海域生物圏部門

瀬戸内海は、周辺に約3,500万人の人々が生活する大産業地帯である一方、マダコ、カキ、シラスなどの水産物の宝庫であり、レッドデータブックにも記載されるカブトガニ、ハクセンシオマネキやナメクジウオなどの希少な生物が生息する場でもある。こうした「里海」での水産資源の持続的生産・希少動物の保護を行ないつつ、いかに人間活動を継続していくかは大きな社会問題でもある。
海域生物圏部門は、水産学、海洋生物学関連の教育・研究機関などとともに瀬戸内海周辺地域社会と密接に連携しつつ、生物多様性、生物・生態系の環境に対する応答、生物進化プロセス、生物種間関係などの解明によって上記問題に取り組むことを目的としている。また、海の実験室とも言うべき生物生産学部附属練習船豊潮丸との連携によって、瀬戸内海のみならず黒潮流域、日本海をも視野に入れた広範かつダイナミックな海洋の教育研究の展開が可能である。
さらに、農場と一体となり、陸域と海域の特性、両者の生態的、経済的関連性なども追求することを目指す。

賀茂川河口の広大な干潟

干潟は生き物たちだけの重要な場所というわけではありません。われわれ人間達にとってもかけがえのない場所です。人間たちの活動によって、排出された有機物質(栄養塩)が海を汚染(富栄養化)し、赤潮が発生することを抑制する効果が干潟にはあることが分かってきました。つまり、干潟の生物たちが海を浄化してくれているのです。これからの海洋の汚染(富栄養化)を解決していくには、干潟の存在が不可欠であるともいえます。

干潟を代表する貝類イボキサゴ

浅い内湾に棲息しています。本種とキサゴは大変似ており、未だに明瞭な説明がなされていません。外敵から襲われた際には、飛び跳ねて逃げます。東北~九州に生息します。

干潮時のアマモ場
竹原のアマモ場に棲むタツノオトシゴ


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