(廃止)臨床評価・予防医学プロジェクト研究センタ

センター基本データ

本センターは、設置期間満了のため廃止されました。

  • 整理番号:21-03
  • 設置期間:2009年09月01日~2018年03月31日
  • センター長(所属/職名/氏名):大学院医歯薬学総合研究科 / 教授 / 杉山 政則
  • 連絡先(TEL/FAX/E-mail):082-257-5280 /  / sugi[AT]hiroshima-u.ac.jp
       (※[AT]は半角@に置き換えてください)

プロジェクト概要

目的

これまで, 医歯薬学総合研究科の寄附講座として設立された『臨床評価・分子栄養学講座』では, 疾病の一次予防に役立つ「機能性食品」の有効性を科学的に検証するシステムの確立をめざし,広島地域の食品製造企業や, 「特定保健用食品」の申請を予定する国内企業からの食品の臨床評価を行ってきた。本寄附講座が平成22年3月に終了するのに伴い, その受け皿として設立したい『臨床評価・予防医学研究センター』では, 食品やコスメトロジー分野の臨床評価を実施するほか, ニュートリゲノミクス解析や, 予防医療に利用可能な乳酸菌に関する保健機能性研究および分子生物学的研究を推進する。
 

背景

①本研究センターを着想するに至った背景
わが国では, 生活習慣病やアレルギー疾患等を患う人が増加の一途を辿っており, それが社会問題となるにつれ, 疾病の予防に役立つ「機能性食品」に関心が集まっている。平成15~18年度まで, 文部科学省・知的クラスター創成事業(広島バイオクラスター)の杉山プロジェクト「植物乳酸菌のヘルスケア機能研究と保健機能食品への応用」が , 本学大学院医歯薬学総合研究科の杉山を代表研究者として推進されてきた。その研究成果は, 広島地域の食品企業に技術移転され, 既に10種類にも及ぶヘルスケア機能性製品が産学共同で開発され, 市場に登場している。
平成20-21年度には, 機能性食品市場は数千億~1兆円にまで拡大すると予測され, その市場規模が拡大する一方で, 科学的エビデンスに乏しい商品や, 誤った情報が一人歩きするなど, 当該食品による健康被害の事例も多く報告されるようになってきた。 そこで, 食品の機能性を科学的に検証するシステムを, 広島大学病院のある霞キャンパスに構築すべく, 平成19年4月, 大学院医歯薬学総合研究科の寄附講座として『臨床評価・分子栄養学講座』が設立された。本寄附講座が平成22年3月をもって終了するのに伴い, 本研究センターにおいて食品等のヒト臨床試験を臨床評価する機能を受け継ぐと共に, 予防医療に利用可能な乳酸菌研究とニュートリゲノミクス研究を推進する。

②国内外における類似研究機関の存在の有無(存在する場合は本センターの独自性)
食品の臨床試験を大学で実施することにより, 試験費用が抑えられると考えられる。ちなみに, 大学における臨床評価機関は, 大阪市立大, 徳島大, 三重大(ただし, 大学発ベンチャー)のほかは, 本寄附講座しかなく, 『臨床評価・分子栄養学講座』が中国地方で唯一の機関となっている。他方, 乳酸菌研究を推進する大学の中で, 植物乳酸菌に関する研究では, 本学大学院・医歯薬学総合研究科の遺伝子制御科学講座と臨床評価・分子栄養科学講座(寄附講座)がリードしており, 本センターが設立されることにより, 更に強力な研究拠点になるものと期待される。

③本研究の遂行がどのような新しい研究領域の創生や学問上の新展開をもたらすと考えられるのか,その意義
機能性食品や健康食品を謳う製品の市場規模が拡大する一方で, 科学的な根拠に乏しい製品や, 誤った情報が一人歩きするなど, それら食品による健康被害の事例もかなり報告されるようになってきた。本研究センターでは, 大学病院の協力の下で, 国内企業から依頼のあった食品の臨床評価をミッションのひとつとするため, 科学的エビデンスに基づいて, 食品等の機能性を広く周知させることが可能となる。また, 植物乳酸菌の基礎研究を通じて, 動物乳酸菌に比べた際の, 保健機能性に関する優位性を明らかにできる。

④設置期間満了後の計画
食品のヒト臨床試験システムと, 臨床治験に関与する, いわゆる, 治験コーディネーター(clinical research coordinator: CRC)の人材育成等に関する機能を広島大学に恒常的に設置することは, 教育・研究におけるミッションのひとつとして重要であることは, 医歯薬学総合研究科長も認識されており, 将来を見据えて, 寄附講座の発展的解消と, それに伴う当面の施策としてのプロジェクトセンターの設置, ならびに, 本研究プロジェクトセンターにおけるコーオペレーティブ・リサーチ・アンド・エデュケーション・プログラム(Cooperative Research & Education Program)の活用が提案されている。そのような背景を踏まえて, 将来的には, 上記機能を持つ, 恒常的研究室の設置をめざしている。

研究計画

【平成21年度】
○食品の機能性評価を実施したい企業との共同研究として, ヒト臨床試験を実施する。その際, 広島大学病院の担当医師も参加。
○平成21年度から2年間の広島大学地域貢献研究(発展型)に採択が内定したことから, 三次市内のハーブ園と世羅町に数箇所あるフラワーガーデンの植物を分離源として, 新たな植物乳酸菌の探索分離を実施する。

【平成22年度】
○食品の機能性評価を実施したい企業との共同研究として, ヒト臨床試験を実施する。
○平成21年度に分離した植物乳酸菌が産生する機能性分子のスクリーニングを実施する。
○都市エリア産学官連携促進事業の研究のひとつとして, 植物乳酸菌の機能性分子に関する動物実験を計画しており, その計画の一部を担当する。

【平成23年度】
○食品の機能性評価を実施したい企業との共同研究として, ヒト臨床試験を実施する。
○機能性分子を産生する乳酸菌の予防医療への活用研究を実施する。


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