広島大学の教員が令和5年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞しました

 令和5年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰において、広島大学大学院医系科学研究科 教授 久保達彦が「科学技術賞 開発部門」を、同研究科 教授 内田康雄が「若手科学者賞」を受賞することが決定しました。

 表彰式は、4月19日(水)に各賞各部門の受賞代表者の出席及びオンラインによるライブ配信(ハイブリッド方式)にて実施されます(本学の受賞者は出席しません)。

【受賞者】
 久保達彦(広島大学大学院医系科学研究科 教授)

【業績名】
 J-SPEED/MDS 日本発WHO国際標準の開発育成

【業績概要】
 自然災害の増加に伴い被災傷病者への医療提供体制確保が地球規模での課題となっている。各国では災害医療チームの創設が急増し、調整本部体制の強化が喫緊の課題となっている。
 本開発では、災害医療チームの標準診療日報として、フィリピンの災害時サーベイランス様式 SPEED Surveillance in Post Extreme Emergencies and Disasters )をもとに日本版SPEED(J-SPEED)を開発し、更にJ-SPEED をベースに WHO Emergency Medical Team Minimum Data Set MDS )を開発し、WHO国際標準として樹立した。
 本開発により、被災国及び被災自治体が設置する災害医療調整本部は、災害医療チームによって「どこで、どのような患者が、何人診療されたのか」を即日把握できるようになった。
 本成果は、熊本地震(2016年)以降の国内災害、モザンビークサイクロン災害(2019年)、トルコ大地震(2023年)、広島県COVID-19対応( 2020年~)、ウクライナ軍事紛争(2022年~)等で実用され、データに基づく災害医療調整及び災害医療学術研究に寄与している。
 

【受賞者】
 内田 康雄(広島大学大学院医系科学研究科 教授)

【業績名】
 ヒト組織定量プロテオミクスの開発に基づくヒト中枢関門研究

【業績概要】
 実験動物と違って、ヒトの中枢関門(血液脳関門、血液脳脊髄液関門、血液クモ膜関門、血液脊髄関門)の分子機構研究は、既存の手法では解析が難しかった。
 内田氏は、ヒトの組織(ホルマリン固定パラフィン包埋切片や凍結組織)を対象とした高精度な定量プロテオミクス技術を開発し、ヒトのin vivoの中枢関門の輸送分子機構及び病態分子機構を解明し、従来の脳関門研究の概念を塗り替えた。ヒト血液脳関門だけでなく、ヒトの他3種の中枢関門の物質輸送機構の違いを定量的に解明した。さらに、中枢関門を治療標的とする「中枢関門創薬」という中枢疾患創薬の新たな領域を創出した。
 本研究成果は、薬剤学の新領域を切り拓くものであり、ヒト中枢組織における薬物動態の合理的な理解・予測および中枢疾患の新たな創薬フィールドの創出につながるものと期待される。

【この記事に関するお問い合わせ先】

広島大学大学院医系科学研究科 教授 久保 達彦
TEL:082-257-5165
MAIL:tkubo*hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)

広島大学大学院医系科学研究科 教授 内田 康雄
TEL:082-257-5315
MAIL:yuchidahiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)


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