(廃止)高機能難加工材の先端加工プロジェクト研究センター

センター基本データ

本プロジェクト研究センターは、平成26年度自立した研究拠点(Centers of Excellence)として選定されたため、プロジェクト研究センターを廃止しました。詳しくは研究拠点のウェブページをご覧ください(※研究拠点は2018年に認定期間が終了しました)。

  • 整理番号:21-01
  • 設置期間:2009年04月01日~2015年03月31日
  • センター長(所属/職名/氏名):大学院工学研究科 / 教授 / 篠崎 賢二

プロジェクト概要

目的

近年,高強度,高耐熱性,高耐食性を有する構造材料,高機能材料(複合材料,形状記憶合金,セラミックスなど)などの各種金属材料が原子力・火力発電プラ ント,自動車・車輌,造船,橋梁,化学プラント,航空宇宙産業などの大型構造物,医療,燃料電池,太陽電池などの新規分野で求められ,開発が進められてい る。これらの材料を使用するには必ず切削,塑性加工,溶接・接合,鋳造などの加工プロセスが必要となる。また,新素材の創成にはその製造技術も重要であ る。一般にこれらの加工や材料製造には様々な加工装置たとえば旋盤,溶接機,レーザ加工機,圧延機,高周波加熱炉,マイクロ波加熱炉などを使うが,その 際,凝着現象,割れなどのその加工法特有の問題が発生する。材料特性は温度と密接な関係があり,何らかの方法で材料を高温にすれば,加工性が大きく変化す る。高出力レーザは,先端的な熱源として注目されている。すなわち,光学レンズによりビームを自在に集光できるため,様々な形状の熱を材料に与えることが できる。さらに,高出力の場合,瞬時に金属を蒸発させることができるため,現在,造船の溶接の分野まで,適用が検討されつつある。また,表面のみを加熱す ることにより,表面のみの材質を変化させ,耐食性,耐摩耗性などを向上させることも可能である。レーザ発振機から光ファイバーでレーザを伝送し,加工機近 傍までレーザ光を伝送することにより,様々な加工装置に組み合わせて使用することが容易である。そこで,旋盤とレーザ加熱装置,従来の溶接機とレーザ加熱 装置,高周波加熱装置とレーザ加熱装置など様々な加工装置とのハイブリッド化を行うことにより,難加工材料の加工特性を向上させることができる可能性があ る。
工学研究科機械システム工学専攻にはこの方面の専門家が一同にそろっており,共通認識として,現状,加工条件を凌駕する新たな加工方法,加工条件の模索 が行われている。現状の加工条件をブレークスルーするには,このような先端的な熱源であるレーザとのハイブリッド化が一つのキーテクノロジーとなりうる可 能性を秘めており,プロジェクトチームを作り,新加工システムのシーズを社会に提案するものである。

背景

①本研究センターを着想するに至った背景
「ものづくり」において必要不可欠な切削,塑性加工,溶接・接合,新素材の創成などの専門家が工学研究科機械システム工学専攻には一同にそろっており,また,この中国地域は「ものづくり」を主体とする企業がそろっており,新加工技術へのニーズが極めて高い。

②国内外における類似研究機関の存在の有無。もし存在する場合,本研究センターの独自性は何か。
溶接・接合分野に関しては大阪大学接合科学研究所があるが,切削,塑性加工,材料創成とレーザとのハイブリッド化も含めた総合的な材料加工センターは国内にもない。そのため,国内でも広島大学独自のユニークなセンターとなりうる。

③本研究の遂行がどのような新しい研究領域の創生や学問上の新展開をもたらすと考えられるのか,またその意義
従来にない加工方法および加工条件を見いだせる可能性があり,従来難加工材と言われていた材料の加工もできるようになる。たとえば,溶接に関して,レーザとTIG溶接およびホットワイヤ供給装置を組み合わせることにより,従来にない欠陥の少ない超高速溶接が実現できる。

④本学における関連研究の現状との相違点
主要な材料加工分野を担う専門家が共同で取り組む仕組みは本学にはない。

研究計画

平成21年度
ファイバーレーザ発振機をコアとしてマシニングセンター,横型引張・圧縮試験装置,高周波加熱炉,TIG溶接機を周辺に配置したセンターの基盤を確立し,各加工分野でのレーザアシストによるメリット,デメリットを把握

平成22年度
レーザアシストによる新加工方法のメリット,デメリットの発現機構の解明

平成23年度
新加工システムの加工条件に関する制御方法およびシミュレーション方法の確立

平成24年度
各加工方法のメリットを生かした実施工への適用を企業とともに検討

平成25年度
実用化部品,構造物を想定し,実用化の可否の検討


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