HUSAプログラムでドイツへ

 

宮本 彩芽さん(西洋史学分野)の留学体験談をお届けいたします。

  • 留学先:チュービンゲン大学(ドイツ)
  • 留学プログラム:HUSAプログラム
  • 留学期間:2023年10月1日~2024年7月31日
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ドイツはどんなところでしたか。

 ドイツは環境保護にかなり力を入れている国で、特にゴミ捨てのルールに困惑しました。しかし、自然を愛するドイツ人の努力のおかげか、町の至る所に自然と触れ合うことのできる場所があり、私自身は日本ではあまり自然と接することがありませんでしたが、ドイツに来て初めて「自然の中で生きるってとても気持ちがいいんだな」と感じました。町中の公園で初めて野生のリスを見たときは驚きました。

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HUSAプログラムに参加しようと思ったきっかけは何ですか。

 留学に行くこと自体は、5年前の大学院進学前に指導教員から勧められたことがきっかけで決めていました。私費留学を経験された研究室の先輩方からお話を聞いて「自分一人で手続き等をするのは私には難しいな」と感じたので、広島大学が手厚くサポートしてくださるHUSAプログラムに参加しようと思いました。実際、相手先への申請段階でいくつかトラブルがあったのですが、HUSAの担当者の方々が親身になって相談に乗ってくださり無事に留学することができました。

チュービンゲン大学での学生生活について教えてください。

 

 授業はかなりハイレベルで毎回の課題も多く、最初はついていくのがやっと、という感じでした。しかし、先生方が私のことを気にかけてくださったり、クラスメートたちと助け合いながら課題をしたりと、とても有意義な時間を過ごすことができました。授業以外ではとにかく課題をやっていましたが、タンデムパートナーや友人とカフェに行ってコーヒーブレイクをすることもありました。休日はお買い物をしたり、パン屋さんでゆっくりパンとホットココアを楽しんだりしてリフレッシュしていました。長期休暇には近隣の国に旅行し、日本とはまったく違う様々な国や地方の文化を味わうことができました。

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留学してよかったこと、印象的だったこと、一番の思い出などについて教えてください。

 まずは交友関係が広がったことです。昔から人見知りがちで人と仲良くなるまで時間がかかるタイプなのですが、留学中は思い切ってクラスメートに話しかけることで、今でも連絡を取り合う仲の友人ができました。次に、多様な価値観を知ることができました。ドイツは移民大国でもあり、様々な国籍の人が暮らしています。また、LGBTQ+の人や宗教の異なる人とも接する機会が多く、他者の考えを尊重し、自分の考えも受け入れてもらうことの重要性を認識しました。このことは日本で生活しているだけでは得られなかった経験であり、柔軟な考え方ができるようになったと思います。思い出は数えきれないほどありますが、ある授業の最終日に「あなたは全体を通してよくできていましたよ。これからも自分の研究に励んでくださいね。」と先生に言っていただけたことは本当に嬉しかったし、一生懸命勉強してきてよかったとホッとしました。

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現在どんなことを研究されていますか。

 古代エジプトで邪悪な神と認識されていたセト神を退治する儀式について研究しています。なぜこの神が邪悪なものだとされたのか、この儀式が始まった当時の社会状況はどうだったのか、この儀式を神官たちは何の目的で行っていたのか……といったことを史料に基づき、外国語文献を参照しながら研究を進めています。原文を読むのはとても難しいことですが、当時の神官たちと対話をしているようでとてもワクワクする作業です。

将来の夢は何ですか。

 留学してみて、母国語で勉強・研究ができる環境はとても恵まれていることだと感じました。日本では古代エジプトをモチーフとした漫画・アニメ作品や数年に一度開催される古代エジプト展などの影響で、古代エジプト人気は一定程度あるとは思いますが、神話やピラミッド、ツタンカーメンなどインパクトの大きいもののイメージが強く、実像があまり伝わっていないように感じます。2000年以上はるか昔の人々が残した文字史料を読み解き、彼らが何を考え、どのように生きたのかを伝えることのできる研究者となりたいです。

「留学したい」と考えている学生へメッセージをお願いします。

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