(廃止)環境平和学プロジェクト研究センター

センター基本データ

本プロジェクト研究センターは、代表が退官されたため廃止されました。

  • 整理番号:20-01
  • 設置期間:2008年04月01日~2016年03月31日
  • センター長(所属/職名/氏名):大学院総合科学研究科 / 教授 / 町田 宗鳳

プロジェクト概要

目的

環境平和学センターは、広島大学が掲げる平和希求の四本柱を(武力紛争・貧困・環境・人材育成)を積極的に統合し、いわゆる学際的研究の範疇を超えて、平和希求という旗印のもとに複合的研究を成立させることを目的とする。
本学が国内外の研究機関に先んじて、環境平和学という学問的新領域を創造し、その世界的研究拠点となることが出来れば、被爆都市ヒロシマに所在する最高 学府としての国際的存在感を高めることができるだけでなく、真の意味での「ヒロシマの復興」に大きく貢献することになる。
このような融合型の学問領域を創成することは、従来の権威主義的で縄張り意識の強い研究体制に風穴を開け、広島大学からグローバルなニーズに応えるだけの次世代型研究者を輩出することに繋がり、大学院レベルでの教育的効果も期待される。
また環境平和学の研究成果は、単に思想的なものに留まるべきでなく、環境テクノロジーの開発と事業化をも視野に入れ、産学連携の新たな可能性に向けた具体的提言をなし得るだけの実力を備えたものでなくてはならない。

背景

人類社会にとって、地球環境の危機(温暖化、人口爆発、核、生命操作など)は、きわめて逼迫した問題である。しかしもし、人類が目前の環境問題に対する危 機意識と、地球環境の回復というグローバルな目的意識を共有することができれば、それは従来の紛争因となっていた国家・宗教・民族の違いを克服する絶好の チャンスとなり得る。
この危機的状況のおかげで、人類が世界平和に最接近しているのは歴史のアイロニーといえるが、環境保護を平和構築への着実な道筋とするために待望される のが、環境平和学という文理融合型の新領域研究である。紛争予防という観点から、天然資源の国際的管理を試みる政治学的研究は先行するが、平和構築を目的 とした環境学的研究は着手されておらず、そこに環境平和学の独創性がある。
また、今後も予想される異常気象などによる食糧や水資源などの不足が、新たなる紛争を誘引するリスクは大であり、そのリスクを事前に予測し、現実的対応策を提言することも、環境平和学の役割の一つである。
本研究は、単に学術的な成果をあげることを目的とせず、ヒロシマの原爆の〈痛み〉を地球環境破壊の〈痛み〉へと昇華し、Pax Hiroshimana (ヒロシマによる平和)という理念のもとに、平和構築への具体的行動を生み出していくことを射程に入れる。そのため環境平和学研究センターでは、科学的な 理論体系の形成に努める一方、それが実際に平和構築に貢献するものであることを証明するために特定地域でのケース・スタディーにも取り組む。

研究計画

【2008年度】

  1. 学内における環境学および平和学関係の研究実績に関する情報を収集し、逐次、専用ウエブサイトに掲載する。メディアセンターの技術的支援を受けながら、研究情報交換のための専用イントラネットの創設を図る。
  2. 環境平和学に興味をもつ学内の若手研究者および院生を募り、部局を超えた実働チームを形成する。その際、外国人研究者・院生を積極的に取り込み、海外拠点形成のための重要な人材として確保する。
  3. 実働チームのメンバーは、国際的関心の高い地域を特定し、ケース・スタディーの実施計画を作成する。その際、本学において先行する21世紀COEプロ グラムや大学院RM養成プログラム、また国際日本文化研究センター、UNITAR、JICA中国とも、積極的な連携を図る。
  4. 環境平和学の理念に共鳴する国内外の大学および研究者と連絡を密にし、本学を研究拠点とするための準備に入る。現時点では、英国のLeeds Metropolitan Universityやカナダの University of North British Columbiaなどが提携候補校に挙げられる。
  5. 出版物やメディアを通じて、できるだけ早急に環境平和学の認知度を高める。

【2009年度】

  1. 文理融合型の環境平和学ケース・スタディを実施。その際、本研究が閉鎖的なものとならないように、参加者を専門家や大学院生に限定せず、意識の高い社会人をも巻き込むようにする。
  2. 連携が確立できた内外の大学を相互訪問し、衛星通信を利用した共同研究や授業実施を計画する。
  3. 小規模な国際シンポジウムを二回開催する。一回目は本学、二回目は東京で開催し、できるだけ発信力のある内容とする。
  4. 環境テクノロジーをもつ民間企業との共同研究・開発を模索する。
  5. 専用ウエブサイトの英語版を作成。

【2010年度】

  1. 学部・大学院双方に「環境平和学」関係の講座を開設する。
  2. 原爆記念日前後に、広島国際会議場にて国際環境平和学会議を開催する。
  3. 三ヵ年の研究成果を出版するための準備。単なる研究者向け紀要でなく、多様な読者層を取り込む一般書の刊行をめざす。
  4. 環境平和学学会設立のための準備をする。
  5. グローバルCOEを申請する。


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