設置の背景
わが国は世界第6位の広大な海域を持つ海洋国家であり、貿易の約99%を海上輸送に依存するなど、海洋は国民生活と経済の基盤です。現在、政府の「第4期海洋基本計画」では、海洋安全保障の強化や新産業の育成を目指すオーシャントランスフォーメーション(OX)の推進が掲げられています。一方で、日本における海洋科学分野の人材数や研究投資は国際的に見て低水準にあり、高度な専門性と俯瞰力を持ったグローバル人材の育成が急務となっています。
「自由で開かれたインド太平洋」の実現や、持続可能な海洋マネジメントの実施には、従来の枠組みを超えたアプローチが不可欠です。海洋は、生物・環境・法・政治・エンジニアリング・経済など多様な専門性が融合する本質的に学際的な領域です。地球環境問題や技術革新、海洋ガバナンスの変化に対応するためには、文理の垣根を越えてこれらを有機的に結びつけ、高度な判断ができる「海洋の総合知」を備えた人材が求められています。
本学が位置する瀬戸内エリアは、造船・海運業の伝統があり、世界屈指の海事産業クラスターが形成されている地域です。広島大学はこの地の拠点大学として、国内最大クラスの大型教育研究施設を保有し、学術研究面でも「工学・船舶」などのカテゴリで国内トップクラスの実績を有しています。
本学は長期ビジョンにおいて「持続可能な発展を導く科学」の創生を掲げており、この豊かな教育研究資源を背景に、アジアを代表する世界的な海洋・海事の教育研究拠点を形成することは、海洋国家であるわが国の国益と地方創生に貢献する本学の使命であると考えています。
このような背景から、既存の3研究科(人間社会科学、先進理工系科学、統合生命科学)を横断・連係させた新たな枠組みとして、「海洋・海事系実践科学研究院」を研究科等連係課程実施基本組織*として設置します。
本研究院では、「海洋政策・海洋ガバナンス領域」「海洋利用技術領域」「海洋環境・海洋資源領域」の3領域に跨る文理融合型の教育研究環境を提供します。
英語による教育体制を整備し、国内外の企業、海上保安大学校、世界海事大学(WMU)といった実務・国際機関とも強力に連携することで、持続可能な海洋グローバル社会の構築に貢献できる、高度な専門知識と実践力を持ったリーダーを育成します。
*研究科等連係課程実施基本組織とは?
大学が自らの判断で機動性を発揮し、学内の資源を活用して分野横断的な教育に積極的に取り組むことができるよう、既存の研究科等の枠を越えた学位プログラムを展開する教育研究組織です。
養成する人材像
海洋・海事・造船分野は,複雑な自然環境を考慮しつつ,多分野を統合した大規模システムの最適化を行い,多様な産業・規制・社会的要請に応える学術分野です。
本研究院では,国際的視野と教養を備え,海洋・海事・造船分野に関わる(1)海洋政策・海洋ガバナンス,(2)海洋利用技術,(3)海洋環境・海洋資源の3領域の基礎的知識に加え,各領域の高度な専門知識及び応用力を身に付けた,以下のような文理融合型高度人材を養成します。
- 国際海洋法や政策・経済的背景を理解し,海洋資源の持続可能な利用に向けた国際的な合意形成や,地域の海洋政策の立案に貢献できる人材
- 文理を横断する「海洋の総合知」を備え,多様なステークホルダーと連携しながら,地球規模の海洋課題に対して社会実装を通じた解決策を提示できる人材
授与される学位
修士(海洋・海事科学)
- 学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
- 教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
- 入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

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