[2019/12/27開催]第15回HiPSIセミナー開催のお知らせ

この度、理学部において、下記のとおり第15回HiPSIセミナーを開催します

講演者:小保方潤一 先生
所 属:京都府立大学・生命環境科学研究科 教授
講演日時:2019年12月27日 (金) 14:30~15:40
講演場所:理学部B棟3階 B305講義室

講演タイトル:「遺伝子の発現機能を伴う水平転移はどのように生じるのか
         〜分子の時間から進化の時間まで〜」

要旨:ゲノムや生物種を越えた遺伝子の転移は、地球上の生物の多様化に大きく寄与してきた。しかし、そもそもプロモーターや転写の仕組みの異なるゲノムに飛び込んだ外来遺伝子たちは、転移先でどのようにして発現能を獲得したのだろうか? 私たちの研究グループでは、植物の葉緑体から核への遺伝子移動をモデルにして、この疑問に取り組んできた。今回の講演では、植物細胞を使った一種の人工進化実験の結果と、光合成をする有殻アメーバのゲノム解析の結果を中心に、(1)構造遺伝子の転移直後に真核ゲノム上で生じる外来遺伝子の転写活性化メカニズムと、(2)細胞内共生進化の過程で、遺伝子の水平転移(HGT)や細胞内共生転移(EGT)が活性化されて共生者と宿主ゲノムの再編成が引き起こされるメカニズムについて、それぞれ現時点でのオーバービューをご紹介したい。 
 植物ゲノムにプロモーターを持たない外来遺伝子配列を大量に導入し、それらの発現挙動を包括的に解析したところ、それらの配列は、ゲノム上の挿入部位の性質とは全く無関係に、一定の頻度で転写が活性化されていた。詳しい検討を進めた結果、この転写活性化には、外来配列の挿入に伴って局所的に生じるクロマチンのリモデリングが関与している可能性が強く示唆された。一方、葉緑体とは異なる独自の光合成オルガネラをもつ有殻アメーバのゲノム解析から、細胞内共生者と宿主のゲノムの再編成には、従来の予想よりも遙かに短い時間しかかからないこと、また、この急速なゲノムの再編成には、これまで予想されていなかった巨大ウイルスが関与した可能性の高いこと、などが示唆された。 
 これらの新しい知見を基にして、遺伝子の水平転移のメカニズムについて現在考えられるモデルを、分子生物学の時間スケールから進化の時間スケールまでを含めて、統一的に議論したい。

集中講義で御来学の機会に 細胞内オルガネラから核への遺伝子伝達と遺伝子成立についての最近の知見をお話し頂きます。
多数の皆様の御参加を期待しています。

 

【問い合わせ先】

統合生命科学研究科 基礎生物学P
鈴木克周/内線7455・守口和基/内線7391


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