解題:久保亘関係文書目録

執筆者

齋藤拓海

1.久保亘氏の略歴

 久保亘氏は日本社会党、社会民主党、民主党に所属して活動した政治家であり、自社さ連立政権で副総理兼大蔵大臣を勤めた。
 久保亘氏は昭和4(1929)年1月15日に鹿児島県姶良町(現姶良市)の農家に生まれた。佐世保中学校1年時に熊本陸軍幼年学校を受験して進学し、陸軍予科士官学校在学中に終戦を迎えた。鹿児島県師範学校に編入学し、卒業後、広島文理科大学史学科に進学した。昭和27年3月に文理大を卒業して鹿児島県立吹上高校、志布志高校で教鞭をとった。この間、鹿児島県高等学校教職員組合書記長、同委員長を歴任した。
 昭和38年4月、鹿児島市で日本社会党から県会議員選挙に当選して県会議員を3期務め、その間、県議団幹事長、会長、県本部執行委員長を歴任した。昭和49年7月には参議院議員に初当選し、以後は社会党中央執行副書記長、副委員長、シャドーキャビネット委員会・財政委員長(影の大蔵大臣)、参議院国会対策委員長などを歴任した。
 平成元(1989)年11月、参議院に消費税廃止法案を当時の野党四党を代表して提案した。平成2年9月には自民党の金丸信元副総理、社会党の田辺誠委員長を団長とする日朝正常化交渉団の副団長として訪朝し、北朝鮮との交渉にあたった。三党共同宣言が署名され、北朝鮮に抑留されていた第十八富士山丸船長、機関長の解放が実現した。
 平成5年8月、社会党も参加した非自民連立政権である細川護熙内閣が成立すると、9月に村山富市委員長のもとで中央本部書記長となった。また、細川内閣与党代表者会議座長となり、連立与党間の調整に奔走した。平成6年6月に自社さ連立政権である村山富市内閣が成立すると、書記長として村山政権を支えた。10月には「民主リベラル」新党構想を表明し、社会党を新党へ移行させるべく活動したが、翌年1月の阪神大震災の発生などもあって結実せず、平成8年の社会党の社会民主党への改名にとどまった。「民主リベラル」新党構想の賛同者の多くは民主党の結成に参加した。1月、第一次橋本龍太郎内閣において副総理兼大蔵大臣として入閣し、11月の内閣改造までつとめた。その間、蔵相・中央銀行総裁会議(G7)、APEC蔵相会議、リヨンサミットに蔵相として出席した。また、住宅金融専門会社の不良債権処理問題を処理するための住専法を成立させた。
 平成9年に社会民主党を離党して民主改革連合(民改連)に参加し、翌年に民改連が民主党結成に参加すると民主党に所属した。民主党では参院議員会長をつとめた。平成13年の参議院選挙に出馬せず、政界を引退した。平成15年6月に74歳で死去した。
 著書として『西方見聞記』、『くぼタンの消費税廃止奮戦記』、『社会党の選択』、『連立政権の真実』、講演集として『いま日本の政治を考える。』がある。正三位勲一等。

 

久保亘氏略年譜
年    月 できごと
昭和4年1月 鹿児島県姶良町で誕生
昭和10年4月 佐世保尋常高等小学校入学
昭和16年 佐世保中学校入学
昭和17年 熊本陸軍幼年学校入校
昭和20年3月 熊本陸軍幼年学校卒業(46期)
昭和20年4月 陸軍士官学校予科入校
昭和20年8月 陸軍士官学校予科中退(61期)
昭和24年3月 鹿児島師範学校卒業
昭和27年3月 広島文理科大学史学科卒業
昭和27年4月 鹿児島県立高等学校教諭

 昭和27年4月~

昭和31年3月

県立伊作高校(吹上高校)勤務

 昭和31年4月~

昭和38年3月

県立志布志高校勤務
昭和32年 鹿児島県高等学校教職員組合専従役員(書記長)
昭和34年 同委員長

昭和38年4月~

昭和49年6月

鹿児島県議会議員当選(3期連続)
昭和49年7月 参議院議員当選(鹿児島地方区)
昭和61年9月 日本社会党中央執行副書記長
昭和63年2月 同政策審議会副会長
平成2年4月 同中央執行副委員長
平成3年8月 同総務会座長
平成3年9月 同「影の内閣」財政委員長(影の大蔵大臣)
平成4年8月 同参議院国会対策委員長
平成5年1月 同中央執行副委員長
平成5年8月 同中央執行委員長代行
平成5年9月 同中央本部書記長
平成8年1月 第1次橋本龍太郎内閣副総理兼大蔵大臣
平成8年1月 社会民主党副党首
平成8年11月 内閣改造により副総理兼大蔵大臣を退任
平成9年1月 社会民主党を離党、民主改革連合に参加し最高顧問
平成10年1月 参議院民主友愛太陽国民連合常任顧問
平成10年4月 民改連が民主党に合流、民主党倫理委員長
平成10年8月 同規約検討委員長
 平成11年10月 同税制調査会長
平成12年8月 同参議院議員会長
平成13年7月 参議院議員任期満了により引退
平成15年6月 74歳で死去

参考
民主党アーカイブ http://archive.dpj.or.jp/    2022年11月21日閲覧
久保亘さんとの「お別れの会」冊子(KW01010102700)
経歴書(KW01010103700)
久保亘『いま日本の政治を考える』(2001年、私家版)の年表(KW03010300100)

2.収集の経緯および資料の原秩序

 平成18(2006)年から19年にかけて広島大学文書館は日本社会党の参議院議員で労働大臣を勤めた浜本万三氏のオーラルヒストリーを実施し、平成21年に『花は想う人の側に咲く―浜本万三回顧録』を出版した。浜本氏は、同じ日本社会党の参議院議員として久保亘氏と親交があったため、久保亘氏の弟で大蔵大臣時代の私設秘書を勤めた久保忠氏を文書館にご紹介いただいた。久保亘氏が広島大学の前身校のひとつである広島文理科大学の卒業生であったことから、久保忠氏を通して蔵書や関係資料を文書館に寄贈していただけることとなった。
 まず、平成19年2月に久保忠氏より送られた資料を受贈した。これを第1次受け入れ分としている。同年9月に同じく久保忠氏より送られた資料を第2次受け入れ分とした。平成23年10月、久保忠氏から追加の資料が送られ、これを第3次受け入れ分とした。そして平成24年4月には、当時の小池聖一文書館長と石田雅春助教が久保亘氏の自宅であった鹿児島市天保山町のマンションに赴いて資料調査・収集をおこなった。この時に収集した資料が第4次受け入れ分である。
 第1次受け入れ分は書籍類が中心で元々は鹿児島市城山の久保亘氏の自宅書斎にあったものである。城山の自宅は久保氏の県会議員時代に建築されたもので、鹿児島での活動にともなって生成された資料およびそれまでに所有していた資料である。久保氏が帰郷する際に東京から持ち帰った資料も混入していると思われる。資料は三州倶楽部に寄贈されていたものが文書館に移された。
 第2次・第3次受け入れ分は久保忠氏が保管していた資料で忠氏の友人の会社倉庫に置かれていた。忠氏によって整理がなされ、文書館に送られたものである。久保亘氏の議員会館にあった資料のうち、久保氏が鹿児島への帰郷時に持って帰らなかった資料が主と思われる。
 第4次受け入れ分は、久保氏の東京での活動に伴って生成された文書・資料類で議員宿舎にあったものが、国会議員引退後の久保氏が生活した佃の分譲マンションを経て久保氏が鹿児島に帰郷した際に城山の自宅に移されたものである。その後、自宅の売却に伴って天保山の分譲マンションに移されていた。この第4次受け入れ分が全体の中で最も分量が多い。久保氏が帰郷した際に今後も必要となるであろうと考えていた資料であり、重要度は高いと思われる。
 これらの第1~4次の資料受け入れ時にそれぞれの目録を作成し、その後に各目録を統合して後述する項目に分類した。受け入れ時期の情報は備考欄に記載することで残し、上述の原秩序を復元できるようにしている。ただし、整理の過程で受け入れ時の情報が失われたものもある。
 また、受け入れ資料の中から亘氏の妻である久保宏子氏に関係するものを分離して久保宏子関係文書として収録した。主なものとしては、宏子氏の歌集、コンサートなどの音楽活動に関するものである。亘氏の政治活動に宏子氏が関係したと思われる資料は久保亘関係文書に分類した。

3.資料の概要

 本目録には久保亘関係文書と久保宏子関係文書を収録した。両文書は次表のように分類・整理されており、以下、大分類の項目にそって説明する。

 

久保亘関係文書分類表
大分類 中分類 小分類
1.書類 1.履歴 (1)ポスター・パンフレット
(2)原稿・草稿
(3)ノート
(4)手帳
(5)その他
2.国会 (1)国会
(2)参議院
(3)会議録
(4)予算委員会
3.政党 (1)社会党
(2)民主党
(3)さきがけ
4.政策 (1)教育
(2)農業
(3)経済
(4)消費税
(5)疑惑解明
(6)政治資金規正法関係
(7)政治改革協議会
(8)朝鮮関係
(9)中国関係
(10)朝鮮・中国関係
(11)行政改革・規制改革
(12)組合関係
(13)沖縄
(14)外交・安全保障
(15)憲法
(16)国旗・国歌
(17)少子化対策
(18)地方
(19)NPO法
5.連立政権 (1)宮沢内閣問責
(2)細川内閣
(3)羽田内閣
(4)村山内閣
(5)橋本内閣
(6)その他(全般)
6.大蔵大臣 (1)就任関係
(2)金融
(3)財政
(4)国会答弁資料
(5)報道関係資料
(6)挨拶原稿
(7)住専処理
(8)日米保険協議
(9)リヨンサミット
(10)IMF関係
(11)APEC関係
(12)G7関係
(13)介護保険
(14)その他
7.大蔵省・財務省 (1)金融財政
(2)年金改革
(3)税制改正
(4)印刷局
8.同窓会 (1)熊本陸軍幼年学校
(2)六合会・六幼会
(3)佐世保中学校
(4)その他
9.鹿児島県 (1)県行政
(2)姶良町商工会
(3)組合関係
(4)その他
10.その他  
11.名簿 (1)履歴
(2)国会
(3)政党
(4)労使関係
(5)同窓会
(6)鹿児島関係
(7)後援会
(8)その他
2.書翰 1.書翰 差出人ア行~アルファベット
2.机の中 差出人ア行~アルファベット
3.財務省封筒 差出人ア行~アルファベット
4.年賀状・喪中葉書 差出人ア行~アルファベット
5.暑中見舞い 差出人ア行~アルファベット
6.文部科学省封筒 差出人ア行~アルファベット
3.書籍 1.履歴 (1)関係記事掲載誌
(2)学校・教科書
(3)自著
(4)自伝・伝記
(5)答弁集
(6)同窓会
2.鹿児島関係 (1)一般
(2)医療・福祉
(3)環境
(4)教育・文化/記録・沿革史・伝記
(5)教育・文化/美術
(6)教育・文化/その他
(7)行政/記録・沿革史
(8)行政/統計
(9)行政/政策提言
(10)経済/記録・沿革史
(11)経済/人名録
(12)国際/記録・沿革史
(13)災害
(14)自伝・伝記
(15)政治/記録・沿革史
(16)政治/人名録
(17)政治/予算
(18)農林水産
(19)メディア/記録・沿革史
(20)歴史/記録・沿革史
(21)歴史/一般
(22)労働/記録・沿革史
(23)その他
3.政治 (1)一般
(2)外交
(3)憲法
(4)国会/会議録
(5)国会/記録・沿革史
(6)国会/政策提言
(7)国会/衆議院
(8)国会/参議院
(9)国会/一般
(10)自民党/関係者著作
(11)自民党/自伝・伝記
(12)社会党/関係者著作
(13)社会党/機関誌等
(14)社会党/記録・沿革史
(15)社会党/自伝・伝記
(16)社会党/政策提言
(17)社会党/理論研究
(18)社会党/その他
(19)政局
(20)政治関係雑誌
(21)税制
(22)選挙
(23)地方自治
(24)農林水産
(25)評伝
(26)法令集
(27)民社党/関係者著作
(28)民社党/自伝・伝記
(29)民社党/その他
(30)民主党/関係者著作
(31)民主党/自伝・伝記
(32)民主党/機関誌等
(33)メディア/一般
(34)メディア/記録・沿革史
(35)その他
4.教育・文化 (1)一般/記録・沿革史
(2)学校教育
(3)家庭教育
(4)教育史/記録・沿革史
(5)教育史/一般
(6)教育制度
(7)芸術/記録・沿革史
(8)スポーツ/記録・沿革史
(9)スポーツ/一般
(10)著作権・古書
(11)万国博覧会/記録・沿革史
(12)美術
(13)文化
5.行政 (1)金融/日本銀行
(2)金融/その他
(3)警察
(4)財政/記録・沿革史、調査・報告
(5)財政/その他
(6)政策提言
(7)その他/調査・報告
(8)その他/一般
6.経済 (1)一般
(2)企業/記録・沿革史
(3)企業/一般
(4)金融/記録・沿革史
(5)金融/一般
(6)交通・運輸/記録・沿革史
(7)日本経済
(8)農林水産/団体沿革史
(9)農林水産/一般
(10)その他
7.国際 (1)一般
(2)外務省/記録・沿革史
(3)国際政治・国際協力/記録・沿革史
(4)国際政治・国際協力/一般
(5)台湾
(6)中国/自伝・伝記
(7)中国/一般
(8)朝鮮半島/金日成
(9)朝鮮半島/金正日
(10)朝鮮半島/一般
(11)その他
8.労働 (1)一般
(2)教職員組合/記録・沿革史
(3)教職員組合/一般
(4)労働組合/記録・沿革史
(5)労働組合/その他
(6)その他/記録・沿革史・調査・報告
(7)その他/一般
9.医療・福祉 (1)記録・沿革史
(2)その他
10.沖縄関係  
11.科学・技術  
12.軍事 (1)一般
(2)自伝・伝記
(3)部隊/記録・沿革史
(4)記録・沿革史
(5)陸軍幼年学校・士官学校等
13.災害  
14.宗教 (1)仏教
(2)その他
15.歴史 (1)一般
16.外国語書籍  
17.環境 (1)環境
(2)原子力
(3)温暖化・エネルギー
(4)水俣病
18.その他 (1)自伝・伝記
(2)一般
4.新聞記事 1.新聞      
2.新聞切り抜き  
5.カセットテープ・ビデオテープ 1.カセットテープ  
2.ビデオテープ  
3.レコード  
4.CD  
6.写真・写真パネル 1.写真 (1)履歴
(2)国会
(3)参議院
(4)選挙
(5)教育
(6)政治活動
(7)大蔵大臣
(8)同窓会
(9)鹿児島県
(10)欧米
(11)中国
(12)台湾
(13)朝鮮
(14)ロシア
(15)ネパール
(16)インド
(17)スリランカ
(18)国際
(19)その他
2.写真パネル  
7.物品    

 

久保宏子関係文書分類表
大分類 中分類 小分類
1.書類    
2.写真

 

久保亘関係文書

(1)書類

 書類は中分類として11項目に分け、その中の内訳として小分類71項目を設けて採録し、年月日順に整理した。ポスター、原稿、ノート、手帳などの履歴関係、会議録など国会関係、社会党・民主党などの所属政党関係、消費税・政治資金規正法などの政策関係、連立政権や大蔵大臣在任中の関係資料、熊本陸軍幼年学校、佐世保中学校などの同窓会関係、選挙区の鹿児島県関係資料などがある。このほかに名簿類が多くあるが、個人情報が含まれているため、公開を制限している。
 久保氏は社会党の要職に在ったため、細川内閣から村山内閣までの連立政権の貴重な関連資料が多く含まれている。橋本内閣においては久保氏が副総理兼大蔵大臣をつとめたため、大蔵省に関する資料も多い。また、久保氏の民主リベラル新党結成運動に関する資料は後に民主党結成につながる野党再編の貴重な資料となっている。

(2)書翰

 書翰は差出人毎に分類し、差出人の五十音・アルファベット順に整理した。採録したのは、主に久保氏宛の書翰・葉書類である。久保氏が差出人となっている書翰も含まれている。久保氏の机の中にあったもの、財務省封筒に封入されていたもの、文部科学省封筒に封入されていたものを久保氏の整理意図を尊重してそのまま原秩序を保って分類した。また、年賀状・喪中葉書、暑中見舞いは別にまとめて分類した。差出人は政界・財界・外国要人・選挙区の支援者など多岐にわたり、内容的には陳情やその礼状、意見交換、私信など多様である。久保氏の政治家としての幅広い活動と交友関係がうかがわれる。

(3)書籍

 書籍として採録したのは久保氏所蔵の書籍・雑誌類である。内容別に分類し、件名の五十音順に並べた。また、号数のついているものやシリーズものと思われる資料は件名の五十音順に関わらずまとめて配置し、その中で発行順に並べた。内容は久保氏の著書、関係記事の掲載誌のほか、選挙区とした鹿児島県、政治から教育、環境に関わるものまで幅広く、政治活動に用いるために購入したもの以外に関係者・関係団体から寄贈されたものも多いと思われる。陸軍幼年学校など学生時代の教科書類や同窓会の記念誌なども含まれている。

(4)新聞記事

 新聞記事は、1日分が残っているものを新聞とし、特定の記事を何らかの意図で抜粋したものを新聞切り抜きとして分類し、発行順に整理した。朝日新聞などの全国紙のほかに西日本新聞、姶良新報などの地方紙、社会新報などの機関誌もあった。人民日報などの国外の新聞も含まれている。新聞切り抜きは、久保氏や社会党の関連記事のほか、連立政権、住専問題などを扱ったものが抜粋されていた。

(5)カセットテープ・ビデオテープ

 カセットテープ、ビデオテープ、レコード、CDに分けて年月日順に整理して採録した。カセットテープとビデオテープが資料の大部分を占めている。テープに表記がある場合はそれを件名とし、表記が無い場合は内容を確認してそれに則した件名を付与した。主なカセットテープは国政報告会などの集会で用いたもので久保氏本人の声で録音されたものが多く含まれている。ビデオテープの多くは久保氏の出演した番組を録画したものである。

(6)写真・写真パネル

 全体を写真と写真パネルに分類し、年月日順に整理した。件名は裏書きなどがある場合はそれを件名とし、無い場合は写真の被写体から推定した。写真は19項目を設けて分類した。選挙用の写真、国会や選挙の様子、国内外の訪問先での関係者との写真などがある。写真パネルは肖像写真、何らかの催し・記念事業などの際に作成されたものなどがある。

(7)物品

 物品は年月日順に整理した。関係者の色紙、選挙・集会用ポスター、賞状、事務所の看板などが含まれる。同窓会の記念品や出入国カードなどもこちらに含めた。

 

久保宏子関係文書

(1)書類

 書類として採録したのは久保宏子氏の歌集などである。

(2)写真

 写真には、宏子氏のリサイタル・コンサート活動、学校での教師としての活動、宏子氏の学生時代や同窓会に関するものなどを採録した。画像や裏書から撮影場所・年月日が判明するものは件名に反映したが、撮影場所・年月日が不明なものも多い。

4.公開制限について

 広島大学文書館では「広島大学文書館学術的資料の利用等に関する内規」(以下内規) を定め、個人に関する情報や法人等又は個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報等は、一定の年数が経過するまで利用を制限している。
 久保亘関係文書には久保氏の蔵相時代の資料などこれに該当すると思われる資料が存在している。そのため、寄贈契約を結ぶ際に遺族である久保忠氏と協議し、以下の資料を非公開とすることとした。非公開とした資料は、目録の備考欄に「非公開」と追記した。

(1)非公開期間を60年としたもの

 以下の資料は内規の別表(第4条第2項関係)における「個人の特に重大な秘密であって,当該情報を公にすることにより,当該個人の権利利益を不当に害するおそれのあるもの」に該当すると判断したものである。現時点で資料の作成時期からおおむね20年経過していることを考慮し、非公開期間を60年とした。

 

60年非公開資料一覧表
大分類 中分類 小分類 番号
1.書類 4.政策 (8)朝鮮関係 1368~1370,1373,1374,1389
6.大蔵大臣 (7)住専処理関係 1893,1894,1910,1922,1923,1942~1944
(14)その他 2157,2158,2167,2168

 

(2)非公開期間を30年としたもの

 以下の資料は内規の別表(第4条第2項関係)における「個人の重大な秘密であって,当該情報を公にすることにより,当該個人の権利利益を不当に害するおそれのあるもの」に該当すると判断したものである。現時点で資料の作成時期からおおむね20年経過していることを考慮し、非公開期間を30年とした。

 

30年非公開資料一覧表
大分類 中分類 小分類 番号
1.書類 4.政策 (8)朝鮮関係 1223~1367,1371,1372,1375~1388,1390~1406
(9)中国関係 1407~1481
6.大蔵大臣 (2)金融 1763~1792
(7)住専処理関係 1895~1909,1911~1921,1924~1941,1945~1958
(8)日米保険協議 1959~2012
(9)リヨンサミット 2013~2029
(10)IMF関係 2030~2056
(11)APEC関係 2057~2071
(12)G7関係 2072~2127
(13)介護保険 2128~2135

 

おわりに

 以上、久保亘関係文書の整理の経緯及び概要について述べてきた。本目録には、久保亘氏の政治活動に関する多くの貴重な資料が所収されている。特に連立政権期の資料は、90年代の日本政治史を研究するうえでも重要な資料である。本資料が多くの人々に活用されることを望むものである。


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