【研究成果】西日本豪雨災害後に認知症患者が増加:ビッグデータを用いた縦断分析

本研究成果のポイント

  • 2018年7月に広島県を中心に発生した西日本豪雨災害の被災者において、認知症治療薬の処方を受けた人の割合が増加していたことが明らかになった。
  • 地球レベルの気候変動により自然災害が増加する中、被災高齢者の認知機能の急激な悪化を防ぐため、科学的根拠に基づく災害時を含めた認知症対策が求められる。

概要

 広島大学大学院先進理工系科学研究科 鹿嶋小緒里准教授、大学院医系科学研究科 松本正俊教授、石井伸弥教授、吉田秀平助教、自治医科大学地域医療学センター 小池創一教授、北広島町八幡診療所 岡崎悠治医師による医療レセプトデータを用いた研究により、2018年西日本豪雨災害の被災者において、被災を契機に認知症治療薬処方を受けた人の割合が増加していることが明らかになりました。この研究成果が米国学術誌「Journal of the American Medical Directors Association(JAMDA)」にオンライン掲載されました。これまで、東日本大震災等のデータから自然災害によって高齢者の認知機能が低下する可能性が示唆されていましたが、本研究は医師の処方行動の変化からこの仮説を裏付けました。
本研究成果は2月1日に、アメリカの医学雑誌 「Journal of the American Medical Directors Association (JAMDA)」に掲載(オンライン)されました。

 非被災者群と比較した被災者群の認知症薬新規処方の姓・年齢調整オッズ比の災害前後のトレンド(n=1,635,680)PI: 交互作用項のP値(0.05以下である場合、統計学的有意に災害前後のオッズ比が異なることを意味しています)

論文情報

  • 掲載誌: Journal of the American Medical Directors Association. 2022; (Article in press)
  • 論文タイトル: The 2018 Japan Floods increased prescriptions of anti-dementia drugs among disaster victims
  • 著者名: Saori Kashima, Shuhei Yoshida, Yuji Okazaki, Shinya Ishii, Soichi Koike, Masatoshi Matsumoto
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.jamda.2021.12.037
【お問い合わせ先】

<研究に関すること>
広島大学大学院先進理工系科学研究科
鹿嶋 小緒里
Tel:082-424-6931
FAX:082-424-6931
E-mail:kashima*hiroshima-u.ac.jp

<報道に関すること>
広島大学財務・総務室広報部広報グループ
Tel:082-424-3749
E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp

(注: *は半角@に置き換えてください)

 


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