現代の日本社会では、「個々人の属性だけでなく、価値観や知識など深層の多様性にも着目し、その多様性を積極的に受け入れ、活かすことによって、組織の生 産性や革新に結びつけること」が求められている。このような理念・戦略はダイバーシティ・インクルージョン(Diversity & Inclusion)と言われるが、その実現のためには、世界的に見ても、学術的に探究されるべき課題は数多く残されている。本センターはダイバーシ ティ・インクルージョンの理念を持ち、組織・チームを管理運営するためのスキルやリーダーシップに関する研究を行うとともに、そうしたスキルやリーダー シップを持った人材を育成する。
日本社会は、性別、国籍、民族、年齢などの属性や背景にかかわらず、誰もがその能力を最大限に発揮し、活躍できる社会を目指している。同時に、国際的な競争力を高めるため、新たな着想や変革も求められている。多様な価値観や知識、文化背景を持つ人々がその個性と能力を活かし、革新的発想を生み出せるような仕組みづくりが必要となる。しかし属性の多様性は、組織内での感情的な葛藤や対立を促進し、メンバーのモチベーションを低下させる可能性も大きいため、そうした非生産的な関係に陥ることなく、多様性を創造や革新に結びつける方法を見出すためには、学術的に解決すべき点も多い。しかし日本では、この分野の研究者は相対的に少ないのが現状である。また、「企業従業員のダイバーシティー」に関する研究は行われているが、大学や学術界におけるダイバーシティ・インクルージョンに注目した研究は少ないのが現状である。