面授業であれば、授業の後ですぐ先生を捕まえて話を聞くことができますが、オンラインでは授業終了後に先生と連絡が取れなくなったり、あるいは遠慮して連絡しずらくなったりしました。さらに、オンライン授業の場合はなぜか課題やレポートが増え、負担になると感じることなど、いろいろあります。

  みんなが共通して願っているのは、早く教室に戻ってみんなと面と向って話したいことです。LANケーブルは、人間同士の対面通信より帯域が狭いことはたぶん間違ありません。先がまだまだ不透明な状況の中、私たちができるのは、協力して少しずつオンラインを改善していくしかないように思います。

劉 金鵬助教

研究室での劉金鵬助教

ー言葉の説明ー

クォーター制…広島大学では、留学やボランティア活動といった学生の自主的な学習体験の促進や、授業を短期間で集中的に受講することによる教育効果の向上等を目的として、2015年度から「クォーター制(4学期制)」を導入しています。従来、前期と後期それぞれ90分の授業を15回行う形で授業が行われていましたが、一年間を4つのタームに分けて、180分の授業を8回行う制度が本格的に導入されました。

Bb9…広島大学で運用するオンライン学習支援システム。ネットワーク上でコース(大学においては授業、講義、科目を指す)を管理・運営するための Web アプリケーションです。授業資料を提示したり、小テストを実施することができます。

3+1プログラム…正式名称は「森戸国際高等教育学院3+1プログラム」。このプログラムは、中国をはじめとする海外の大学で3年次または2年次までの課程を修了した学生を特別聴講学生として本学に受け入れ、専門教育や派遣元大学に提出する卒業論文の指導などの教育を行う取組です。プログラム終了後は、外国人研究生を経て本学の大学院へ進学することも想定し、そのための環境も整備しています。プログラムの名称は、「自由で平和な一つの大学」を建学の精神にかかげた森戸辰男 初代学長に由来しています。

3.文学部ニュース

広島大学オンラインオープンキャンパス2020(開催日程8/17〜8/26)を開催します。
開催の詳細は、こちらからご覧いただけます。

4.広報委員会より 【広報委員会委員  中山富廣】

  今号は、新型コロナの影響を受けて、多くの行事が中止となりましたので、白井・劉両先生の原稿のみとなりました。オンラインとオンデマンドによる授業は、自分とは無縁のものだと思っていましたが、まさかこんなことになろうとはという思いは私だけではなく、パソコン操作に比較的弱い先生方に共通する思いではないかと存じます。
  5月の連休前後にはどう対処してよいかわからず、「対面授業じゃないと授業じゃない」と心中ひそかに断言していたのに、いつの間にかBb9によるオンデマンドや、Teamsによるオンライン授業に慣れてしまい、1コマ目や5コマ目の授業なんか、自宅でやると何と楽なことか(通勤時間片道2時間近くかかるので)など、ついつい楽なことを考えてしまいます。
  後期の授業はどうなるのでしょうか。青山学院大などはすでに対面授業中止を打ち出していますね。わが学部やわが大学院の新入生たちも、ヨコの連携もとれずストレスが相当たまっていることでしょう。ともあれ広島も感染者が増えてまいりました。十分に気を付けましょう。

 

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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学文学部長  友澤和夫
編集長:広報委員長  末永高康
発行:広報委員会

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