大学院人間社会科学研究科 下岡 友加准教授が「2021年ICAS Book Prize(IBP)」の日本語版書籍賞を受賞しました

 下岡准教授が執筆された『ポストコロニアル台湾の日本語作家 黄霊芝の方法』(2019.2 溪水社)が,ICAS Book Prize(IBP)の「日本語版書籍賞」(the winner of the IBP 2021 Japanese Language Edition)を受賞されました(受賞日:2021年8月24日)。

 IBP 2021 Award Ceremony(オンライン)の様子はこちらからご覧いただけます。

 ICAS Book Prize(IBP)とは,アジア研究へのさらなる関心を世界に促すためにアジアに関する学術出版物を対象として2003年に設立された学際的な賞です。ICAS(International Convention of Asia Scholars:国際アジア学者会議)は2年に1回,芸術・科学・政策・実践活動を含めた人道的な社会科学の見地から、使用言語別に優れた出版物を選び、表彰しています。

 

下岡准教授の受賞コメント
 このたびの受賞を大変光栄に存じます。
 戦後台湾には「日本語世代」と呼ばれる人々が存在します。彼らは青年期に日本の植民地支配下で日本語教育を強制されました。しかし、宗主国・日本が戦争に敗れたため、台湾では公用語は中国語へと転換し、日本語使用は禁止されました。日本語世代は、その言語能力によって保障されるはずだった職や地位、知的財産を失いました。

 受賞著書において論じた作家・俳人の黄霊芝も、日本語世代の一人です。黄は戦後まもなく肺病にかかり、考えました。「明日死ぬかもしれないと思うと、言葉の作品を作って生きた証を残したい。だとすれば、日本語を使うしかない」と。彼は自らを「親日」ではなく「親日本語」人であると公言しています。今回の受賞を通じて、黄霊芝の遺したメッセージと豊穣な文学が世界中のより多くの人々のもとに届くことを願っています。

『ポストコロニアル台湾の日本語作家 黄霊芝の方法』(2019.2 溪水社)の表紙

『ポストコロニアル台湾の日本語作家 黄霊芝の方法』(2019.2 溪水社)

【お問い合わせ先】

人間社会科学研究科
人文社会科学専攻 人文学プログラム
下岡 友加研究室

TEL:082-424-6667
E-mail:shimooka@hiroshima-u.ac.jp
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