広島大学大学院医歯薬保健学研究院脳神経内科学の松本昌泰教授らの研究グループは、高脂血症治療薬スタチンの脳卒中再発予防効果を検証する日本初の医師主導の多施設共同ランダム化比較試験(J-STARS)を2002年から実施した結果、スタチンがアテローム血栓性脳梗塞の発症を67%抑制することを明らかにし、平成27年8月25日に広島大学東京オフィスで記者説明会を開催しました。
説明を行う松本教授
【本研究成果のポイント】
1.虚血性脳卒中を有する日本人脂質異常症患者へのスタチン投与は、アテローム血栓性脳梗塞の発症を67%抑制する一方、頭蓋内出血を増やさない。
2.脳梗塞の再発予防に対するスタチンの有効性がアジア人で初めて確認されたことで、再発抑制療法の向上に寄与する。
3.長期にわたる医師主導の多施設共同大規模臨床試験のモデルとして、今後の臨床試験のあり方に大きな意義をもたらす。
【研究成果の概要】
全国123施設の協力を得て虚血性脳卒中(心原性脳塞栓症を除く)を有する脂質異常症患者1578人を症例登録し、スタチン投与群とスタチン非投与群(コントロール群)の2群に分けて、その後5年間追跡調査を行いました。その結果、本試験における参加者全体の脳卒中再発率は、約2.6%/年と非常に低値でした。
スタチンはアテローム血栓性脳梗塞の発症を67%抑制することが明らかになるとともに、安全性においてスタチン投与では頭蓋内出血を増やすことはありませんでした。
記者説明会資料(6.16MB)
【研究内容に関するお問い合わせ先】
広島大学大学院医歯薬保健学研究院
脳神経内科学 教授 松本 昌泰(まつもと まさやす)
TEL:082-257-5201
FAX:082-505-0490
E-mail:jstars-office*umin.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)