次世代科学教育プロジェクト研究センター

センター基本データ

  • 整理番号:25-02
  • 設置期間:2013年09月01日~2025年03月31日
  • センター長(所属/職名/氏名):大学院人間社会科学研究科 / 教授 / 磯﨑 哲夫
  • 連絡先(TEL/FAX/E-mail):082-424-6812 / 082-424-6812 / isozaki[AT]hiroshima-u.ac.jp(※[AT]は半角@に置き換えてください)

プロジェクト概要

目的

本プロジェクト研究の目的は,科学教育学,科学教育方法学,ならびに科学教育内容学(物理・化学・生物・地学)における基礎的研究を基盤として,多角的・多元的な科学的諸能力の育成を目指す近未来型科学教育の教育システムと教育内容の具体像を明らかにすることである。
本プロジェクト研究では,中等科学教育の将来像として系統的単元構成と学習の文脈を基盤とした学習の二重構造による教科システムの構築と,教材と学習プ ログラムからなる学習システムを活用した探究的な学習活動の推進による科学教育の基幹目標の達成を提唱する。そのため,科学の学習内容及び科学教育の双方 の観点からの基礎的研究を包括的に推進する。さらに,教育実践的研究を通じてその実効性を評価するとともに,実現に向けた課題を抽出する。
一連のプロジェクト研究を通じて得られる成果は,広島大学発,日本型次世代科学教育を世界に向けて発信することを目指す。具体的には,従来の系統的な学 習,および新しい文脈を基盤とした学習及び探究的な学習のメリットを,理科教育学的視座から包括的かつ戦略的に活用し,多元的な科学的諸能力の育成を目指 す近未来型の中等科学教育の例として発信する。同時に,わが国の現行の学習指導要領における高等学校「理科課題研究」の開設推進と,教育実践支援のための 教材及び実践例の資産として広く活用できるようにする。さらに,次期改訂の学習指導要領のための基礎的資料を提供する。

背景

今日,国際的な児童・生徒の学力比較調査や国内での習熟度調査をもとにして科学教育における種々の課題が明ら かにされている。持続的な発展を目指す現代社会における科学技術ならびに科学的リテラシーの重要性を鑑みると,これら科学教育における本質的課題の解決が 人類に課せられた喫緊の課題であることは論を待たない。これらの課題解決のための方向性として,基礎学力の充実とともに,科学的な思考力,探究能力,コ ミュニケーション能力など広義の科学的能力の育成が強く唱えられている。さらに,これらの目的を達成するために,理科を学ぶ意義を日常生活,身近な自然や 生命,現代社会における科学の役割と課題,さらに地球・宇宙環境などと関連づけて学習させることの必要性が認識されている。
次世代の科学教育に関わる施策についての研究は,それぞれの時代において,国家や社会の発展のために重要な役割を担っており,先進国においては,歴史的 にみても国家や研究団体を母体としたプロジェクト研究が行われてきた。これらの成果は,それぞれの時代の科学教育の方向性や内容に大きな影響を及ぼし,現 代社会の基盤形成の一部を担ってきた。現在も世界各国において継続的な研究の取り組みが行われている。今日においては,グローバルな社会の発展を目指す視 座からの科学教育の研究推進が求められる一方で,それぞれの地域や国における社会的および経済的背景を考慮した特色ある科学教育の実現も求められている。 しかしながら,教育学や教科教育,物理教育・化学教育・生物教育及び地学教育という科学教育を包括した総合的な研究は,国内外においても認めることはでき ない。また,わが国において学習指導要領改訂に対する代替案が包括的に提案されることもない。
広島大学における科学教育の基礎的および実践的研究は,その沿革の通り長い歴史があり,これにより蓄積されてきた研究資産は,国内外有数のものである。 同時に,先導的立場で活躍する多くの科学教育研究者や理科教師を全国に輩出してきており,日本の一大研究センターとしての基盤を形成している。本プロジェ クトでは,これらの研究資産および人的資産を戦略的に活用することにより,「教育の広島大学」として,グローバルな視座に基づく次世代科学教育と我が国の 実情に即した日本型の科学教育のあるべき姿を,国内はもとより世界に向けて発信することを目指す。

研究計画

上述の目的を達成するために,平成25,26,および27年度を,それぞれ基礎研究ステージ,カリキュラム開発ステージ,および教育実践的研究ステージと 位置づけ,設置期間3年で次世代科学教育システムの開発研究基盤を構築する。研究成果は,随時,国内外での学会発表や学術雑誌への投稿により公表する。ま た,Webページにより研究成果を活用した教育現場の支援活動を展開する。

  1. 本学および北京研究センターにて研究集会、シンポジウムの開催
    (1) 研究資産の整理・分類
    (2) 科学教育学および科学教育方法学における基礎的研究
    (3) 科学教育内容学の観点からの素材開発研究
  2. 平成26年度:カリキュラム開発ステージ
    (4) 科学教育システム開発
    (5) 学習プログラムの開発
  3. 平成27年度:教育実践的研究ステージ
    (6) 教育実践的な研究による評価・分析
    (7) 基礎研究の総括

主な事業計画

次世代科学教育システムの開発研究基盤を構築するため,以下の活動を行う。

  1. 広島大学における科学教育に関する基礎的研究の資産を整理・分類し,活用可能な研究資産として再構築する。
  2. 科学教育の歴史的観点からの検証も含め,国内外での科学教育カリキュラムおよび科学教育方法に関する調査・研究を行う。
  3. 理学的基礎研究を通じて次世代科学教育において活用する教育素材を探査し,さらに教材化のための具体的方法についての基礎的データを収集する。
  4. 系統的学習と文脈学習を戦略的に融合した新たな科学教育システムの開発を行う。
  5. 系統的学習と文脈学習の融合により創出される学習場面での,探究的な学習活動のモデルプログラムを開発する。
  6. 科学教育システムとモデル的な学習プログラムを,教育実践的研究を通じて分析・評価し,その実効性と改善すべき点を実証的に明らかにする。
  7. Webページにより,研究成果を活用した教育現場の支援活動を展開する。


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